日本呼吸器外科学会雑誌
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8 巻 , 1 号
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  • 平口 悦郎, 岡安 健至, 大坂 喜彦, 大久保 哲之, 加藤 紘之, 田辺 達三
    1994 年 8 巻 1 号 p. 2-6
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    1971年から1990年までの20年間に当科において切除された病理病期1期の非小細胞肺癌症例191例のうち術後2年以内に再発をきたした14例について分析し, さらに5年健存例52例との間で背景因子の比較検討を行った.早期再発例14例の内訳は男性10例, 女性4例であり, 年齢は37歳から77歳, 平均57.4歳であった.手術術式は肺摘除2例, 二葉切除1例, 一葉切除11例であり, 全例にリンパ節郭清度R2の絶対治癒切除術が行われていた.初回再発部位は遠隔再発が10例, 局所再発が2例, 遠隔+局所が2例と遠隔再発が高率であった.14例の初回手術後生存率は2生率57.1%, 5生率7.1%であり, 再発後生存率は2生率, 5生率ともに7.1%であった.早期再発例と5年健存例の背景因子を比較すると, 早期再発例は5年健存例に比べて腫瘤最大径が有意に大きく, 術前CEA値が有意に高かった.
  • 綾部 公懿, 田川 努, 村岡 昌司, 中村 昭博, 糸柳 則昭, 赤嶺 晋治, 辻 博治, 原 信介, 田川 泰, 川原 克信, 富田 正 ...
    1994 年 8 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    1992年12月までの18年間に肺クリプトコッカス症切除例を6例経験した.男性3例, 女性3例で, 平均年齢は40.9歳であった.4例は無症状で検診により発見され, 有症状2例中1例は髄膜炎合併例であった.胸部X線上5例は単発腫瘤型で1例は多発結節型であり, 病変の部位は右上葉3例, 右中葉1例, 右下葉1例, 左下葉1例であった.5例は術前に経気管支的または経皮的肺生検により確定診断が得られた.手術の適応となった理由は抗真菌剤の効果不充分または副作用にて継続投与困難3例, 病巣の増大1例, 髄膜炎の再発予防1例, 肺癌の疑い1例である.術式は肺葉切除2例, 区域切除1例, 肺部分切除3例で, 全例重篤な術後合併症はなかった.
    6例中1例が術後1年6ヵ月目に, 併存した心不全のため死亡したが, 他の5例は術後2年ないし17年間健在である.術後髄膜炎, 肺病巣の再発はいずれにもみられなかった.
  • 中山 健司, 広野 達彦, 大和 靖, 相馬 孝博, 吉谷 克雄, 土田 正則, 江口 昭治
    1994 年 8 巻 1 号 p. 12-18
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    1985年12月から1992年1月までに当教室で手術を施行した原発性肺癌症例264例のうち32例に以下の理由で術前に虚血性心疾患に対する検査を施行した.胸痛のあった例が8例, 心電図上陳旧性心筋梗塞が疑われた例が8例, その他の心電図異常が6例, 高齢のため精査として行ったのが11例あった.32例中, Treadmill testを12例に, Ergometer法を1例にTL負荷心筋シンチグラムを12例に行った.これらの検査でさらに虚血性心疾患の合併を強く疑ったら15例には冠状動脈造影を施行し, そのうち9例に有意狭窄を認めた.有意狭窄例のうち術前にIABPを挿入して手術を施行したものが2例, 術前にPTCAを施行したものが1例あり, 1例では心肺同時手術を行った.5例には薬剤によるコントロール下で手術を行い, 特に問題はなかった.
    以上のことからIHD合併肺癌でも冠状動脈の狭窄が軽度であれば薬剤によるコントロールのみで手術を行うことが可能であるが, 冠血行再建術の成績が安定している現在は, 冠状動脈の評価を積極的に行い, 冠血行再建術を先行してから肺癌手術を行うべきであり, 可能であればリンパ節郭清を含めた心肺同時手術も試みられてよい術式と思われた.
  • 桑原 正喜, 糸井 和美, 松岡 勝成, 高田 哲也, 中村 達雄, 清水 慶彦
    1994 年 8 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    ポリ乳酸 (polylactic acid, PLA) は短期間に生体内で分解され吸収される.この高分子材料による人工骨 (PLA肋骨ピン) を開胸手術に応用した.すなわち, 前方腋窩切開法での肋間開胸で術野の拡大とその際の肋骨骨折の予防の目的で肋骨を離断し離断肋骨の固定にPLA肋骨ピンを使用した.術前に承諾を得た36例の呼吸器外科手術に使用した.全例が操作性と作業性に優れ「良好」であった。術後の観察期間は3ヵ月~15ヵ月 (平均7.4ヵ月) で全例に良好な骨固定が得られ, 骨癒合がみられた.
    骨接合部が外れたり, あるいは肋骨ピンが逸脱したりする合併症は36症例とも全ての観察期間を通じて認められなかった.
    また, 本材に起因する副作用は1例もみられず臨床的に安全性の高い有用なピンであることが確認できた.
  • 阪本 研一, 中嶋 日出雄
    1994 年 8 巻 1 号 p. 24-29
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    若年者自然気胸に対してENDO-GIAを用いた胸腔鏡下肺部分切除術を施行した.対象は術前に施行した胸部単純X線, 断層X線および胸部CT検査で肺尖部に限局するブレブが確認された19歳から32歳の6例で, 平均手術時間は70分, ENDO-GIAの使用回数は平均5回, 術後疼痛は軽微で, 4日目にドレーン抜去し, 9日目に退院した.切除したブレブの大きさは2~6cm (平均3.5cm), 切除組織の大きさは5.5~10.5cm (平均7.7cm) であった.ENDO-GIAは操作性と根治性が高く, ほとんどの若年者自然気胸に対して有効と考えられた.
  • 西部 俊哉, 成田 吉明, 岩代 望, 佐藤 兆昭, 平野 聡, 佐藤 幸作, 武山 聡, 奥芝 俊一, 加藤 紘之
    1994 年 8 巻 1 号 p. 30-34
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    肺腫瘍に対する胸腔鏡下肺部分切除術において術中超音波を応用し, 病変部位の同定及び切除範囲の決定を行った.症例は肺癌疑診2例, 転移性肺腫瘍1例であった.全例で術中超音波により病変部位の同定が可能であった.また, 切除肺は腫瘍辺縁より約1~2cm離れて, 病変に切り込むことなく切除されていた.
    肺腫瘍に対する胸腔鏡下肺部分切除術における術中超音波の応用は病変部位の同定及び切除範囲の決定に有用であるとともに, 従来胸腔鏡下手術の適応とされていなかった胸膜表面から病変部位を確認できない症例にまでその適応を拡大することが期待される.
  • 渡辺 俊一
    1994 年 8 巻 1 号 p. 35-42
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    摘出肺の胸膜外からの空冷と室温空気による high frequency jet ventilationを組み合わせた肺保存法を考案した.本法で6時間保存後の左肺を同所性に移植した.保存に先立ち摘出肺は, 血液を含む細胞外液組成液でflush した.移植肺の機能は100%酸素呼吸下の右肺動脈閉塞試験で移植直後及び移植後3日目に検討した.移植肺のPaO2は, 術直後及び術後3日目共に良好であった.移植直後に, 移植肺のみを機能させるとmPAP・PVRは両肺の機能時に比し高く, COは低かったが有意差はなかった.
    しかし, 術後3日目ではいずれも有意差となって現われた.また, 術後3日目の閉塞試験に耐えた4頭の病理組織には, 無気肺や欝血, 赤血球の漏出は無く, 問質や肺胞の浮腫が僅かに見られたのみでほぼ正常に近い組織像を示した.本保存法で6時間の肺保存が可能と考えられた.
  • 阿部 良行, 大田 英一郎, 岩崎 正之, 小川 純一, 井上 宏司, 尾形 利郎
    1994 年 8 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は54歳女性.自覚症状はなく, 検診にて胸部異常陰影を指摘され入院.胸部X線写真では, 右下肺野に腫瘤影を認めた.腫瘤影の増大を認め, 術前の気管支鏡下擦過細胞診にて, Class V高分化型腺癌と診断され, 右下葉切除とリンパ節郭清術を受けた.腫瘍は右のS8末梢に存在し, 大きさ28×24×22mmで黄白色, 境界鮮明で中心部に出血壊死巣を認めた.組織学的に, 上皮性成分と間葉系成分よりなる腫瘍細胞の増生が認められ, 胎児肺に類似していた.腫瘍細胞はGrimelius 染色にて一部陽性像を認め, 好銀性を示した.また, 腫瘍細胞には多数のグリコーゲンが認められた.以上より, 肺芽腫と診断した.リンパ節転移は認められなかった.術後, 3年の現在再発転移もなく, 生存中である.本腫瘍は本邦での報告例が50例弱と少なく, 術前確定診断を受けたものはほとんどない.本症の術前診断を中心に考察を加えた.
  • 片岡 和彦, 妹尾 紀具, 松浦 求樹
    1994 年 8 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    広範な壊死により自然退縮した胸腺腫の1例を経験した.症例は50歳女性で, 背部痛で発症し, 胸部X線写真, 胸部CTにて前縦隔腫瘍と診断され, 当院へ紹介となった.当院における胸部X線写真, 胸部MRIにおいて, 腫瘍の著明な縮小が認められた.胸骨縦切開にて, thymo-thymectomy を施行した.腫瘍は胸腺右葉から発生し, 組織学的にはリンパ球優位の非浸潤性胸腺腫と診断されたが, 線維性給合組織の増生が目立ち, ほとんどの細胞が壊死におちいっていた.腫瘍の自然退縮はまれに存在することが報告されているが, 胸腺腫の自然退縮については, 道津ら, 小川ら, 藤原らの報告を見るのみで, 非常にまれと考えられるので報告する.
  • 中元 賢武, 前田 昌純, 亀山 耕太郎, 杉田 礼典, 林 栄一, 岡田 貴浩, 桂 浩, 坪田 典之
    1994 年 8 巻 1 号 p. 54-58
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    無症候期に胸部X線写真で発見され, 6年の経過で死亡した15歳の女性の原発性肺高血圧症の1例を経験した.初回入院時の胸部X線写真では両側肺動脈の著しい拡張がみられ肺動脈平均圧は 60 mmHgであった.定期的な右心カテーテル検査では初期3年間は心係数肺血管抵抗の改善がみられたが, その後, 右心不全が進行, 循環動態諸量も進行性に悪化し, 喀血, 呼吸不全で死亡した.本症例は肺移植適応患者と考えられ, retrospective に循環動態から推定移植時期その他の問題点について考察した.
  • 遠藤 千顕, 斉藤 泰紀, 芦野 有悟, 薄田 勝男, 高橋 里美, 菅間 敬治, 佐川 元保, 佐藤 雅美, 永元 則義, 岡庭 群二, ...
    1994 年 8 巻 1 号 p. 59-64
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    高度の呼吸不全を呈した両側性巨大肺嚢胞症に対し手術を施行した.症例は, 65歳, 男性.1986年暮れより繰り返す咳嗽, 喀痰, 呼吸困難に対し, 内科的治療を試みてきたが症状の改善を見ず, 1991年2月には呼吸困難のため自力歩行不能となり, また左気胸を合併したため同年5月当科へ入院した.手術は, 2期的開胸にて, ブラに隣接した肺組織を可及的に温存すべくブラ切除を施行した.術後気漏, 肺炎等の合併症にかなり難渋したが, 症状, 呼吸機能の著明な改善を達成することができ, 現在では普通に日常生活が可能である.本症例のように極めて不良な全身状態にあるものでも, 十分な術前評価を行い, 症例に応じた開胸法, 術式を採用することにより症状, 機能の著明な改善が得られるので, 積極的に手術を考慮すべきであると考えられた.
  • 相良 勇三, 三苫 有介, 白石 裕治, 福島 鼎, 小松 彦太郎, 片山 透
    1994 年 8 巻 1 号 p. 65-69
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    水痘感染と気胸を合併した肺アスペルギルス症の1例を経験した.症例は19歳女性.右気胸発生時に水痘を発症.水痘軽快後, 胸腔鏡下にブレブを剔出した.ブレブは5×6×9mmの大きさであった.ブレブには壁全層にわたる凝固壊死とアスペルギルス菌体を認めたが, ブレブ内にはアスペルギルスはほとんど認められなかった.気腫性嚢胞にアスペルギルスが感染することは知られているが, 本症例のように極めて小さなブレブに感染することは稀である.また, 気胸にアスペルギルス症が合併することも少ない.気胸の発生機序としては, ブラやブレブに偶然アスペルギルスが感染している場合だけでなく, 免疫能の低下した際にアスペルギルスが組織破壊性に進展し気胸が発生することなどが考えられている.本症例での気胸の発生及びアスペルギルスの壊死を伴う壁外方向への進展には, 水痘感染による免疫能の低下が関与した可能性が考えられた.
  • 黄 政龍, 北野 司久, 神頭 徹, 長澤 みゆき
    1994 年 8 巻 1 号 p. 70-74
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は胸部異常影を主訴に来院した81歳, 男性である.胸部X線と胸部CTでは左上葉に径1cmの末梢性の肺腫瘤陰影がみられた.気管支鏡下生検で扁平上皮癌を認め, cT1N0M0 stage Iと診断した.患者は高齢であり, 閉塞性換気障害と不整脈, 糖尿病も合併していることから, 手術侵襲の少ない胸腔鏡下肺部分切除術を施行した.術後創痛は少なく, 早期離床が可能であり, 術後合併症はなく, 術後肺機能の温存もみられた.
    高齢者や低肺機能などのハイリスク症例における末梢型早期肺癌 (特に扁平上皮癌) に対して, 胸腔鏡下縮小手術は侵襲の少ない外科的治療である.
  • 岩崎 昭憲, 草野 卓雄, 安藤 公英, 白日 高歩
    1994 年 8 巻 1 号 p. 75-79
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は62歳女性, 1977年に健康診断の際胸部X線異常陰影を左下肺に指摘され精査し肺動静脈瘻の診断を受けるが症状が無いことより経過観察していた.1991年9月になり記銘力低下, 頭痛, 左下肢脱力が出現し脳外科受診し頭部CT, MRIにて脳膿瘍を指摘され手術を受ける.その後肺動脈造影を行った結果A8aに30×30mm, A8bに8×8mmの肺動静脈瘤を認めたため経カテーテル肺塞栓術を行った.無症状で長期経過観察中に中枢神経症状を有する合併症を起こしたことより, 無症状であっても的確な治療をおこなうことが必要であると考えられた.
  • 森山 重治, 宇高 徹総, 宮出 喜生, 清水 信義
    1994 年 8 巻 1 号 p. 80-86
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    症例は55歳, 女性. 咳嗽, 労作時呼吸困難を主訴に近医で胸部異常陰影を指摘された.画像診断上前縦隔に腫瘍を認め, 穿刺針生検で線維性胸膜中皮腫の診断を得た.24ヵ月前の検診時の胸部X線で右上縦隔に約3cm大の腫瘤を認めた.1992年4月22日胸骨正中切開で開胸.右縦隔胸膜と心嚢に強固に癒着しており, これを剥離して腫瘤を摘出した.腫瘤は重量545g, 大きさ12.8×10.0×7.3cmで心嚢に癒着した部位に被膜欠損を認め, 右腕頭静脈付近に一致する部位に茎が存在した.病理学的に腫瘍細胞に悪性所見は見られなかった.術後前縦隔に急速に再発し, 同年7月15日再手術を施行した.腫瘤は心嚢内腔に浸潤しており, 心嚢を合併切除した.再発腫瘤は重量160g, 大きさ9.0×7.0×5.0cmであった.患者は再手術後約3ヵ月で心嚢内に腫瘤を形成し, 心タンポナーデのため死亡した.縦隔内に有茎性に発育し, 急速に増大発育した稀な症例であった.
  • 久高 学, 石川 清司, 板東 徹, 久田 友治, 国吉 真行, 源河 圭一郎
    1994 年 8 巻 1 号 p. 87-91
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    肺の多発性xanthogramlomaの1切除例を報告した.症例は63歳の男性で胸部X線異常陰影を主訴として入院.胸部X線写真では右肺中葉と下葉に腫瘤状陰影を認めた.術前検査では確定診断には至らなかったが肺の悪性腫瘍を疑い手術を施行し, 病理組織学的に肺の多発性xmthogranulomaと診断された.Xanthogranulomaは, 腫瘍類似病変として炎症性偽腫瘍の中に分類されており, 近年報告例が増加している.本症の術前診断は困難であるが, 診断手技を駆使して病理診断を得るよう努めるべきである.開胸術を施行するに際しては可能な限り肺機能温存術式の選択に心がけるべきである.
  • 山本 弘, 大塚 十九郎, 小林 利子, 井村 价雄
    1994 年 8 巻 1 号 p. 92-98
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    肺結核治癒後の開放性浄化空洞内に寄生した, 人類の疾患としては稀な人畜共通真菌症adiaspirornycosisの手術例を経験した.本例は臨床経過, 画像所見及び組織像の酷似から, 当初肺aspergillomaと誤診したが, 摘出菌塊の培養で, 本症と判明した.
    本症の原因菌は通常土中や木材中に生息するChrysosporium parvum属の真菌で, 野生小哺乳類に肺感染することはあっても, 人肺への感染は極く稀とされる.その場合, 肺内に大小の結節 (肉芽腫) を形成し, 症状はあっても一般に軽微で, 診断は肺生検に委ねられることが多いが, 本例はこれと趣を異にし, 肺結核治癒後の浄化空洞にfungus ballの形で定着し, 血痰を主訴とするなど, 肺aspergillomaと酷似する臨床経過を辿り, 確定診断は術後の菌塊の真菌培養に拠った.
    本例は, いくつか合併症を持っていたので, 手術侵襲の軽減目的に, 最小限度の胸郭成形術と, 著者らが “胸壁充填法” と呼称している空洞形成術の組み合わせによる, 複合的腔縮小術を施行した.本法は肺尖・上葉の肺内異常空間にご対して, 我々が愛用している複合的腔縮小術式であるが, 本症例も成功を収めた.
  • 神山 順, 西山 勝彦, Shin'ichi Sato, 島田 順一, 大賀 興一, 岡 隆宏
    1994 年 8 巻 1 号 p. 99-102
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    欧米では銃器による胸部穿通性外傷の報告が多くみられるが, 日本では, その発生頻度は極めて低い.今回我々は22口径の拳銃による肺損傷の患者を, 緊急開胸術による直接肺縫合で救命し得た.銃器による穿通性胸部外傷の特徴は, ナイフなどによる他の穿通創とは異なり, 弾丸が通過した部分のみの損傷にとどまらない.今回の症例は, 大きな気道の損傷および大血管の損傷はなく縫合閉鎖によって止血できた.しかし, 症例によっては, 肺損傷が著しく肺葉切除や大血管損傷に対する修復が必要な場合もあり, 術前から補助手段なども考慮しておくことが必要である。
  • 吉谷 克雄, 名村 理, 青木 英一郎, 滝沢 恒世, 小池 輝明, 寺島 雅範
    1994 年 8 巻 1 号 p. 103-107
    発行日: 1994/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は49歳, 男性.左気胸による呼吸困難を主訴として受診.胸部X線写真, CTで右は巨大気腫性肺嚢胞, 左は多発性気腫性肺嚢胞であった.右胸腔内はほとんど巨大肺嚢胞で占められ, 肺実質は強く圧迫され縦隔側および横隔膜側にわずかに認められる程度であった.残存肺の再膨張を確かめるため, 嚢胞内の吸引を行い再膨張させた後, 手術を行い良好な結果を得た.巨大嚢胞により, 残存肺が強く圧迫されている症例に対し, 嚢胞内吸引は, 切除後の再膨張を確認する一つの方法であると思われた.
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