日本呼吸器外科学会雑誌
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最新号
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巻頭言
原著
  • 太田 安彦, 懸川 誠一, 川井 恵一, 南 麻紀子, 川島 篤弘
    2020 年 34 巻 7 号 p. 672-677
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2020/11/15
    ジャーナル フリー

    術前にCTガイド下マーキングを施行した62例を解析し,その有用性を視認性の観点から検討した.肺病変の大きさは平均1.10 cm,胸膜面からの距離は平均5.60 mmであった.原疾患は悪性が55例(89%)を占め,GGO結節を48例(77.4%)認めた.GGO結節の大きさは平均1.18 cm,胸膜からの平均距離4.88 mmにおいて視認性は14.6%と低かった.62例中10例(16.1%)が視認可能であり,視認できた肺病変は全て胸膜に接していた.胸膜に接した肺病変においてPure GGOの視認性は低かった.胸膜に接していても,1 cm前後のGGO結節は視認できない可能性があり,マーキングの必要性が考慮される.ただし,小型肺病変の視認性において胸膜変化が重要となる可能性が示され,胸膜変化を伴う場合にはGGO結節であってもマーキングの必要性は乏しいと思われる.

症例
  • 清水 奈保子, 田中 雄悟, 酒井 秀都, 黒田 紗菜恵, 秦 明登, 眞庭 謙昌
    2020 年 34 巻 7 号 p. 678-681
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2020/11/15
    ジャーナル フリー

    症例は71歳,女性.胸部CTで肺門縦隔リンパ節腫大を伴う左下葉の腫瘤影を指摘された.脳転移を含む多発全身転移を認め,肺腺癌(cT2aN3M1b,stage IV)と診断された.脳転移に対して定位放射線療法を施行後,全身化学療法が施行された.病勢はコントロールされたが,薬剤不応性の慢性咳嗽および血痰を伴う左下葉病変の増大を認め,胸部の緩和照射(30 Gy/10 Fr)に加えてNivolumabによる化学放射線療法が開始された.赤芽球癆を発症したためNivolumabは2コースで中止となった.血痰および咳嗽が増悪したため2-3語の会話にも難渋し,薬剤治療では制御不能となり,症状緩和目的の手術を希望され当院紹介となった.胸腔鏡下左下葉切除術が施行され,周術期合併症なく経過した.術直後より血痰や咳嗽等の症状が著明に改善し,肺癌治療の継続も可能となった.難治性咳嗽に対する症状緩和目的の手術により,症状は著明に改善し,意義のある手術と考えられた.

  • 黒田 紗菜恵, 田中 雄悟, 三浦 賢仁, 土井 健史, 法華 大助, 眞庭 謙昌
    2020 年 34 巻 7 号 p. 682-687
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2020/11/15
    ジャーナル フリー

    症例は64歳男性.胸部CTにて右S2縦隔側にT3椎体浸潤を伴う45 mm大の腫瘤を認め当院紹介となった.非小細胞肺癌(cStageIIIA T4N0M0)と診断され手術の方針となった.椎体および腫瘍への血流を低下させる目的で術前日に両側T2-4肋間動脈塞栓を施行した.完全胸腔鏡下で右肺門部操作と縦隔リンパ節郭清を施行した.腹臥位へ体位変換後に,後方正中縦切開にてT2神経根遠位からT3/4椎間板レベルの椎体を切除した.背側からの切除検体摘出を試みたが,切除肺の鬱血により摘出困難であったため,椎体間後方固定施行の後,左側臥位に再度体位変換し,後側方開胸で病変を摘出し人工椎体を固着させ手術終了とした.病理診断は扁平上皮癌(pStageIIIA T4N0M0)であり,顕微鏡的完全切除であった.術後経過は良好で,術後補助化学療法(CDDP+VNR 4コース)を施行した.現在術後13ヵ月経過し無再発生存中である.

  • 松原 慧, 吉川 武志, 三竿 貴彦, 川名 伸一, 青江 基
    2020 年 34 巻 7 号 p. 688-692
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2020/11/15
    ジャーナル フリー

    症例は30歳,男性.左側胸部の鈍的外傷で救急搬送された.胸腹部CTで外傷性多発肋骨骨折と血気胸に加え,遊離腹腔内ガス像と横行結腸の胸腔への脱出が認められた.胸腔ドレーン挿入後から大量の血液流出を認め,ショック状態となったため,緊急手術を施行した.開胸所見は,胸壁から少量の出血と横隔膜損傷部からの横行結腸の胸腔内脱出を認めるのみであった.そこで,止血処置と横隔膜の可及的修復の後に閉胸した.続いて開腹すると,大量の血液流出と共にショック状態に陥った.左腎動脈断裂が判明し,左腎摘出および左腎動脈断端の縫合閉鎖を行った.また横行結腸と下行結腸に虚血性変化を認め,一部切除の上結腸瘻を作成して閉腹した.術後経過は良好であった.腎動脈断裂を合併した外傷性横隔膜損傷は非常に稀である.鈍的横隔膜損傷では腹部臓器損傷を伴うことが多く,その出血が胸腔内に流れ込む可能性を考慮した治療戦略を立てる必要がある.

  • 岩井 俊, 山形 愛可, 関村 敦, 本野 望, 薄田 勝男, 浦本 秀隆
    2020 年 34 巻 7 号 p. 693-698
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2020/11/15
    ジャーナル フリー

    症例は50歳,女性.造影剤アレルギーのため入院歴があった.左肺上葉に大動脈弓部遠位部に接する結節性病変を認め,PET-CTでは同部位にFDGの高度集積を認めた.肺癌または血管肉腫を疑ったが,胸部MRIで胸部大動脈解離を認めた.ステントグラフト内挿術(TEVAR)を施行し,胸腔鏡下生検術を行う方針となった.喀血,腫瘤径の増大と肺内出血を認めTEVARによる緊急手術をし,術後に気管支鏡検査を行ったが,診断に至らなかった.しかし胸部CTで腫瘤が縮小し,大動脈解離による炎症性腫瘤と診断された.本症例は造影剤による画像診断が不可能であり診断に難渋した.胸腔鏡下生検術により診断する予定であったが,大動脈解離の合併があり出血のリスクが高く,困難な状況であった.悪性腫瘍と良性腫瘍との鑑別方法として胸腔鏡下生検術が有用であるが,大動脈解離の併存により困難であった症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

  • 光星 翔太, 青島 宏枝, 井坂 珠子, 多賀谷 悦子, 長嶋 洋治, 神崎 正人
    2020 年 34 巻 7 号 p. 699-703
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2020/11/15
    ジャーナル フリー

    【背景】結節性リンパ組織過形成(NLH)は良性局在型の反応性肺リンパ増殖性疾患に分類される稀な疾患である.【症例】71歳,男性.てんかん,橋本病の既往を有し,慢性気管支炎で近医通院中であった.咳嗽が持続し,近医で胸部CTを施行し,左上葉に結節影を指摘され,精査加療目的に当院を紹介受診した.気管支鏡検査で慢性炎症の診断であったが,経時的に結節増大傾向であり,肺癌を否定できず,手術の方針で,当科を受診した.手術は,胸腔鏡下左上葉部分切除術を施行した.病理所見でNLHの診断であった.【考察】NLHは画像上,肺癌と類似し,術前診断が困難で,外科的治療を行われることが多い.組織学的にはMALTリンパ腫との鑑別が重要とされる.【結語】肺癌との鑑別を要したNLHの1例を経験したので,報告する.

  • 栃井 祥子, 根木 隆浩, 栃井 大輔, 松田 安史, 須田 隆, 星川 康
    2020 年 34 巻 7 号 p. 704-710
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2020/11/15
    ジャーナル フリー

    症例は36歳,男性.健康診断で胸部異常陰影を指摘され受診した.胸部CT上,両側下葉優位に小葉中心性の粒状影を認めた.診断目的に気管支鏡検査を施行したが確定診断に至らず,胸腔鏡下肺生検を施行した.病理組織学的には,肺胞壁隔壁に沿って分岐するような形態を示す径0.5 mm大の石灰沈着と脂肪髄を伴う骨組織を認めたため,樹枝状肺骨化症と診断した.本疾患は,肺組織に異所性の骨化巣を生じる非常に稀な疾患であり,自覚症状に乏しく剖検で発見されることが多い.また,長期に経過観察された報告はほとんどなく予後も明らかではない.本症例は,術後4年を経過して画像上の変化なく生存中である.

  • 塚本 遥, 尾高 真, 仲田 健男, 矢部 三男, 秋葉 直志, 大塚 崇
    2020 年 34 巻 7 号 p. 711-716
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2020/11/15
    ジャーナル フリー

    症例は66歳,女性.胸部レントゲン異常陰影を指摘され当院を紹介受診した.胸部CT検査で右胸腔尾側に長径12 cmの腫瘍を認めた.胸部MRI検査にてT1強調画像で高信号,T2強調画像で低信号を示し囊胞性腫瘍を疑う所見であった.腫瘍摘出術を施行し神経鞘腫と診断した.術翌日より約1,000 ml/dayの乳糜排液を認め乳糜胸と診断した.絶食・高カロリー輸液を行ったが改善を認めないため,術後7日目に胸腔鏡手術を施行した.腫瘍剥離面の横隔膜に近い胸壁から乳糜が漏出する索状物を見出しクリッピングした.腫瘍剥離部の頭尾側で胸管をクリッピングした.その後にも胸壁からわずかに乳糜漏を認めたため,可及的にクリッピングし漏出部位を閉鎖した.術後約200 ml/dayの乳糜漏が持続し,再手術後14日目にOK432 10KEで胸膜癒着術を施行し乳糜胸は停止した.右胸壁巨大神経鞘腫術後に胸壁から乳糜漏を来した稀な症例を経験した.

  • 清水 大, 葉山 牧夫, 森山 重治
    2020 年 34 巻 7 号 p. 717-721
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2020/11/15
    ジャーナル フリー

    症例は30歳男性,左II度気胸再発で手術の方針となった.胸部CTでは左上区に限局した多発肺囊胞を認めた.術中所見でも大小不同の薄壁ブラが左上区に限局して多発しており,気胸の責任病巣と考えられたブラを1ヵ所切除した.切除標本では気腫性変化を背景にブラを認めたが,周囲の炎症性変化に乏しく,上皮は脱落しており肺胞上皮の形態学的な評価はできなかった.左上区に限局した囊胞発生機序として,何らかの原因による気管支閉鎖が考えられたが,画像上,明らかな区域気管支の閉鎖や粘液栓は指摘できなかった.本症例では,感染などを契機として一過性に粘液物質が貯留し,気道閉塞を生じたことが原因と考えられた.確定診断には至らなかったが,同様な症例は少なからず存在すると考えられ,今後のさらなる知見の集積が必要である.

  • 本野 望, 岩井 俊, 山形 愛可, 飯島 慶仁, 薄田 勝男, 浦本 秀隆
    2020 年 34 巻 7 号 p. 722-727
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2020/11/15
    ジャーナル フリー

    背景:肺癌術後の創から発生したデスモイド型線維腫症(DTF)の1例を報告するとともに,過去50年間の胸壁発生のDTFを解析する.症例:76歳,男性.3年前に右上葉肺癌の手術歴あり.外来経過観察中にCTで右第7肋間に増大傾向のある結節性病変を指摘された.CTガイド下針生検では診断がつかず,手術を施行した.病変と右第7・8肋骨の一部を合併切除し,病理検査でデスモイド型線維腫症と診断された.考察:胸壁発生のDTFは①性差なし,②約3割に外科的処置の既往あり,③術後再発は約3割,④発生素因がある場合は比較的高齢者にも発生,といった特徴を有していた.結論:比較的珍しい疾患であるが,外科的処置の既往がある場合にDTFの可能性を疑うことが重要と考えられた.

  • 渡邊 拓弥, 棚橋 雅幸, 鈴木 恵理子, 吉井 直子, 丹羽 宏
    2020 年 34 巻 7 号 p. 728-732
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2020/11/15
    ジャーナル フリー

    症例は68歳女性.胸部異常陰影を指摘され当院を受診した.MRIで胸管の走行に沿った囊胞性腫瘤が認められ,胸管囊胞を疑い手術を施行した.術前処置として,麻酔導入の3時間前に脂肪性食品を患者に摂取させた.術中,腫瘤へ交通する胸管の同定は容易であり,全て結紮切離した.術後は乳び胸を認めなかった.胸管囊胞は稀な疾患であるが,胸管囊胞が疑われる場合には,腫瘤へ流入・流出する胸管を適切に処理することが極めて重要である.我々の実施した前処置は,術中に処理すべき胸管を同定するための簡便かつ確実な方法の一つと考えられた.

  • 篠原 義和, 田中 麻理子, 北野 健太郎, 長山 和弘, 佐藤 雅昭, 中島 淳
    2020 年 34 巻 7 号 p. 733-739
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2020/11/15
    ジャーナル フリー

    化生性胸腺腫は,2004年にWHO分類より命名され,組織学的に多角細胞成分と紡錘形細胞成分から成る二相性の構造を示すのが特徴であるが,報告例は少ない.今回,我々は化生性胸腺腫の稀な2症例を報告する.症例1は44歳,女性.主訴は複視,高度疲労感,嚥下困難感.抗アセチルコリンレセプター(AchR)抗体は78.6 nmol/Lで,CTにて前縦隔に3.1 cm大の境界明瞭な腫瘤を認め,胸腺腫関連重症筋無力症の診断で,拡大胸腺全摘術を施行した.症例2は55歳,男性.前立腺癌フォローアップのCTにて,前縦隔に3.6 cm大の境界明瞭な腫瘤を認めた.抗AchR抗体は陰性で,胸腺腫疑いで胸腺摘除術を施行した.病理所見では,多角細胞と紡錘形細胞が混在し二相性を示し,両症例ともに化生性胸腺腫(pT1aN0M0,pStage I,UICC第8版)の診断であった.

  • 樋口 光徳, 渡部 和也, 齋藤 拓朗, 渡部 晶之, 鈴木 弘行
    2020 年 34 巻 7 号 p. 740-745
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2020/11/15
    ジャーナル フリー

    52歳男性.咳嗽と胸部異常陰影を指摘され近医より紹介.CTでは前縦隔に53 mm大の腫瘤を認めた.血液検査では血清扁平上皮癌関連抗原(SCCA)が77.6 ng/mLと高値を示し,抗AchR抗体値が0.4 nmol/Lと軽度高値を示した.自己免疫疾患の合併を認めなかった.FDG-PETでは主病変にSUVmax 3.4の集積を認めた.胸腺癌を念頭に拡大胸腺胸腺腫摘出術を行なった.病理診断はtype B1の胸腺腫で正岡分類I期であった.術後の検索では頭頸部領域,皮膚科領域,上下部消化管に併存疾患を認めず.術後2年6ヵ月経過した現在,SCCAは高値だが低下傾向にある.SCCA測定にはCLIA法とFEIA法があり,両者の測定値乖離の報告がある.2つの方法で測定したところ,両者で約10倍の開きを認めた.腫瘍の評価に影響する問題であり,本症例の経過を報告するとともにSCCA高値の原因についても考察する.

  • 森 浩貴, 能勢 直弘, 矢野 隆郎, 富田 雅樹, 中村 都英
    2020 年 34 巻 7 号 p. 746-750
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2020/11/15
    ジャーナル フリー

    右肺全摘後の左急性膿胸に対し高頻度ジェット換気(HFJV:High Frequency Jet Ventilation)を用いて胸腔鏡下手術を施行した症例を経験したため報告する.症例は71歳男性.右肺扁平上皮癌に対して64歳時に右肺全摘術を施行された.左胸痛を主訴に当院を受診した.胸膜炎として抗生剤加療されたが改善なく左胸水の増加と呼吸困難増悪を認めたため,胸腔ドレナージを施行した.混濁した胸水を認め,急性膿胸として当科へ紹介となった.CTでは多房化した胸水を認めたため手術適応と判断した.手術はHFJVにて左肺を換気しながら胸腔鏡下に施行した.HFJVにて肺は軽度膨張するも圧排にて視野やworking spaceの確保は可能であった.術後経過は良好であり,術後6日目に退院となった.

  • 眞鍋 尭彦, 岡 壮一, 小野 憲司
    2020 年 34 巻 7 号 p. 751-756
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2020/11/15
    ジャーナル フリー

    症例は71歳,女性.自己免疫性肺胞蛋白症の経過観察中に胸部CTで右上葉S2に空洞性病変を伴う結節が出現した.PET-CTでFDGの異常集積を認め,肺癌疑いにて手術(胸腔鏡下右上葉切除術,リンパ節郭清)施行.腺扁平上皮癌pT1cN0M0 stage IA3の診断であった.周術期に肺胞蛋白症の増悪を認めず,現在肺癌の再発はなく経過観察中である.肺胞蛋白症は肺胞マクロファージの異常により肺胞表面活性物質由来の構造物が肺胞腔に蓄積する間質性肺疾患である.一方,肺癌患者でも肺胞マクロファージの異常を認めるという報告がある.自己免疫性肺胞蛋白症と肺癌の合併例の報告は少なく,本症例のような腺扁平上皮癌との合併例の報告はない.また,本症例では腫瘍周囲に抗酸菌を認め,抗酸菌症も合併していた.個々の疾患が相互に関連している可能性が推察されるため文献的考察を加え報告する.

  • 中嶋 朔生, 吉峯 宗大, 田中 俊樹, 村上 順一, 佐野 史歩, 濱野 公一
    2020 年 34 巻 7 号 p. 757-764
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2020/11/15
    ジャーナル フリー

    肺の悪性腫瘍における肉腫の頻度は約0.2~2.0%とされ,その中でも成人発症の肺原発横紋筋肉腫は非常に稀である.今回,我々は成人発症の肺原発横紋筋肉腫に対して完全切除を成し得た1例を経験した.症例は70歳代の男性.咳嗽を主訴に近医を受診し,胸部エックス線検査で左上肺野に腫瘤影を指摘された.CT検査で左上葉S1+2に69×56 mmの腫瘍を認め,CTガイド下肺生検でspindle cell sarcomaが疑われて当院へ紹介となった.外科的切除の方針とし,左上葉切除に加え,左下葉S6部分切除および第3・4肋骨合併切除で完全切除を行い得た.病理組織検査で肺原発横紋筋肉腫と診断された.術後24ヵ月が経過する現在まで無再発生存中である.成人発症の肺原発横紋筋肉腫は予後不良な疾患であるが,外科的完全切除が唯一の治療法であり,隣接臓器合併切除などを要しても完全切除を達成できれば長期生存の可能性がある.

  • 金野 智明, 二川 俊郎, 鈴木 健司
    2020 年 34 巻 7 号 p. 765-771
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2020/11/15
    ジャーナル フリー

    症例は73歳男性.前立腺肥大症で通院中に腹部CTで後縦隔腫瘍を指摘された.CTで第9胸椎近傍に60×40 mmの境界明瞭で内部やや不均一な腫瘤を認め,MRIではT1強調像で腫瘤内部は主に高信号および一部は低信号で,内部の高信号部位は脂肪抑制T1強調像で低信号だった.脂肪肉腫などの鑑別も兼ねて胸腔鏡下腫瘍摘出術を施行した.術中所見は腫瘍が非常に柔らかく,内容物を可及的に吸引しながら周囲被膜ごと一塊に切除し,最終病理診断は後縦隔骨髄脂肪腫であった.現在術後約1年だが経過良好である.骨髄脂肪腫は主に副腎皮質に発生することが多い成熟脂肪細胞と正常骨髄系細胞からなる良性腫瘍で,縦隔発生は稀である.術前画像所見として脂肪性成分を伴うことが特徴とされているが,その程度や評価はさまざまで,まとめられた報告は少ない.自験例を含め過去10年間でCT・MRI所見のある12例を集計し考察を加えて報告する.

  • 阪口 全宏
    2020 年 34 巻 7 号 p. 772-775
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2020/11/15
    ジャーナル フリー

    症例は69歳男性.風邪症状で近医を受診し,後縦隔腫瘍を指摘された.胸部X線写真およびCTで胸椎右側に境界明瞭,表面平滑な腫瘍がみられた.腫瘍の大きさは5年前と変わらず,PETでは集積がなかった.腫瘍の局在から神経原性腫瘍を疑い胸腔鏡下手術を行った.右傍椎体領域に暗赤色の柔らかい腫瘍が存在し,完全切除した.病理組織では,3系統すべての造血系細胞に成熟脂肪細胞が混在しており骨髄脂肪腫と診断された.貧血と脾腫も伴っていたため髄外造血との鑑別を要し,骨髄生検の結果,正常骨髄像で異型細胞もなく骨髄脂肪腫の診断を確定した.

  • 岩浪 崇嗣, 吉松 克真, 芦刈 周平, 花桐 武志, 山元 英崇
    2020 年 34 巻 7 号 p. 776-780
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2020/11/15
    ジャーナル フリー

    【背景】胸腺腫瘍の大部分は胸腺腫で,胸腺癌は稀である.胸腺癌の中でも扁平上皮癌がほとんどを占め腺癌は極めて稀である.【症例】70歳代女性で胸部CTにおいて前縦隔腫瘍を指摘され,当科へ紹介受診となった.精査にて前縦隔に12 mmの辺縁整な囊胞性病変を認めた.2019年5月に胸腔鏡下前縦隔腫瘍摘出術を施行した.最終病理組織診断は非乳頭状腺癌であった.縦隔原発の腺癌は非常に稀であり,他臓器癌の転移も疑われたため,全身の精査を施行したが,明らかな原発巣を認めないため,胸腺原発腺癌(T1N0M0 stage I)と診断した.現在無再発で生存中である.【結語】今回,特異な囊胞状発育を示す腺癌を経験した.このような増殖形態を示す腺癌を縦隔に認めるのは稀であり,転移性腫瘍を鑑別しなければならないと考える.

  • 小林 健一, 大﨑 敏弘, 福市 有希子, 西澤 夏將, 安田 学
    2020 年 34 巻 7 号 p. 781-786
    発行日: 2020/11/15
    公開日: 2020/11/15
    ジャーナル フリー

    今回,我々は外傷性肋骨骨折による食道癌術後再建胃管胸腔瘻が原因の膿胸の1例を経験したので報告する.症例は72歳,男性.5年7ヵ月前に食道癌に対して食道切除及び後縦隔経路で胃管再建術が行われている.3週間前に転倒歴があり突然の右胸痛と呼吸困難で来院,両側多発肋骨骨折と両側外傷性血気胸による急性呼吸不全と診断された.両側胸腔ドレナージと人工呼吸器管理を行い,呼吸状態は改善したが右膿胸を発症した.CTと上部消化管造影で外傷性の胃管胸腔瘻と診断した.瘻孔部を直接縫合閉鎖したが,瘻孔再発を認めたため開窓術及び腸瘻造設を行った.その後,十分な栄養管理下に高気圧酸素療法を行った結果,良好な開窓部肉芽形成と瘻孔部治癒が得られた.良好な経口摂取も可能となり,入院後197日目(開窓術後145日目)で自宅退院となった.

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