複言語・多言語教育研究
Online ISSN : 2435-8657
Print ISSN : 2188-7403
9 巻
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  • 小野 賢志
    2021 年 9 巻 p. 7-16
    発行日: 2021/12/01
    公開日: 2023/03/31
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  • 大山 万容, ピアース ダニエル ロイ, 北野 ゆき, 藤田 恵美子
    2021 年 9 巻 p. 17-32
    発行日: 2021/12/01
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    複言語主義の観点からカリキュラムを考えるとき、言語教育は「個別の言語」の授業の内部で、他と切り離されて行われるのではなく、またカリキュラムの中に複数の言語を取り入れさえすればよいものではなく、全体的な言語教育の中で、言語知識や言語技能、また学習能力を伸ばすという観点から考慮される必要がある(Council of Europe, 2001: 169)。このためには外国語教育は科目内にとどまらず、国語教育や、さらには他の「言語科目以外の」科目との連続性を意識しながら行うことが推奨される。本稿では、日本の公立小学校で現在行われている「食育」と、外国語教育との協働プロジェクトについて報告し、これが複言語・異文化間教育の観点から見て、どのような意義を持つかを論じるとともに、教員養成への示唆を行う。
  • 複言語主義の中で「連携」の意義を考える
    西 香織, 阪堂 千津子, 池谷 尚美
    2021 年 9 巻 p. 33-48
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    我々はこれまで複数回、異なる大学の中国語・韓国語・ドイツ語クラス間で連携プロジェクトを実施してきた。本稿では、プロジェクトにおいて教師間、学生間、学生と母語話者間、そして社会との「連携」の重要性や、なぜこの時代に「つながる」ことやその方法を考えることが重要なのかを複言語主義の観点から示した。本稿で取り上げた2018年度プロジェクトでは、「外国人の日本に対する違和感」をテーマに実施したが、プロジェクト終了後に参加学生を対象に行ったアンケートの自由回答を分析した結果、参加学生の多くが自文化を客観視し、多様な文化を理解し、且つそれぞれへの批判的な視点を獲得し、多様な文化との「摩擦」に折り合いをつけながら共生をしていく必要があることへの気づきがあった。この結果から、連携プロジェクトを通じて学習者の多文化共生社会に参加する素地を培うことができ、ステレオタイプ的な文化理解から脱却できたと考えられる。
  • 高校生・大学生・社会人へのアンケート調査に基づく分析と考察
    松木 瑶子
    2021 年 9 巻 p. 49-64
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    青年期中期の高校生は、自己を形成・確立する時期にある。そのため、この時期の複言語学習経験は、学習者の異文化観や人生観を変容させ、その後の人生にも深くかかわる可能性がある。本稿では、日本の高校での英語以外の言語学習経験が、学習者の自己変容や自己確立にいかにかかわるのかを、高校生・大学生・社会人へのアンケート調査を通じて検討していく。日本では現在、高校で英語以外の言語を学ぶ者が、特別な人とみなされかねない状況にある。本研究により、高校での複言語教育が一部の学校や生徒だけのためのものではなく、一市民としての役割を考える場として広くその意義を見出されるものと期待する。
  • 山本 冴里, 冨本 浩一郎
    2021 年 9 巻 p. 65-81
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、就学前幼児を対象に、「多様な言語への興味や関心を育てるための機会を提供する」ことを目的に教材を作成し、四つの幼稚園で試用した結果について検討したものである。主としてヨーロッパで発達した「言語への目覚め活動」に関する先行研究を参考に作成された教材は、7つの言語での動物の鳴き声をあらわすオノマトペに注目した「o+e」(「オトエ」と読む)と、7つの異なる表記システムで使われる文字に注目した「もじもじハンティング」の2点である。幼稚園での観察および幼稚園教諭らへのインタビュー結果から、これらの教材を使った活動を通して、子どもたちは、多様な音と文字の可能性を示され、興味を持ち、関わりを持とうとし、時には言語使用のありかたに関して自分なりの仮説を形成していたことがわかった。
  • 5言語必修の多言語授業と言語意識活動
    吉村 雅仁, 中尾 雪路, 水本 祐之
    2021 年 9 巻 p. 82-98
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    本稿の目的は、日本の高等学校における複言語教育実践の試みおよびその効果を検討することである。第一に、実践の背景として、複言語教育における「能力」および「価値」としての側面を議論する。第二に、その議論に基づきながら、英語以外に5言語を必修とする外語 教育に言語意識活動および日本手話を加えたカリキュラムを紹介する。第三に、このカリキュラムを1年間経験した生徒たちの、言語ポートレート、言語能力の自己評価、言語や言語学習についての意識を分析し、我々のカリキュラムが複言語主義に基づく言語教育活動としてある程度機能しうることを示す。
  • 北岡 千夏, 東 康太
    2021 年 9 巻 p. 99-108
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
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    本稿では、ビデオコミュニケーションサービス「Flipgrid」を用いた日露の大学間交流の実践報告とその結果の検証を行う。このサービスは動画に動画で返信するのが特徴で、学習言語の母語話者から生きたフィードバックがすぐに得られることが最大の魅力である。ビデオ通話やオンライン会議等のリアルタイム会話との違いや、これを活かしたカリキュラムの組み方、学生の意識の変化等に言及するほか、実践して分かった課題や改善策についても考察する。
  • 「多言語コミュニケーション実践」の一環として
    木村 護郎クリストフ
    2021 年 9 巻 p. 109-119
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では、多言語コミュニケーション実践の一環として日本手話を学ぶ体験を組み込んだ大学の授業について報告する。授業全体における手話学習の位置づけ、担当者の意図や方針、進め方および履修者の気づきをとりあげる。履修者の学習報告からは、しばしば身振りと混同されたり、世界共通と思われたりする手話についての理解が深まるとともに、手話という個別言語をこえてコミュニケーションについての問題意識が触発されたことが示される。ろう者についても新しい見方がみられた。他方、学生の感想をとおしてうかびあがる理解の限界についても検討し、適切なフィードバックを行う必要性も述べる。最後に、このような、言語および言語使用者についての意識化をめざす体験学習を、多言語学習の1つのあり方として提起する。
  • 韓国絵本プロジェクトの実践から
    中川 正臣, 澤邉 裕子
    2021 年 9 巻 p. 120-129
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は異なるコミュニティに属する学生たちの協働による「韓国絵本プロジェクト」について越境という観点から考察したものである。本実践では、韓国語を専攻する大学生が2冊の韓国絵本を日本語母語話者の子どもに向けて翻訳し、それを日本語教育学を専攻する大学生が外国人日本語学習者にもわかりやすい「やさしい日本語」に書き換えた。さらに、この2つのクラスが協働し、日韓に在住する子どもたちに向けて絵本読み聞かせ会を開催した。本研究は、この実践を通し、学生たちが自分たちの社会的役割、複言語能力、協働の重要性についての認識を高めたことを明らかにした。
  • GoogleフォームとZoomを用いて
    西部 由里子
    2021 年 9 巻 p. 130-140
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は2020年度秋学期に、慶應義塾大学でフランス語を学ぶ学生と、フランスのラ・トゥール中学高等学校、パリ政治学院、フランス国立東洋言語文化学院、ESCE国際貿易ビジネススクールで日本語を学ぶ学生との間で行ったオンライン国際交流の実践報告である。 コロナ禍による閉塞的な状況の中で、「フランスで、フランス語を話して生活している学生たち」とオンラインでつながることで、フランス語学習のモチベーションを高めることを目指し、全員参加型のGoogleフォームを用いたアンケート交換と、希望者参加型のZoom交流会を実施した。 同世代のフランスの若者との交流は、日本の学生たちにとって異文化理解の第一歩となり、教員にとっても、より能動的で継続的な学習の可能性を考えていく上での貴重な体験となった。
  • 黒澤 眞爾
    2021 年 9 巻 p. 141-142
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    JACTFLは、第9回シンポジウムの特別企画として「コロナに負けない高校生の若き取り組み」を実施した。本報告は、その際登壇した高校生たちが、自らの学習経緯と学びの意味、さらに将来への思いを整理し、記述したものである。
  • フランス語で旅した12年間
    久保 結子
    2021 年 9 巻 p. 143-152
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は2021年3月に開催したJACTFL主催第9回シンポジウム(オンライン開催)「コロナに負けない高校生の若き取り組み」に登壇した者の報告である。 筆者は、高校進学時にフランス語を第一外国語として選び、コロナ禍の様々な困難の中で英語とフランス語の2つの外国語を中心に様々な学びを積み重ねてきた。筆者はカリタスでの学びを振り返り、自らの経験と12年間の複言語の学びを重ね合わせながら、多文化共生時代における真のグローバリゼーションについて自ら問うている2。
  • 駒田 葵
    2021 年 9 巻 p. 153-155
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    幼少期をアメリカで過ごした筆者が、高校入学時に韓国語と出会い、新たな外国語学習を通して、複数の言語学習とその背景にある文化理解の重要さに気づいていく。
  • 能登 慶和
    2021 年 9 巻 p. 156-166
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    東京都立北園高等学校は、国際理解教育の一環として第二外国語教育に力を入れている伝統ある学校である。同校では英語以外にドイツ語、フランス語、中国語、ロシア語の4言語を履修することができ、かつ最大で3年間学ぶことが可能である。また、ドイツ語においては2010年にドイツ外務省プロジェクト「PASCH」のパートナー校として認定され、国内外において様々な形でドイツ語およびドイツとの繋がりを構築している。さらに、現在ではドイツの複数のギムナジウムとの学校間交流を実施するなど、日本とドイツの若き架け橋として大きな役割を担っている。本稿は、高等学校における多様な外国語学習の実践、およびコロナ禍における高校生の努力という観点から、近年の北園高校におけるドイツ語教育の発展や新たな取り組みについて報告する。
  • オンラインを活用したロシアとの交流
    依田 幸子, 髙橋 瑞生, 新井田 衣吹, 畑内 千知, 村林 芽明
    2021 年 9 巻 p. 167-175
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、2021年3月に開催されたJACTFL主催第9回シンポジウムで発表した、北海道札幌国際情報高等学校におけるロシアとのオンライン交流についての報告である。新型コロナウイルスの影響下においても歩みを止めることなく、オンラインを活用したさまざまな国際交流を実施した。第2外国語としてロシア語を選択している生徒たちが考え、取り組んだ主体的で創造的な活動を紹介し、言語活動を通して生徒が感じたことを率直に記す。困難に負けず、より良い未来へと邁進する高校生の情熱を伝えたい。
  • 境 一三
    2021 年 9 巻 p. 176-180
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/04/08
    ジャーナル オープンアクセス
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