沿岸域学会誌
Online ISSN : 2436-9837
Print ISSN : 1349-6123
18 巻, 4 号
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論文
  • 藤枝 繁, 小島 あずさ
    2006 年 18 巻 4 号 p. 15-22
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2023/04/17
    ジャーナル フリー

    要旨:ディスポーザブルライターを指標とした海岸漂着散乱ごみの流出地推定法を用いて,日本の東シナ海・日本海海岸と韓国の全羅南道海岸における漂着ごみの流出起源を比較し,東アジア圏域における海岸漂着ごみの問題点について検討した。その結果,中国,台湾を起源とするライターは東シナ海の島嶼海岸に,また韓国を起源とするライターは島根県~福井県の日本海海岸に大量に漂着しており,さらにそれらは日本海北部の青森県西岸から北海道留萌海岸にまで達していた。また韓国海岸でも日本と同様,中国,台湾を起源とするライターが大量に漂着していた。ただし日本,韓国とも自国を起源とするライターが自国海岸で最も多く確認された。本手法は,日本,韓国両海岸において海岸漂着ごみの流出起源の特徴を同様に明らかにすることができたことから,東アジア圏域における海洋ごみの流出起源,影響範囲および経年変化等を監視する共同モニタリング手法として利用できるとものと考える。

  • 間瀬 肇, 安田 誠宏
    2006 年 18 巻 4 号 p. 23-31
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2023/04/17
    ジャーナル フリー

    要旨:台風0423 号によって日本各地で起こった高波災害のうち,高知県室戸市室戸岬町菜生海岸の防潮堤の被災を調査した。被災解析に当たっては,気象モデルと波浪モデルにより構築した波浪予測・追算システムを用いた台風時の波浪推算と観測結果とを比較・検討し,また防潮堤に作用する波の状況,防潮堤への波の打上げ高および越波流量を主な解析対象とした。波の打上げ高に関しては,住民の目視観測に近い解析値を得ることができた。

  • 岡山 正人
    2006 年 18 巻 4 号 p. 33-43
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2023/04/17
    ジャーナル フリー

    要旨:トラックの引き起こす環境問題や今後予測される労働力不足などに対応するため、モーダルシフトの必要性が叫ばれている。一方近年、本四連絡橋の開通をはじめ、こうした連絡橋や高速道路の料金の値下げが議論されるようになり、モーダルシフトの担い手として期待されているフェリー輸送にとっては大変厳しい時代を迎えようとしている。

    そこで本研究では、物流センサスデータを用いて、他の地域に先駆けて極めて厳しい状況下にある瀬戸内海のフェリー航路を対象に、トラック輸送貨物のフェリーへのモーダルシフトについて分析を行った。その結果、トラック輸送貨物のルート選択において非常に重要な「ロットサイズ」に着目し、このロットサイズを大きくすることが、フェリーへのモーダルシフトに一定の効果があることを示すことができた。

  • 谷本 都栄, 福岡 孝純
    2006 年 18 巻 4 号 p. 45-53
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2023/04/17
    ジャーナル フリー

    要旨:本研究は,奄美大島を対象地とし,島の滞在による来訪者への心理的効果を実験的に検証することを目的とした。実際に体験ツアーを実施し,離島での様々な体験活動をとおして,気分及び健康関連QOLにどのような変化がみられるかを明らかにした。指標として,気分プロフィール検査及びSF健康調査票を用い,20代前半の学生を対象に,日常生活,ツアー直前,ツアー直後の3回の測定値を比較考察した。さらに,ヒアリング調査を行い考察の際の参考とした。結果として,奄美大島での滞在により,被験者は身体的な疲れを感じつつも,精神的な健康を取り戻すことができたことが推測された。特に,日常生活においてストレスを感じている人の方がその変化が顕著に現れた。これには,豊かな自然環境のもとで,普段できない経験や人との交流などが刺激となっていると考えられた。結果として,奄美大島における短期滞在により,気分転換や心理的健康感の向上などの効果があることが実証された。

  • 中澤 公伯, 三井 和男, 西 恭一, 宮崎 隆昌, 島村 隆夫, 星野 高士
    2006 年 18 巻 4 号 p. 55-66
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2023/04/17
    ジャーナル フリー

    要旨:本論文は,房総半島沖をケーススタディーに,漁場の位置情報と海洋環境特性・漁港立地の空間的関係性について論じたものである。大局的な視点から水産業の体系を捉えた将来の漁場創生を活かすための基礎資料を得ることを目的としている。漁場の立地特性を既存情報から明らかにし,漁場をとりまく環境情報,また漁港との空間的関係性をGISによる具体的な数値により評価した。その結果,総体的には漁場が近傍に存在する漁港が水揚量も多く,規模も大きなものとなっていたが,中には水揚量・漁港整備の観点から矛盾を生じている漁港もあり,海洋環境特性を活かした漁場創生を行い,輸送距離縮小による漁獲高増大の余地があることを示した。

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