沿岸域学会誌
Online ISSN : 2436-9837
Print ISSN : 1349-6123
29 巻, 1 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
論文
  • 畔柳 昭雄, 菅原 遼
    2016 年 29 巻 1 号 p. 15-26
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2023/04/17
    ジャーナル フリー

    要旨:本研究では、近世・近代に隆盛を誇った牡蠣船に着目し、近世から現代にかけての牡蠣船の歴史的変遷や機能的・形態的変化を捉えることを目的に、文献調査、ヒアリング調査、現地調査を行った。その結果、牡蠣の販路拡大のための運搬船として生まれた牡蠣船は、その営業形態が生産物販売から調理、飲食等の付加価値販売へと移行していくにつれて、屋形船形態への変化や機能用途の付加及び規模拡張がなされ、その変遷を捉えた。また、現存する牡蠣船は水面利用の一方策として位置付けられ、地域特有の観光資源として価値認識がなされてきている状況を明らかにした。

  • 黒田 桂菜, 大塚 耕司, 下村 泰彦
    2016 年 29 巻 1 号 p. 27-38
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2023/04/17
    ジャーナル フリー

    要旨:人々の海に対する意識は,レジャーやリクリエーションなど正のイメージがあるものの,都市部における人間活動と密接に関わっている閉鎖性海域に対しては,環境汚染など負のイメージが先行し,人々の意識から遠のいているのが現状である。しかしながら,閉鎖性海域を含む沿岸域は生態系サービスの観点からも非常に重要である。本研究では,日本を代表する閉鎖性海域である大阪湾を例に,居住地域によって住民の大阪湾に対する意識が異なると予想される大阪府阪南市において,市民対象のアンケート調査を実施した。その結果,市全体で大阪湾に対して親しみを感じている市民が多いものの,海に近い住民ほど親しみをもち,行きやすいと感じている傾向にあることがわかった。このように,居住地域と海との間における距離が大きく影響している可能性が示唆された。

  • 菅原 遼, 大野 真由美, 畔柳 昭雄
    2016 年 29 巻 1 号 p. 39-46
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2023/04/17
    ジャーナル フリー

    要旨:本研究では、日本の海事博物館のあり方を検討していくための基礎的研究として、全国各地の海事博物館を抽出し、立地分布や展示内容、利用状況、施設構成の観点から、建築的・展示的特徴を捉えることを目的に、文献調査やアンケート調査を実施した。その結果、日本全国で海事博物館50館が確認でき、船舶・水産を主とした展示内容や「春型・夏型」の入場者数の季節変動の特性を捉えた。また、海事博物館特有の展示品の展示・保存を考慮した施設構成の特徴を捉えた。一方、各博物館において「海事」の意味が曖昧に用いられており、その位置付けが不明確となっている状況を明らかにした。

feedback
Top