要旨:本分析では,今後のクルーズ受入環境の検討に資することを目的とし,我が国へのクルーズ船の寄港実績の整理ならびに訪日クルーズ旅客数の整理を行い,クルーズ船の寄港回数や訪日クルーズ旅客数の動向に関する分析のほか,クルーズ船寄港に伴う経済効果について試算を行った.その結果,2015年~2017年の3ヶ年において,季節変動が解消される方向に向かっていると考えられることをジニ係数を用いて定量的に分析した.また2017年4月以降においては,中国起点クルーズのうち韓国に寄港してから日本に入国する割合が激減していることを示し,中国政府が国内主要旅行業者に対して韓国への観光客送出禁止を通達したことによる影響と考えられると分析した.さらに海外起点クルーズの寄港による2017年の年間の経済効果について,寄港実績や寄港港数・旅客の国籍による消費の違いを考慮し,約3千億円と試算した.