要旨:近年,国や多くの地方自治体で未利用・低利用資源を利用・流通させる取組がなされるようになったが,当該資源利用に関する課題や実態に関する研究報告が非常に少ない。そこで,未・低利用魚介類の利用意義や発生要因について,論文等の網羅的レビューを通して議論した。その議論の結果,未・低利用魚介類の利用は,資源の有効利用に貢献するだけでなく,食料自給率の向上,魚離れの緩和,地域振興など多面的な機能があることが明らかとなった。同様のレビューを通して,未・低利用魚介類の発生要因について船上における労働力不足など10に集約した。さらに,3つの事例分析を通して,生産者が納得できる水揚や作業の必要性についての説明,買付価格の見直し,商品開発や安定供給の仕組みづくり,そして新販路を開拓することが流通改善に寄与していたことを明らかにした。
要旨:イラン国ホルムズガーン州の沿岸域を対象に、生態系保全と人為活動の両立を図ることを目的としたゾーニングプランを、多様な現地ステークホルダーの参画の下策定した。ゾーニングプランは、①優先的に保全すべき生態系、②地域の人為活動、③生態系へのリスクおよび④ゾーニングの枠組みからなる4つの要素を検討した上で策定した。生態系および人為活動に関しては、詳細な現地調査を通して、保全の優先度が高い地域および地域住民の重要な活動域を解析・地図化した。生態系へのリスクは、InVEST Habitat Risk Assessment(HRA)というリスク評価モデルによりリスクが高い地域を抽出し、その結果を適宜ゾーニングの範囲を設定する際に活用した。そして、これらの検討結果を基に、最終的には、規制内容・程度の異なる計5つのゾーニング区分を設けたゾーニングプランを策定した。ゾーニングプランを策定する上で構築した手順や手法は、科学的データおよび客観的な評価に基づいた汎用性の高いものであり、他地域・国にも展開・適用できるものであると考える。
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