著者らは,沖縄県本部町の浜崎海岸の人工リーフにおいて,サンゴの活着・生育状況が良好であることを2017年からの継続調査結果から明らかにしてきた。本研究では,継続調査を実施し,2020年~2023年のサンゴ生育状況の経年変化,ブロック上の堆積物量との関係,軽石漂着の影響,ブロックから脱落したサンゴの状況,夏季の昇温による白化等について考察した。調査の結果,経年的にサンゴは増加傾向であり,人工リーフ沖側ではテーブル状サンゴが,岸側では枝状サンゴが安定的に成長していることがわかった。脱落したサンゴの人工リーフ基礎部での再活着,白化からの回復を確認でき,当該人工リーフはサンゴの生育に適した環境を提供している可能性が高いといえる。また,堆積物量が少ないほどサンゴ被度は大きくなる傾向がみられ,特にテーブル状サンゴでその傾向が強いことがわかった。
ブルーインフラを計画・設計する際には,生態系機能については検討されるものの,その場が有する多様な環境価値(生態系サービス)については検討されていない。そこで,複数の環境価値を同時に定量化および“見える化”できる評価手法を用いて,造成海浜の環境価値を評価した。評価結果は,管理者,地元NPO,専門家,研究者ら約20 名が参加するその造成干潟の検討会で示された。この検討会を通じて,環境価値の面からの関係者が期待することを造成海浜の計画・設計に反映することができた。また,関係者が造成海浜の整備後の各環境価値の大きさおよび環境価値と自然環境面・社会環境面の関連性を予め理解することができ,整備後の管理について,環境価値の維持・向上の観点から予め検討することができた。
本稿は,漁業とジェンダーに関する問題意識の向上とともに、女子・女性に漁業・漁村の魅力を知ってもらうこと等をねらいに展開されている、社会教育プログラム「漁する女子ジャパン」を取り上げ、参加者への意識調査を通して、今後実施効果を明らかにするための予備的検証を行ったものである。検証の結果、本プログラムは、漁業へのジェンダー問題を意識するためのきっかけづくりとなっているが、本調査に向けた課題が残されていることが確認できた。