支援対話研究
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5 巻
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  • 振り返りシートの質的分析より
    坪田 祐季
    2018 年 5 巻 p. 3-12
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/18
    ジャーナル オープンアクセス
    小学校等の義務教育機関から大学等の高等教育機関に至るまで,教育の在り方の質的転換が求められており,従来の教える教育から,対話を大切にしながら,考え理解を促す教育へ変化してきている。主体的に対話が行われるためには,授業において対話の「場」をどのように構築していくかが重要な要素になると考えられる。本稿では,教師を目指す学生対象の授業で行ったグループワーク後の振り返りシートの内容に着目し,質的分析によって学生の学びを明らかにすることで,対話を促進する要素を整理し,教師がどのように関与しながら対話の「場」を構築していくことができるか検討し,対話を促進する授業の在り方について考察することを目的とする。結果から,対話を促進していく要素と対話を促進する「場」について考察したところ,(1)ポリフォニー(2)安心・安全感の共通感覚(3)教師のファシリテート の3つの視点が重要であることが示された。これらの視点をもとに授業を行うことで,より主体的な対話が促進されると考えられる。
  • 坂倉 由季子, 保井 俊之, 当麻 哲哉, 前野 隆司
    2018 年 5 巻 p. 13-30
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/18
    ジャーナル オープンアクセス
    案件の複雑化や新規事業創出のため、企業内の連携や協業が近年、ますます重要視されるようになってきた。さらにバックグラウンドを持つ人々の連携や協業を促す方法論として、ダイアローグの理論及び実践の発展が2010 年代に入り注目を集めている。本研究では対話研究の中でもとりわけ連携及び協業における創発性が高いGenerative Dialogue(GD) (Isaacs 1999: 38-41) に着目し、システムズエンジニアリングの手法を用いた設計方法を提案し、その有効性を定性的及び定量的に検証した。 具体的な設計モデルの構築に当たり、機能設計レベルではGDに必要な機能として、対話に参加する機能、他者と連携することに積極的になる機能、参加者の高揚感が高まる機能、参加者が一体感を持つ機能、並びに参加者のパフォーマンスを出す機能の5 つを特定した。そして、物理設計レベルにおいて、この5 つの機能を用い、企業内で展開可能な、GD を生成するワークショップを設計した。さらに、提案したGD 設計の有効性を定性的及び定量的に検証するため、日本の中小企業の典型的存在と目される企業において、本研究により設計したGD 生成ワークショップを実施し、参加者の参与観察、PANAS、協調的幸福感尺度、並びに参加者の発言のテキストマイニングにより、定性的及び定量的に同ワークショップの有効性を示した。また、企業の現場でワークショップを実施し、参加者から高い満足度を得たことで、今後企業等で連携及び協業の促進のためにGD生成ワークショップが複製性のあるモデルとして展開できる可能性を示した。
  • 書籍を契機とした本質観取の実践と方法
    西條 剛央
    2018 年 5 巻 p. 31-66
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/18
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文では、「コーチング」という専門用語が、共通了解が得られていない我が国の状況を打開するために、1冊の書籍を通して「コーチング」の本質観取を実施し、コーチングの本質を構造として提示した。また、それをワークショップやオンライン上のディスカッションを経て精査し、さらに了解の強度の高いものにバージョンアップした。また、その本質が実践においてどのように適切な行動を導き得るのか、その有効性を論じた。最後に、本質行動学に基づくこの新たな本質観取の有効性と限界を論じ、本論文の研究枠組み自体を新たな本質観取の研究モデルとして提示した。
  • アカデミック・コーチング研究の深化と挑戦
    菅原 秀幸
    2018 年 5 巻 p. 67-77
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/18
    ジャーナル オープンアクセス
    アカデミック・コーチングは、それ自体が目的ではなく、22世紀教育のインフラストラクチャー(下支えする下部基盤)である。アカデミック・コーチング学会は、コーチングのプラットホームとしての役割を果たすことが期待されている。特に22世紀脳思考をもった次世代グローバルリーダーの育成こそが、22世紀日本繁栄の切り札となる。  そこで20世紀脳から22世紀脳へのパラダイムシフトを加速させるために、体系化・標準化・一般化したアカデミック・コーチングへの関心と期待がますます高まっている。  ハード・パワーが凋落する21世紀にあって、22世紀繁栄の日本へ向かうシナリオは、ソフト・パワーの強化以外にないだろう 。つまり世界に貢献し尊敬される次世代グローバルリーダーの輩出に活路を見出すことが出来る。アカデミック・コーチングは、そこに大きく貢献しうる可能性を秘めている。
  • 原口 佳典
    2018 年 5 巻 p. 79-92
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/18
    ジャーナル オープンアクセス
    この論考では、いわゆる現代的なコーチングが形になった時代に、「日本的なもの」がそのバックボーンにどのような「思想的影響」を与えたのかを分析する。日本の武道を通した「禅」の思想がエサレン研究所を介してコーチングの誕生に影響を与えているとの仮説を得たが、直接的に「思想的影響」があったことを証明することは難しいという結論となった。しかし、まったく影響されていない、ということを証明するのも難しいため、確かにコーチングが存在している世の中を生きている我々にとっては、可能性として過去のどのような「思想的影響」を受けているのかを考えることは、現在と未来のコーチングの発展にとって、決して無駄ではないだろう。
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