日本糖尿病教育・看護学会誌
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21 巻, 2 号
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資料
  • 大原 裕子, 瀬戸 奈津子, 柴山 大賀, 黒田 久美子, 飯田 直子, 金子 佳世, 田井 さやか, 照沼 則子, 任 和子, 法月 章子 ...
    2017 年 21 巻 2 号 p. 119-129
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/07/13
    ジャーナル フリー

    外来糖尿病療養指導に関する実態調査の一部として,糖尿病教室の開催スケジュールならびに糖尿病教室の内容と実施担当者の状況を明らかにすることを目的に,認定教育施設の看護職を対象に自由記載の調査票を配布し調査した.回答は297施設から得られた.開催スケジュールについては,1クール2週間,年間12クール,1日あたり60分間がもっとも多かった.糖尿病教室の内容は,病態,生活上の注意点,食事療法,検査/血糖自己測定(以下,SMBGと略す),フットケア,口腔ケア,シックディ,禁煙,民間療法等の20項目に分類でき,職種の専門性を活かしてそれぞれの内容を担当しており,1施設あたりの糖尿病教室実施担当者の平均人数は,4.55±1.98人であった.結果から,認定教育施設では糖尿病教室のスケジュールや内容,実施担当者は,ほぼ標準化されていると考えられた.そのため,今後は標準化されていない部分について焦点をあて探求することによって,集団教育介入にまつわる患者の特徴やニーズ,それに即した質の高い糖尿病医療・看護のあり方について検討したいと考える.

原著
  • 栩川 綾子
    2017 年 21 巻 2 号 p. 130-138
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/07/13
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,糖尿病足病変入院患者を看護する看護師の経験から,患者とのかかわりがいかに成り立っているのかを身体性に注目して記述することである.足病変患者の看護経験がある看護師に,非構造化面接を実施し,現象学を手がかりに2名の参加者のかかわりを記述した.

    参加者A氏は,患者の痛みやその生活の現状を自分の身体に接続させながら理解していた.また,足病変や健肢を知覚することで,患者の過去や現在の治療状況・医療システムを背景にそれらの意味を捉えていた.参加者B氏は,患者の治療を共にするなかで,患者の苦悩や治療の意味を身体から分かるようになった.かかわりは,このような看護師の身体の経験をもとに成されていたのであった.

    足病変患者への看護師のかかわりは,身体からの応答として成り立っていることが明らかになった.これは,知識をもとにして思考することとは別様の,身体で応じる中で自ずと生起するものと考えられた.

研究報告
  • 小池 美貴, 稲垣 美智子, 多崎 恵子, 松井 希代子, 堀口 智美, 藤田 祐子, 小田 梓, 宮崎 彩乃
    2017 年 21 巻 2 号 p. 139-146
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/07/13
    ジャーナル フリー

    2型糖尿病患者の療養生活における同病者との繋がりの様相を明らかにすることを目的とし,老年期の2型糖尿病患者10名を対象に半構成的面接を実施し,質的記述的手法を用いて分析を行った.

    その結果,繋がりの様相は6つのテーマに表すことができた.患者は内在する心情が影響し自分達の力だけでは繋がりに発展することが困難であること,同病者との繋がりには3つのパターンが存在すること,繋がりをもっているように見える患者であっても同病者との繋がりや自身の身体状態に不満足感を抱いていることが明らかとなった.よって看護師は患者の心情に配慮しつつ,パターンに応じた繋がりの勧め方を行う重要性が示唆された.

  • 小田 梓, 稲垣 美智子, 多崎 恵子, 松井 希代子, 堀口 智美, 小池 美貴, 藤田 祐子
    2017 年 21 巻 2 号 p. 147-154
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/07/13
    ジャーナル フリー

    本研究では2型糖尿病患者の睡眠状態を睡眠計を用いて測定し,それをもとに睡眠のパターンを分類した.12名の2型糖尿病患者を対象に,睡眠計を用いて14日間の睡眠の量(就床時間,睡眠時間,ぐっすり睡眠時間,寝つき時間,夜中の目覚め時間)を測定し,また睡眠の質(睡眠効率,熟眠率,覚醒率)を算出した.その結果から類似性を見出し,パターン分類を試みた.結果,2型糖尿病患者の睡眠のパターンとして「規則的睡眠の熟眠タイプ」,「不規則な短時間睡眠タイプ」,「長時間就床の熟眠困難タイプ」,「規則的な熟眠困難タイプ」の4種類のパターンを描くことができた.また,パターンごとに患者背景を検討し,性別,年齢,受療期間,HbA1cに特徴があった.以上より,糖尿病患者の睡眠には4つのパターンがあることが示唆され,それらと糖尿病コントロールとの関連を検討する必要性があると考えられた.

資料
  • 岩田 文, 木元 喜子, 佐藤 佑郁, 竹内 悠華, 中野 雄太, 八田 菜未, 水野 友貴, 本谷 裕香, 稲垣 美智子, 多崎 恵子, ...
    2017 年 21 巻 2 号 p. 155-162
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/07/13
    ジャーナル フリー

    本研究では,2型糖尿病患者の外来受診に向けての主体性および療養における行動・思いの実態と,これらの関連を明らかにすることを目的とし,2型糖尿病患者175名を対象に自記式質問紙調査を行った.主体性は自宅で受診前に行う振り返りおよび医療者に聞きたい内容の準備の有無にて査定,行動・思いは,食事・運動・薬物療法の遵守,糖尿病療養に関する知識の理解,外来受診への肯定的思い,医療者への期待など31項目にて査定した.

    その結果,有効回答149名(85.1%),受診に向けての主体性あり47名(31.5%)であった.療養における行動・思いの実態では,薬物療法の遵守,糖尿病療養に関する知識の理解,外来受診への肯定的思いにおいて,“良好”との回答割合が高かった.主体性と行動・思いとの関連では,全31項目中15項目で有意差があり,その多くは糖尿病療養に関する知識の理解と医療者への期待における項目であった.

    以上より,患者が主体性を持てるよう知識を提供すること,患者が治療の効果を得ていると実感できるよう医療者が関わることの重要性が示唆された.

第21回日本糖尿病教育・看護学会学術集会
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