日本糖尿病教育・看護学会誌
Online ISSN : 2432-3713
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22 巻, 1 号
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実践報告
研究報告
  • 藤田 祐子, 稲垣 美智子, 多崎 恵子, 小池 美貴, 小田 梓, 池本 温美, 宮崎 彩乃
    2018 年 22 巻 1 号 p. 7-17
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/22
    ジャーナル フリー

    本研究は,糖尿病性腎症患者の内シャント造設が透析生活に与える影響を明らかにすることを目的に,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた質的因子探索研究である.参加者は,医療機関で血液透析を実施し,導入して5年以内の2型糖尿病性腎症患者11名であった.分析テーマは,「内シャント造設が透析に向けて建設的に働き,腎不全を自分のこととして受け入れ療養していくプロセス」と「内シャント造設を客体化し,腎不全を実感できないことにより義務的に透析を行うプロセス」の2つが導き出された.2つのプロセスの始点は,内シャント造設告知時の身体想起の違いによるものであった.内シャント造設が,透析している現在の身体との付き合い方に影響を及ぼしていたことが明らかとなった.内シャント造設は,透析準備期だけでなく,透析の告知以前や現在にも影響を与えており,透析準備期の患者の関わり方に活用できることが示唆された.

  • 小田 梓, 稲垣 美智子, 多崎 恵子, 松井 希代子, 堀口 智美, 小池 美貴, 藤田 祐子
    2018 年 22 巻 1 号 p. 18-24
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/22
    ジャーナル フリー

    本研究は2型糖尿病患者における失感情症・失体感症,睡眠,抑うつの実態と各々との関連を明らかにすることを目的とした関連探索研究である.I県内の2病院に外来通院する2型糖尿病患者47名に対し,失感情症傾向を評価するTAS―20(20―item Toronto Alexithymia Scale),失体感症傾向を評価するSTSS(Shitsu-Taikan-Shou-Scale:体感への気づきチェックリスト),睡眠の質を評価するPSQI(Pittsburgh Sleep Quality Index),抑うつ傾向を評価するPHQ―9(Patient Health Questionnaire:こころとからだの質問票)を用いて調査を行った.分析にはSPSS Statistics 22.0を用い,記述統計および2群間の比較,ANOVA を行った.結果,2型糖尿病患者の59.6%が睡眠の質が悪いと評価しており,睡眠時間が6時間未満の者と合併症を持つ者に失感情症,抑うつ症状が高い傾向(いずれもp < 0.05)がみられた.また,HbA1cと4質問紙との関連はなかった.以上より2型糖尿病患者に対して睡眠の質の向上を支援するとともに,短時間睡眠の改善および合併症を持つ患者に対し,失感情症,抑うつ傾向改善に向けた心理面での支援の必要性が示唆された.

実践報告
  • 木下 千恵
    2018 年 22 巻 1 号 p. 25-32
    発行日: 2018/07/01
    公開日: 2018/10/29
    ジャーナル フリー

    本研究は,ローカス・オブ・コントロール(LOC)尺度の得点に基づいて,入院中患者を内的統制群,外的統制群,中間群の3群に分け,群毎の指導手順票を作成して患者の支援を行い,その後の得点変化と面接で語った内容から支援効果を検討した報告である.入院直後の得点より退院前の得点が,上昇した患者は14名中10名で,低下した患者は4名となった.入院直後と退院前が共に内的統制群であった患者は3名,中間群は3名,外的統制群は4名となり,入院直後外的統制群で退院前中間群は3名,入院直後外的統制群で退院前内的統制群は1名となった.内的統制群は,指導手順票通りに検査結果や症状の改善などの納得する情報提供をするとに効果があった.外的統制群や中間群は,治療効果を実感するが,自分のコントロール下にないという外的統制の傾向から《実行できるか不安》を感じた.このため《周囲の協力》を求め,実行に向け協力体制の拡充を必要とした.また,すべての群に《治療効果の実感》があり,検査結果の変動や症状の改善に気付かせる支援を,指導手順票に設定する必要が示唆された.

資料
  • 西尾 育子
    2018 年 22 巻 1 号 p. 33-43
    発行日: 2018/07/01
    公開日: 2018/10/29
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,成人期2型糖尿病患者に対する家族支援のあり方を検討することである.Berelson.Bの内容分析を参考に,家族支援,看護師から家族への支援,看護師から患者への支援を類似性に基づき,分類・コード化した.その結果,家族支援で6個,看護師から患者への支援で2個,看護師から家族への支援で5個のカテゴリがそれぞれ抽出された.これらにより,家族から患者の支援では,患者の療養行動におけるストレスや不安の軽減など心理面への働きかけ,患者の治療継続を促進する声掛けや患者と協働する必要性が示唆された.看護師から患者への支援では患者の社会的役割や家族役割機能を理解して,患者とその家族の関係を築き,家族支援のあり方を支持する必要性が示唆された.看護師から家族への支援では,支援環境の提供や家族への知識の獲得支援など,家族の努力を共有して自己効力感が向上する支援を行い,家族が抱く思いや不安へ配慮する心理的支援の重要性が示唆された.

第22回日本糖尿病教育・看護学会学術集会報告
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