日本糖尿病教育・看護学会誌
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28 巻, 1 号
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実践報告
  • 林 友子, 平澤 則子, 川野 英子, 高林 知佳子
    2024 年 28 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/05/30
    ジャーナル フリー

    本研究は,日本糖尿病療養指導士(Certified Diabetes Educator of Japan:以下,CDEJと略す)資格を有する診療所の看護師が行う2型糖尿病患者への患者教育の特徴を明らかにすることを目的に,CDEJ資格を有する診療所の看護師7名に対し半構成的面接法を用いて調査した.CDEJ資格を有する診療所の看護師が行う2型糖尿病患者への患者教育の特徴として【診療の合間の時間で教育を実践する】【患者一人一人に合わせた関わりをする】【患者の主体的な行動を支える関わりをする】の3つのコアカテゴリーが抽出された.看護師は診療の合間をぬった教育でありながらも,患者一人一人の生活背景をアセスメントし,より効果的な患者教育を考え実践していた.さらに,患者の主体性を重視し自己決定を促しつつ,受診中断させないことを意図して関わっていた.

原著
  • 森 加苗愛, 岡 佳子, 藤原 優子, 餘目 千史, 佐藤 栄子, 清水 安子, 住吉 和子, 髙橋 慧, 東 めぐみ, 村角 直子, 山﨑 ...
    2024 年 28 巻 1 号 p. 9-18
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/05/30
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,看護師が捉えたCOVID-19感染拡大下における糖尿病患者の療養生活の困難さと心理的苦痛を明らかにすることである.

    調査は,慢性疾患看護専門看護師または糖尿病看護認定看護師に対し1施設1回答とし,無記名式質問紙によるWEB調査を実施した.調査内容は,COVID-19感染拡大下における糖尿病患者の療養生活における苦労や不安等であり,自由記述内容を質的帰納的に分析した.結果,有効回答数は174であった.看護師が捉えた療養生活の困難さと心理的苦痛は【良好な糖尿病の疾患管理を目指す療養生活を継続する上での困難さ】,【高齢糖尿病患者にもたらされた療養生活維持の困難さ】,【自身がCOVID-19に感染したことで生じた困難さ】,【療養生活が脅かされる不安】,【自粛生活に伴う孤独感や悲哀】,【療養生活への意欲低下】,【感染予防対策への負担感】の7つのカテゴリーが導出された.

    糖尿病患者が,COVID-19感染拡大下で従来の療養生活を営むことは,様々な困難さや心理的苦痛をもたらす.看護師は,患者の状況に応じた速やかな判断と支援体制を整える能力を養うことが求められる.

実践報告
  • 式田 由美子, 大末 美代子, 大野 夏稀, 脇 幸子, 清水 安子
    2024 年 28 巻 1 号 p. 19-28
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/05/30
    ジャーナル フリー

    目的:糖尿病セルフケア能力測定ツール(IDSCA)を活用したセルフケア支援での入院時と退院時における患者―看護師間の相互作用を探究することである.

    方法:看護師と患者とのIDSCAを活用したセルフケア支援でのやり取り5事例を質的統合法(KJ法)で入院時,退院時別に分析をした.

    結果:入院時は【表層的な合意】と【セルフケア状況の振り返り】が基盤となり,【差異の探究】と【後押ししながらの共有】が影響し【自己客観視の始まり】となった.その結果,【支援に向けた看護師の心持ちの表明】と【患者の決意表明】となっていた.退院時は【評価の共有】と【状況の共有】が基盤となり,【対話での気づき】と【両者で許容】と【共に熟考】が相まって,【今後へ向けた協働】となっていた.

    結論:患者―看護師間の相互作用は,入院時は“共有”から“応答”へ発展し,退院時は“共有”が基盤となって“応答”,“安定”へ発展した.入院時,退院時ともに,両者は相互作用の深まりの中で成長を認めたため,IDSCAの活用の意義が示唆された.

資料
  • 水島 道代, 山﨑 歩
    2024 年 28 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/05/30
    ジャーナル フリー

    就学前後の1型糖尿病児に対する血糖管理を目指した親の関わりを明らかにすることを目的とした.方法は,幼児期以前に1型糖尿病を発症し,学童期となった子どもの親に半構成面接を行い,質的記述的に分析した.結果では,【管理の基本的数値と症状を教える】【低血糖で起きる体の変化を認識させる】【血糖値に応じた食べ方とインスリン計算を教える】【知識や対処を日常の中で確認することを繰り返す】【子ども一人でのインスリン計算を促す】【経時的血糖変化を振り返り一緒に対処を考える】等10カテゴリが示された.これらのカテゴリは,就学前の『子ども自身で生命を守ることができるようになるための関わり』と,就学後の『子どもが日常の中での血糖変化を捉えて対処できるようになるための関わり』の2つに特徴づけられた.就学前の子どもの親は,数字の意味から教え,次に一緒に日常生活を振り返る中で,遊びの要素も取り入れつつ,子ども自身で考え対処できるための関わりを段階的に行っていた.

  • 黒木 美紀, 瀬戸 奈津子
    2024 年 28 巻 1 号 p. 37-47
    発行日: 2024/06/30
    公開日: 2024/09/05
    ジャーナル フリー

    目的:糖尿病のつらさに着目し,抑うつ症状予防における療養支援を検討する.

    方法:PubMed,CINAHL Complete,医中誌Webのデータベースを用いて,2020年8月までに公表された文献のうち選定基準により23文献を選出し分析した.

    結果:抑うつ症状予防における支援は,【糖尿病と抑うつ症状の双方に着目した支援】【糖尿病のつらさに着目した支援】【負担感軽減とQOL維持にむけた多職種連携による支援】【セルフケアと自己効力感を向上する支援】【糖尿病治療と患者の特性やニーズに応じた社会的支援】であった.

    結論:糖尿病のある人が生活の中で生じる糖尿病のつらさと糖尿病の由来に限らない抑うつ症状の兆候を捉え,多職種連携により,治療や生活に伴う負担軽減を図る.セルフケアのつらさを理解し,セルフケアを高める時機を見極め工夫する.ライフステージにおける各局面から生じる糖尿病のつらさを見据えた社会的支援の必要性が示唆された.

短報
  • 渡辺 忍, 木村 晶子
    2024 年 28 巻 1 号 p. 49-52
    発行日: 2024/06/30
    公開日: 2024/09/05
    ジャーナル フリー

    インスリン療法を行っている要介護高齢者の訪問介護利用は多い.本研究では訪問介護職のインスリン療法に関する支援の重要性・必要性の認識と知識,不安度を明らかにすることを目的にA県内の訪問介護事業所31か所を対象に,勤務する訪問介護職39名に対してアンケート調査を実施した.

    訪問介護職としてインスリン療法に関する支援は大事だと回答した者は33名(86.8%),注射や血糖自己測定に関する声かけ見守りについては7割以上の者が必要と回答した.注射の代行については約1割,注射や血糖自己測定についての準備や片づけの代行は3~4割の者が必要と回答した.また,インスリン療法に関する支援を行ううえで知識がないと回答した者は21名(58.4%),不安があると回答した者は27名(75.0%)だった.

    糖尿病医療に関わる看護師や訪問看護師は,訪問介護職とともにインスリン療法に関する支援の必要性を検討する必要がある.

資料
  • 日本糖尿病教育・看護学会 研究推進委員会(第11・12期 2020年9月~2022年8月), 餘目 千史, 佐藤 栄子, 村角 直子, 岡 ...
    2024 年 28 巻 1 号 p. 53-62
    発行日: 2024/06/30
    公開日: 2024/09/05
    ジャーナル フリー

    【目的】COVID-19感染拡大下の外来における糖尿病患者の看護支援の実態を明らかにする.

    【研究方法】Web調査によりデータ収集を行った.対象者は慢性疾患看護専門看護師および糖尿病看護認定看護師とした.分析方法は記述統計,属性と質問項目の関連はχ2検定を用いた.

    【結果】回答数は198名で有効回答数は192名(97.0%)であった.142施設(74.0%)で「糖尿病教室(集団教育)」の開催件数が減少したが,外来での対面での個別相談は,変化なしが83施設(43.2%),減少した施設は58施設(30.2%)であった.インスリン注射指導は変化なしが103施設(53.6%),フットケア指導では変化なしが91施設(47.4%)であった.糖尿病看護外来を設置している施設のほうが支援体制を変更せずに支援を行っていた(p=.007,p=.016,p=.002).

    【考察】感染拡大下においても外来での指導を継続し,看護外来がある施設では指導体制を変更せず看護支援を行っていたことから,指導が可能となる環境の重要性が示唆された.

委員会報告
2023年度学会賞受賞者寄稿
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