日本糖尿病教育・看護学会誌
Online ISSN : 2432-3713
Print ISSN : 1342-8497
ISSN-L : 1342-8497
最新号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
委員会報告
2024年度学会賞受賞者寄稿
実践報告
  • 南里 穂, 永渕 美樹, 江頭 早苗, 藤井 純子, 安西 慶三, 古賀 明美
    2025 年29 巻2 号 p. 41-46
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/10/28
    ジャーナル フリー

    佐賀県では糖尿病支援体制の充実を図り,合併症の発症や重症化予防を目指して,佐賀県糖尿病コーディネート看護師(以下,CONsと略す)の育成および活動支援を実施した.本稿では,CONsの実践と意義を検討した.治療中断歴があり複雑な課題を抱える2型糖尿病患者に対し,CONsは保健師と連携して受診再開を促した.また,糖尿病基幹病院の糖尿病専門医や多職種と連携し,患者が糖尿病治療を受け入れられるよう看護実践を展開した.さらに,かかりつけ医療機関に逆紹介する際には,かかりつけ医療機関を訪問し医師,看護師と連携して支援した.CONsが訪問することで,かかりつけ医療機関看護師が糖尿病治療について知識を得る機会となり,患者は治療を継続できた.CONsの保健師および地域の医療機関との連携は患者の治療継続に有益である.この活動が拡大することで地域の糖尿病治療支援の水準の向上にも寄与することが示唆された.

資料
  • 清水 浩美, 富岡 晶子, 谷本 真理子
    2025 年29 巻2 号 p. 47-54
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/10/28
    ジャーナル フリー

    本研究は,糖尿病移行の確率が高い妊娠糖尿病(以下.GDMと略す)女性の産後生活を知ることが,糖尿病発症予防の支援を検討するうえで必要であると考え,出産後1年以内の変化の大きい時期における妊娠糖尿病と診断を受けた女性の産後生活を明らかにすることを目的に,9名に半構造化面接を行い質的帰納的に分析した.その結果,【厳しい食事制限から解放され食事量や間食が増えている】【血糖値を気にしながら自分なりの判断で食事をしている】【自分では生活をコントロールすることができないほど育児に追われている】【妊娠中の療養方法を活かして食事をしている】【家族が健康的に過ごせる生活の仕方を選んでいる】【妊娠糖尿病診断による孤独感や不安に一人で対処して過ごしている】【サポートがなければ自分のための時間を作ることができない】という生活が明らかとなった.女性たちはGDM診断時からの孤独感や不安に一人で対処し,育児に追われながらも,自身と家族の健康のために妊娠中の療養方法を取り入れて過ごしていた.GDM女性が療養経験を踏まえて精神的・身体的な健康を維持し,糖尿病を予防するために医療機関や地域の専門職が連携し,継続的に支援する必要性が示唆された.

  • 太田 美帆, 伊波 早苗, 東 めぐみ, 恩幣 宏美, 小田 和美, 林 優子, 河口 てる子, 下村 裕子, 安酸 史子, 井上 智恵, ...
    2025 年29 巻2 号 p. 55-64
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/10/28
    ジャーナル フリー

    本稿では,「看護の教育的関わりモデル」の構成概念である「治療の看護仕立て」の先行要件・属性・帰結の明確化と再定義を概念分析の目的とし,Walker & Avant(2005/2008)の手法に沿って行った.「治療の看護仕立て」の属性は,【認知・生活・意思を捉える】【治療を生活に合わせる】【治療の効果・リスク・実行可能性を見通す】【治療を工夫し調整する】【患者に合った方法を選択する】【医師と連携・交渉する】【治療と生活の折り合いがつくように提案し,やりとりをする】の7つが抽出された.先行要件は「患者の生活と治療とのずれ」と「看護職者の疾患・治療に関する専門的知識・技術」であり,帰結は「調和のとれた治療」と「疾患コントロールの改善」であった.「治療の看護仕立て」を「看護職者が,対象者の意思・認知・生活に合わせて,効果・リスク・実行可能性を見通し,医師と連携・交渉しながら,治療を工夫し調整するプロセス」と再定義した.

  • 大倉 瑞代, 石井 彩, 正木 治恵
    2025 年29 巻2 号 p. 65-76
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/02/13
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,持続血糖モニタリング(CGM)を活用した患者体験を統合し,看護師の教育・支援の示唆を得ることである.質的研究を統合し新たな解釈を作るメタエスノグラフィーを適応した.データベースは医中誌Web,PubMed,CINAHLで,キーワードは糖尿病,CGM,質的研究で検索した.

    選定文献10件から患者体験を抽出し,10個に統合した最終メタファーの関係性から構造図を作り解釈を作成した.体験は,機器の精度や皮膚反応や医療費の不満,血糖変動の理解による安心感とコントロール感の高まりによる糖尿病にとらわれない感覚,CGM機器で可視化される糖尿病のネガティブな感情に影響されつつCGM活用の利益と負担のバランスの思索をすることであった.そして,日常生活に沿った教育と支援の希望が根底にあり,CGMを通じ肯定的に変化する人間関係が全体に波及していた.

    CGM活用の利益と負担を踏まえ,CGM活用の意思決定と活用していく思索の過程に寄り添うこと,肯定的なフィードバック,家族や周囲の人へのCGMを活用するための教育・支援が重要である.

原著
  • 藤井 夕香, 関根 智子, 仲田 紗起子, 田島 輝実, 佐藤 千代, 船引 理絵
    2025 年29 巻2 号 p. 77-85
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/02/13
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)における目標値範囲に入っていない後期高齢者の特徴を明らかにすることである.113名を目標値範囲に入っている群と入っていない群の2群に分け,高齢者総合機能評価の各項目についてカイ二乗検定およびMann-Whitney U検定を行った.目標値範囲に入っていない群は,BMI低値,栄養状態不良,うつ傾向ありが有意に高かった.性別で分けた場合,男性において目標値範囲に入っていない群は,栄養状態不良,うつ傾向あり,重症低血糖が危惧される薬剤の使用ありが有意に高かった.また,目標値より高い群は,BMI低値,栄養状態不良,うつ傾向あり,女性が有意に高かった.

    目標値範囲に入っていない後期高齢者の特徴として,BMI低値,栄養状態不良,うつ傾向ありが確認された.老年症候群への移行を予防するためにこれらに注目して療養指導を行うことが重要であることが示唆された.

資料
  • 川口 七海, 青盛 真紀, 徳永 友里, 渡部 節子
    2025 年29 巻2 号 p. 87-93
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/02/13
    ジャーナル フリー

    本研究は,診断後3ヵ月以内の2型糖尿病患者を対象に,食行動における男女の差異を明らかにすることを目的とした.自記式質問紙にて食行動を調査し,性別による食行動の差異についてマンホイットニーのU検定を用いて検討した.分析対象者は男性69名,女性32名であった.食行動の比較では,男性の方が,「甘味料はカロリーの少ない人工甘味料を使う」の実施率が高く(U = 769.00,Z = -2.34,p = 0.02,r = 0.24),また「煮物などは甘い味付けのものを好んで食べる」(U = 719.00,Z = -2.82,p = 0.01,r = 0.28),「空腹感を覚えたらすぐに何かを食べる」(U = 775.5,Z = -2.42,p = 0.02,r = 0.24),「揚げ物を好んで食べる」(U = 841.00,Z = -1.99,p = 0.05,r = 0.20)という是正が推奨される食行動を控えていた.今回の結果により,治療開始早期の2型糖尿病患者の食事療法に関する自己管理教育と治療支援を行う際には,性差による食行動の特徴を考慮した質問を組み込むことで,早期に問題を抽出することができ,的確な教育的支援に結びつけることができると考えられる.

  • 岩下 真由美, 高見沢 恵美子, 岡光 京子
    2025 年29 巻2 号 p. 95-105
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/02/13
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,青年期以降に発症した1型糖尿病をもつ人のレジリエンスの内容を明らかにすることである.

    研究参加者は,糖尿病専門外来に通院している青年期以降に発症した1型糖尿病患者21名であった.レジリエンスの内容について,半構造化面接を行い,面接内容を質的帰納的に分析した.面接内容は対象者の許可を得て録音し,逐語録を作成し,1型糖尿病をもつ人のレジリエンスの内容を表す記述を抽出し,コード化し,カテゴリー化した.

    結果として,91コードが抽出され,青年期以降に発症した1型糖尿病をもつ人のレジリエンスの内容として,【楽観的な性格】【ストレスに対する柔軟な対応】【知識や技術を獲得するための行動】【良好な血糖コントロールを目指すために行っている方法】【周囲の人からのサポート】【1型糖尿病と共に生きていくことへの後押し】【1型糖尿病についての前向きな受け止め】【インスリン注射に対する前向きな受け止め】【1型糖尿病と共に生きることへの決意】【生きていくうえでの抱負】の10のカテゴリーが抽出された.

    本研究で明らかにされたレジリエンスの内容には,2型糖尿病と比較して,1型糖尿病をもつ人に特有なレジリエンスが多く認められ,看護実践の場では個々のレジリエンスを把握し,支援をしていく必要があることが示唆された.

  • 村内 千代, 大原 千園, 任 和子, 瀬戸 奈津子
    2025 年29 巻2 号 p. 107-115
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/02/13
    ジャーナル フリー

    背景:就労世代に治療中断が多く,受診勧奨や受診時間の柔軟な調整が推奨されているが,支援の実態は明らかになっていない.研究目的:就労する50歳未満成人2型糖尿病患者の治療中断予防の看護支援の実態を明らかにする.研究方法:病院,クリニック・診療所に所属する糖尿病看護認定看護師725名を対象にオンライン調査を実施した.結果:有効回答数は206件(有効回答率29.6%)であった.直近1年間に受診した2型糖尿病患者の内,50歳未満の成人患者のおよその割合は25%,療養指導の対象年齢は60歳以上が85%以上を占めていた.治療中断リスクの明確な判断基準はなかったが,治療中断歴,経済的問題,忙しさ,そして不安定な通院状況が治療中断のリスクの判断基準として認識されていた.治療中断予防の支援として,未来院時の電話連絡や個別の状況に応じた治療中断予防の看護支援が提供されていた.考察:治療中断予防の看護支援につながる客観的で標準化された治療中断リスクの判断基準の作成と活用が望ましい.患者を取り巻く社会の状況を理解し,患者と一緒に治療中断しない工夫を考える関わりが重要である.

Original Article
  • Satoko Maeno, Kimie Fujita, Miyuki Ushio, Kenji Ashida, Kenta Murotani ...
    2025 年29 巻2 号 p. 117-125
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/02/13
    ジャーナル フリー

    This study aimed to assess whether patients with type 2 diabetes mellitus (T2DM) meet the recommended time of moderate-to-vigorous physical activity (MVPA) and to identify clinical and behavioral factors associated with MVPA. In this cross-sectional study of 74 outpatients with T2DM, physical activity (PA) was assessed using accelerometers and self-management behaviors were measured using a validated questionnaire. Overall, 58.1% of participants achieved the recommended MVPA time (≥ 150 minutes/week) and were classified as the Active group; the remaining participants formed the Inactive group. Participants in the Active group demonstrated significantly higher daily step counts and total physical activity than the Inactive group. In addition, self-management behaviors related to commuting, activity planning, and deliberate exertion in daily routines were more prevalent among those meeting MVPA recommendations. Hierarchical multiple regression analysis identified body mass index (BMI) and habitual active behavior as significant factors associated with MVPA time. The Active group had lower BMI and triglyceride levels and higher high-density lipoprotein cholesterol than the Inactive group, supporting the metabolic benefits of MVPA. Participants employed strategies to increase PA, such as taking more steps during commuting, selecting suitable times and places for activity, and increasing exertion in routine movements. These findings underscore the importance of cultivating habitual PA behaviors to achieve and maintain recommended MVPA times. As PA was measured over a 7-day period, seasonal or temporal variations may have influenced the results. Future studies should explore long-term, sustainable strategies to integrate PA into daily life and support diabetes management.

原著
  • 新井 惠津子, 服部 智子
    2025 年29 巻2 号 p. 127-134
    発行日: 2025/12/31
    公開日: 2026/02/13
    ジャーナル フリー

    〔目的〕本研究は,糖尿病を併存疾患に持つ患者の周術期における熟達看護師の実践知を明らかにすることを目的とした.〔方法〕フォーカス・グループインタビューを行い,質的統合法(KJ法)を用い分析した.〔結果〕熟達看護師は,入院時【セルフケア状況の入念なアセスメントによる統一した早期介入】を行い,相俟って術後では【術後の状態を見極めた時期を逸脱しない介入】を実践していた.そして,【入院をセルフケア改善のチャンスと捉えた無理のない指導】と通底し,【入院期間による制限や糖尿病患者の受入れ拒否から最低限となる指導】を実施していた.これらを基盤とし【術後の変化を捉え自ら行う院内外の医師とのつながり】を行う一方で,【確立したい病棟看護師へのサポート体制】があった.〔考察〕熟達看護師の実践知として,患者の特徴に適合した周術期看護の提供のみならず,糖尿病セルフケア再構築を志向していることが明らかとなった.

feedback
Top