高等教育開発
Online ISSN : 2436-9918
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特集 大学執行部から見た教学運営
  • 中井 俊樹
    2026 年5 巻 p. 1-6
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/04/18
    ジャーナル フリー

    全学的な高等教育開発の必要性が広く認識される一方で、その推進は容易ではない。本稿は筆者が所属大学において関わってきた実践をもとに、全学的な高等教育開発の進め方を体系的に整理することを目的とする。筆者の経験から得られた知見を、全学的な高等教育開発を現実に動かすための実践的な推進方法として14項目に整理した。納得できる意義の共有、学内の成功事例の展開、大学計画への位置づけ、外部資金の活用、組織の動き方の理解、適切なタイミングの見極め、会議前の調整、原案の作成、データの活用、FDの戦略的活用、重要な問いの設定、ハードとソフトの統合、さまざまな力の活用、構成員からの信頼の向上である。これらは一般的な組織開発と共通する側面を持ちつつも、大学組織の特性を前提に再構成された点に意義がある。全学的な高等教育開発に携わる教職員にとって、行動の選択肢を広げ、実践を省察するための有用な視座を提供するものである。

  • 関田 一彦
    2026 年5 巻 p. 7-12
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/04/18
    ジャーナル フリー

    本誌編集委員会より大学執行部から見た教学運営に関する特集を組むにあたり、(1)全学的な教育改革のビジョンとそれに基づく実践、(2)執行部の立場で新たに実施した全学的な高等教育開発の取組、(3)大学執行部と学部・学科とのコミュニケーション活性化の取組、の3点を中心にした寄稿を依頼されたので拙稿をまとめた。

    まず、本学の執行体制を説明する。次に私の教学畑の歩みを紹介し、副学長1期目と2期目の違いを押さえた後で、上記3点について具体例を挙げて述べる。かなり個人的な振り返りであり、感想だが、一人のFD担当者が一つの大学の教育改革にどのように取り組んできたのかを開陳することで、何かしら読者の参考になれば幸いである。

  • 服部 律子
    2026 年5 巻 p. 13-16
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/04/18
    ジャーナル フリー

    「副学長」とひとくちに言っても、各大学の設置者や規模、学部構成などによってその職務は異なっている。本稿では、収容定員が1,264名の「超」小規模大学における「ひとり副学長」の取り組みを紹介する。本学では2022年のキャンパス統合に伴い、副学長が2人から1人となった。副学長の主な職務の範囲は教育、学生支援、研究支援、大学広報である。これらを1人で担当するには限界もある一方、1人で担当しているからこそ見える課題や解決策もある。「縦割り」になりがちな中、関連する各委員会をつなぎ、早い段階で関係部署との調整や連携を行うことで効率的な運営につなげること、学部・学科をつなぎ学部等の垣根をこえて協働できる組織づくりなど、“つなぐ”をキーワードに「ひとり副学長」だからこそできる課題への取り組みに努力しているところである。

  • 榊原 暢久
    2026 年5 巻 p. 17-22
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/04/18
    ジャーナル フリー

    芝浦工業大学における教学マネジメントは、2019年度までの仕組みづくりの期間と、2020年度のCOVID-19禍での取り組みを経た、2021年度以降の「カリキュラムの整合性整備」「学修成果の可視化」「機関別認証評価対応」「内部質保証における学生参画」に大別して述べることができる。本稿では、学長補佐および教育イノベーション推進センター長としての著者の視点から見た芝浦工業大学における教学マネジメントについて述べる。

  • 近田 政博
    2026 年5 巻 p. 23-27
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/04/18
    ジャーナル フリー

    神戸大学の「2学期クォーター制」導入は、全学的に目玉となる教育改革を打ち出したいという意図と、短期留学などの海外学修を促進したいという意図により、2016年度に導入された。学生は同制度にしだいに順応し、海外学修する学生数および学生の授業関連学修時間は微増した。それにもかかわらず、現在では以前のセメスター制度に戻す部局が増えている。最大の要因は、教育現場における教職員の納得感が得られなかったことである。試験、採点、成績評定・入力の回数が倍増したことは教職員に大きな負担感を与えている。肝いりで設計したギャップターム制も期待どおりには機能しなかった。文科省や中教審の提案は、あくまで机上の選択肢にすぎず、それを教育現場で運用する際にどこまでの時間と労力を投入するかは各大学の判断による。最適解は各大学が現場で模索する以外にない。教育現場の納得感を得られない施策は長続きしないだろう。

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