日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
12 巻, 7 号
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論文
  • 佐藤 智美, 堤 英明
    2012 年 12 巻 7 号 p. 7_1-7_18
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/28
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震後に福島県浜通り付近で発生した正断層の地震群の強震記録を用いて、スペクトルインバージョンにより短周期レベルを推定した。その結果、4月11日のMJ7.0の地震の短周期レベルは、地殻内地震の平均値とほぼ同じであることがわかった。また、MJ7.0の地震の最大加速度と最大速度は距離減衰式より大きいが、これには地盤増幅の影響が含まれており、各観測点で得られている地盤増幅率で補正すると距離減衰式と同レベルとなることを示した。さらに、他の逆断層の地震と比較して、より遠方まで、断層平行方向に対する断層直交方向の応答スペクトル比が大きい傾向があり、Rayleigh波の卓越が寄与していることを指摘した。
  • 藤生 慎, 大原 美保, 目黒 公郎
    2012 年 12 巻 7 号 p. 7_19-7_37
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/28
    ジャーナル フリー
    大規模地震時が発生した際には,被災建物に対する建物被害認定を迅速に行い,生活再建のための罹災証明書をいち早く発行する必要がある.このためには,多数の判定員が必要であり,危険な環境の被災地内での困難な作業が想定される.これらの現状を踏まえると,IT技術を用いて被災地内と被災地外を有機的に結び付け,迅速な建物被害認定と罹災証明書の発行を支援する仕組みが非常に重要であると考えられる.そこで本研究では,スマートフォン・Webを用いた建物被害認定の遠隔判定システムを開発し.これらの機能に関して,建物被害認定の自治体へのヒアリングを通じて有効性の評価を行った.
  • 神田 和紘, 境 有紀
    2012 年 12 巻 7 号 p. 7_38-7_45
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/28
    ジャーナル フリー
    木造建物の全壊といった建物の大きな被害と対応した震度を迅速に計算するために,計測震度の算定に用いるフィルタの周波数特性を修正することを試みた.具体的には,過去に発生した地震動の観測点周辺の木造建物全壊率と対応するようにフィルタの周波数特性を修正した.その結果,フィルタの周波数特性を修正することにより,木造建物の全壊率と対応した震度を迅速に計算できることがわかった.
  • 王寺 秀介, 澤田 純男, 後藤 浩之
    2012 年 12 巻 7 号 p. 7_46-7_61
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/28
    ジャーナル フリー
    特性化グリーン関数に基づいた地震動の応答スペクトル予測手法を提案する.この手法は,断層破壊によって生じる震源特性の影響を,オメガ・スクエア・モデルと等価なスペクトル形状を持つ最も単純な波形(特性化グリーン関数)をIrikuraの波形合成法に従って重ね合わせることにより理論的に評価し,その波形から断層の破壊伝播効果と放射特性を考慮した応答スペクトル補正係数を求め,距離減衰式から求めた応答スペクトル値にかけ合わせることで,地震動の応答スペクトル値を求めるというものである.統計的グリーン関数法と比較して,断層破壊過程による影響を理論通り正確に反映し,かつ安定した計算結果が得られることが大きな特徴である.提案手法の妥当性を評価するために,実在する地震断層を対象に,統計的グリーン関数法と提案手法との比較をおこなった.また,提案手法を2007年新潟県中越沖地震に適用し,観測結果と比較することでその有用性を検証した.
報告
  • 國生 剛治, 鈴木 拓
    2012 年 12 巻 7 号 p. 7_62-7_68
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/28
    ジャーナル フリー
    前論文では、近年我国で発生した強地震の鉛直アレー記録を用いて、30地点での表層地盤中の地震波動エネルギーフローをSH波重複反射理論に基づき計算し、エネルギーは波動伝播中にほぼ一定に保持されるとしてきたこれまでの認識とは異なり、基盤から地表に向かうほど低減する一般的傾向を明らかにした。ここでは前回の結果に基づき、隣接する上層と下層の間、さらに任意の層と鉛直アレー基盤層の間の上昇エネルギーの比を計算した。その結果、上昇エネルギー比が、地震基盤に近い硬質岩盤から地表付近の軟弱層に至るまで、対応する層間インピーダンス比のほぼ0.70乗に比例して減少することを見出した。この関係を使って、鉛直アレー最深部での上昇エネルギーから地震基盤での入射エネルギーを計算し、震源距離に対してプロットした。
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