日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
12 巻 , 4 号
特集号「2011年東日本大震災」その1
選択された号の論文の30件中1~30を表示しています
巻頭言
論文
  • リュウ ウェン, 山崎 文雄
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_3-4_13
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
    2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は、東日本の広域にわたって甚大な被害を引き起こした。またこの地震によって、陸上では最大約5 mの地殻変動が観測された。本研究では、地震前後に撮影された高解像度衛星TerraSAR-Xの強度画像を比較し、無被害の建物の2時期の位置ずれを検出し、これを地殻変動と見なす手法を提案した。最初に、地震前後の強度画像から後方散乱係数の高い建物を抽出し、地震前後の建物を比較することで、変化のない建物の検出を行った。無被害建物の地震前後における位置ずれを面積相関法で求め、それらの平均値をエリア内の地殻変動量と見なした。提案手法を東北地方と東京中心部の衛星画像に適用し、GPS電子基準点の記録との比較で結果の精度を検証した。
  • 山下 哲郎, 久田 嘉章, 坂本 有奈利, 久保 智弘
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_14-4_26
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震では、新宿の超高層街区の超高層建築にも大きな揺れが生じ、設備や内装材等に被害が生じた。ここでは、1989年に建設された、高さ128m、地上29階建の鉄骨造耐震構造超高層建築の加速度観測記録を分析し、伝達関数適合法を用いて固有周期、減衰定数、刺激関数などを同定し、大振幅時の振動特性を明らかにするとともに、本震前後の変化を観察する。固有周期には明白な地震前後の変化と振幅依存性が観察された。1次、2次の減衰は、鉄骨造の設計で仮定される0.02より低い値であった。
  • 佐野 貴之, 八十島 章, 金久保 利之
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_27-4_41
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
    2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震によって学校建築や公共建物の柱や壁がせん断破壊し、甚大な地震被害を受けた既存RC造建物が多数確認された。本研究では、茨城県内の既存RC造建物について、地震被害の詳細調査および耐震診断による構造性能評価を行い、それらの結果を比較することで構造部材の破壊損傷要因および耐震診断方法の妥当性について検討した。現地調査により被災した既存RC造建物の部材損傷程度および被災度区分判定結果を把握し、被害調査結果と耐震診断結果の比較検討では、コンクリートの施工不良による強度低下およびコンクリートブロック造壁の影響を適切に考慮することにより概ね対応することを示した。
  • 飯塚 正義
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_42-4_55
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震では被災地域が非常に広大であり、津波関連の情報が大きく取り沙汰されるなかで建築物(特に鉄筋コンクリート造)への地震被害はいずれ整備されることと思われる。本論では、被災地域に建つプレキャストコンクリート建築物について同地震が発生した2011年3月11日以降に各機関で実施された被害調査結果を収集し、プレキャスト建築の被災の傾向を統計的に分析した。収集できたプレキャスト建築はプレキャスト耐震補強を行った建物を含めて808棟である。検討により、無被害または軽微な被害にとどまるものが大部分であり、中破以上の被害を受けたものは非常に少ないことが確認できた。
報告
  • 石川 敬祐, 安田 進, 萩谷 俊吾
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_56-4_64
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
    東北地方太平洋沖地震によって、東京湾岸エリアの広い範囲で液状化被害が発生した。特に浦安市は、市域の約85%を占める埋立地盤で液状化が発生した。筆者等は、地震直後から現地調査や住民の方々へのアンケート調査を実施し、アンケート調査結果と既往の土質調査結果を用いて浦安市内の液状化発生状況を整理した。また、模型実験を用いて表層の非液状化層の堆積厚さの違いによる噴水・噴砂現象への影響を調べた。調査結果より、本震直後に発生した余震によって噴水や噴砂の勢いが増加したことや液状化発生箇所と地下水位には関係があること、さらに噴水の発生時間には地下水位以浅の非液状化層厚が影響していたことが分かった。模型実験でも同様な傾向が確認された。
論文
  • 永野 正行, 肥田 剛典, 渡辺 一弘, 田沼 毅彦, 中村 充, 井川 望, 保井 美敏, 境 茂樹, 森下 真行, 川島 学
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_65-4_79
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
    東北地方太平洋沖地震時に、関東、関西地域に建つ14棟の超高層集合住宅で得られた建物内の強震記録を用いて、当該建物の非線形挙動を含む動的特性を分析した。いずれも24階建て以上であり、多くがRC造の純フレーム構造である。平均層間変形角等は湾岸部に建つ建物で大きい傾向が見られた。関東地域に建つ建物では、本震時の初期状態から1次固有振動数が2~4割低下し、記録終了まで初期状態に戻らずに低下したままとなっていた。頂部変形角が大きくなるほど、1次固有振動数の低下率が大きくなった。これらを等価1自由度系の荷重-変形関係で見た場合にほぼ2折れ線の特性で表現できること、超高層集合住宅の周期変化は、耐震設計等で慣用されている枠組みで概ね説明できることを示した。
報告
  • 中井 正一, 関口 徹, 石野 尋生
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_80-4_93
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
    長周期地震動は時として長大構造物に深刻な影響を及ぼす。地震動は、地盤構造に依存するいわゆるサイト特性が大きく関係するため、特にS波速度構造の詳細な把握は重要課題の一つとなっている。本研究では、千葉市を対象に、多数の地震計を用いたアレイ観測および微動アレイ観測により、主として深部の地盤構造を明らかにすることを目的としている。本報では、東北地方太平洋沖地震およびその余震を含む複数の地震記録を用いた観測結果、および、異なるサイズの微動アレイ観測から位相速度分散曲線を求め、これらが無理なく連続することを確認した上で逆解析を実施し、対象地域におけるS波速度構造の推定を行った。得られた結果は既往の研究結果とおおむね整合するものとなったが、一部深度において既往のS波速度をやや上回る可能性が示唆された。
論文
  • 西川 隼人, 宮島 昌克
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_94-4_103
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
    本論文では著者らが簡便に地震動スペクトル特性を評価できる指標として提案している最大加速度比を2011年東北地方太平洋沖地震の観測記録を対象に求め、その適用性を調べるとともに、木造家屋応答を評価する際に利用できるかを検討した。震度5弱以上の地震観測記録を用いて、最大加速度比とフーリエスペクトルの振幅特性の関係を求めるとともに、周期0.5~1秒、1~2秒の地震動指標の推定への最大加速度比の有用性を調べた。その結果、周期1~2秒の地震動指標を推定するうえで最大加速度比が有効であることが明らかになった。続いて、性能等価加速度応答スペクトルによって木造家屋の応答変形角を評価し、最大加速度比との対応を調べたところ、降伏せん断力係数が0.3、0.5の場合、最大加速度比と応答変形角に良好な相関関係が見られた。
報告
  • 久田 嘉章, 久保 智弘, 松澤 佳, 松本 俊明, 田邉 朗仁, 森川 淳
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_104-4_126
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震の広義の余震と考えられている2011年福島県浜通り地震(Mj7.0)では、大規模な地表地震断層が出現し、多大な建物被害が発生した。この地震は正断層の活断層帯の地震であるが、周辺で観測された強震動や距離減衰式による検討から、逆断層の地震と比べて特に地震動が弱くはなかったことを確認した。さらに、地表地震断層と震源近傍の強震による建物への影響を調べるため、地表断層のごく近傍において建物の悉皆調査を行い、191棟の建物被害の特徴を整理した。その結果、建物の大きな被害は地表断層の直上による地盤変状(断層すべりや地盤傾斜)に起因し、強震動による甚大な被害は殆ど無く、断層の近傍で推定される震度も6弱から5強程度であることが分かった。また地表地震断層の直上の建物では、最大で80 cmにも達する断層すべり変位の影響により、大きな変形や傾斜による被害が生じたが、耐震性に劣る1棟の寺院の山門を除き、倒壊した建物は無かった。
論文
  • -エネルギースペクトルとP-Δ効果に着目した考察-
    竹ノ谷 幸宏, 石鍋 雄一郎, 半貫 敏夫, 秋山 宏
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_127-4_142
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
    東北地方太平洋沖地震では多くの余震が観測された。地震による影響の総合的な考察を与えうるエネルギーに着目して余震の検討を行った。また、余震によるP-Δ効果(見かけの耐力低下)の進展について地震応答解析により検討した。累積エネルギースペクトルより、今回記録された余震は、損傷の進展や増大につながるエネルギーを有していると考えられる。P-Δ効果により、本震で耐力低下した建物は、余震のような小さなエネルギーでも偏った方向への変形の増大が生じやすい。
  • 山中 浩明, 津野 靖士, 地元 孝輔, 新色 隆二
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_143-4_159
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
     2011年東北地方太平洋沖地震で震度7が観測された栃木県芳賀町のKiK-net芳賀観測点周辺での強震動特性の空間的変動を理解するために、同観測点周辺地域で余震観測および微動探査を実施した。強震観測点の周囲2km程度の範囲に8点の余震観測点を設置し、中小地震による地震記録を取得した。得られた余震記録の分析から、表層地盤による増幅特性を評価した。多くの観測点で、基準点とのスペクトル比で周期0.2~0.3秒で卓越するピークが認められた。この卓越周期は、KiK-net芳賀観測点での中小地震の記録でも確認でき、表層地盤が及ぼす強震動の短周期成分への影響が顕著であることがわかった。さらに、余震観測点での微動探査によって、深さ30m程度までの表層地盤のS波速度構造を明らかにした。KiK-net芳賀観測点周辺の余震観測点では地盤構造に著しい変化はなく、モデルから期待される表層地盤の増幅特性でも周期0.2秒前後で卓越するピークが認められた。以上の検討から、KiK-net芳賀観測点で観測された地震動特性は、強震観測点の数百mの範囲の代表的なものと理解しても大きな問題がないことがわかった。
  • 若井 淳, 野津 厚
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_160-4_176
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
    地震動が構造物に与える影響を正確に理解する上で、表層地盤の非線形挙動が地震動に与える影響を評価することは重要である。2011年東北地方太平洋沖地震では、全国をカバーする強震観測網により、非常に広範な地域で強震記録が得られている。本研究では、これらの記録を用い、地震動強さを表すいくつかの指標と非線形挙動強さとの関係を調べ、それらの関係を適切に表現する経験式を提案した。その結果、非線形挙動強さはPGVと最も相関が良く、その関係は双曲線モデルで最も適切に表現されることがわかった。また、非線形挙動強さの経験式からの偏差が線形時のサイト増幅特性のピーク周波数と相関があることがわかった。
  • 藤生 慎, 沼田 宗純, 高田 和幸, 松原 全宏, 大原 美保, 目黒 公郎
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_177-4_188
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
    本研究では、東北地方太平洋沖地震時に発生した帰宅困難者に対してwebアンケートを実施し、帰宅困難者の基礎特性や帰宅経路などを明らかにした。その結果を集計したところ、火災の危険性や建物の倒壊の危険性が高い地域を経由し帰宅行動がなされていることが明らかになった。また、帰宅困難者を被災地内(都心)で受け入れるための施設の在り方の検討を行った結果、病院では、帰宅困難者が多数発生する一方、出勤困難者に対する対応も必要であることが明らかとなった。
  • ―現地調査・ヒアリング調査にもとづく考察―
    藤生 慎, 沼田 宗純, 高田 和幸, 大原 美保, 目黒 公郎
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_189-4_200
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
    本稿は東北地方太平洋沖地震で被災した三陸鉄道の現地調査やヒアリング調査を通じて、三陸鉄道の復旧・復興のプロセスをまとめたものである。当初、三陸鉄道は被害の状況から復旧は絶望視されていたが、沿線住民の復旧の強い要望や岩手県、沿線自治体の要望により新たな復旧資金スキームを創設し復旧のプロセスに入ることが可能となった。その背景には、東北地方太平洋沖地震での三陸鉄道の防災施設としての役割や三陸地方特有の地形による移動の困難さ、気候、復旧資金スキーム創設の考え方の工夫などがあり復旧することが可能となったことが明らかとなった。
  • 山田 秀樹, 矢代 晴実, 大峯 秀人, 吉川 弘道
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_201-4_208
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
    地震による鉄道事業の財務影響度を考察するため、公開情報である2013年3月までの3ヶ年計画に基づき算出した企業価値と、地震の影響を考慮して試算した企業価値の比較を行う。また、地震に関する保険による地震リスク移転の効果を、企業価値への影響金額により評価する。さらに、保険以外の地震リスクマネジメント手法に関し、地震発生による財務への影響度合いをもとに、鉄道事業者における地震リスクマネジメントの取組、及び、地震リスクマネジメント手法の導入による費用対効果に関する考察を行う。なお、本研究は、鉄道事業者の公開情報から考察を行った。
  • 野津 厚, 山田 雅行, 長尾 毅, 入倉 孝次郎
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_209-4_228
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震の際、震源断層に比較的近い宮城県から茨城県にかけての多くの地点で観測された0.2-1Hzの帯域の速度波形は明瞭なパルスによって特徴付けられている。これらの強震動パルスは、構造物に対して影響を及ぼしやすい周波数帯域に現れているという点で、内陸地殻内地震による強震動パルスと共通の特徴を有していると言える。海溝型巨大地震がもたらす強震動パルスも構造物に大きな影響を及ぼす可能性があり、今後、海溝型巨大地震に対する強震動予測、特に耐震設計を目的とする強震動予測を行う場合には、強震動パルスの生成を意識した震源のモデル化を行うことが重要と考えられる。本稿においては、まず、海溝型巨大地震による強震動パルスの生成事例を示す。次に、それらの再現を目的として構築された既往の震源モデルを整理し、強震動パルスを生じたと考えられる領域(強震動パルス生成域)の諸特性と地震規模との関係を調べる。
  • Ömer AYDAN, Hisataka TANO
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_229-4_248
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
    The Great East Japan Earthquake with a moment magnitude 9.0 occurred on March 11, 2011 and shook almost the entire Japan. There are many abandoned lignite mines in the close vicinity of the epicentral areas such as Miyagi and Iwate prefectures and many sinkholes occurred following the earthquake. There are also reports on the delayed occurrence of numerous sinkholes in the same areas. In addition, some collapses and subsidence occurred above abandoned underground quarries in Oya town of Utsunomiya City. The authors investigated damaged areas soon after the earthquake and they present their investigation results. They also discuss their implications in short and long-term performance of abandoned mines and quarries possible counter-measures against collapses in this article.
  • 鍬田 泰子, 池尻 大介
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_249-4_262
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
    東北地方太平洋沖地震は北関東の東京湾岸や利根川流域に広域な液状化を引き起こした。地表近傍に埋設されている小口径の配水管路は液状化による地盤変状で継手の抜けや漏水の被害が発生するため、管路の被害量は地盤変状を表す指標となる。利根川河口にある鹿島地域の管路被害分析の結果、管路被害が広域かつ均質に分布するのではなく、1km2相当の範囲に液状化による管路被害が集中する地域が形成されていた。本論文は、この液状化による管路被害集中地域の要因を地形履歴から分析したものである。分析の結果、現在の地形図だけでは管路被害集中地域となる箇所を特定するのは難しいが、旧版地図の併用が管路被害集中地域の特定に有効であることを示した。
  • 川崎 拓郎, 村尾 修, 諫川 輝之, 大野 隆造
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_263-4_277
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
    本研究では、沿岸部住民の津波避難行動に着目し、2008年と2011年の2度にわたって千葉県御宿町を対象とした避難行動に関するアンケート調査を実施した。そして、想定津波および東日本大震災直後の避難経路についての空間的な比較分析を行い、(1)標高、(2)海岸線からの距離、(3)想定浸水域内の残存者数の観点から考察した。その結果、実際の避難行動における多様性、自動車による避難行動の多さ、避難距離の長さ、浸水域に留まる事例の多さ、などが明らかになった。
報告
  • 佐藤 健, 恋水 康俊, 昆野 辰樹
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_278-4_287
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
    東日本大震災において仙台市ではピーク時に約10万人の避難者が発生した。その中には、沿岸部における津波からの避難者だけでなく、都市部における帰宅困難による相当数の避難者も含まれた。本研究の目的は、東日本大震災における仙台市内の避難者の発生と推移の地域特性を明らかにすることである。仙台市消防局による避難者データの分析に基づき、津波からの避難者の集中的な受け入れ地域や帰宅困難者の発生地域等の分布が明らかとなった。避難所の多くは学校が指定されることから、避難所の混乱や長期使用は学校の教育機能に少なからず影響を及ぼす。将来の巨大災害発生時における学校の教育機能の低下や避難所での二次被害の拡大を防止するために、避難者発生の地域特性が地域防災計画等に事前に反映されることの必要性が示唆された。
論文
  • 新宿駅西口地域を対象としたアンケート調査より
    新藤 淳, 平本 達也, 村上 正浩, 久田 嘉章
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_288-4_307
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
    本稿では、アンケート調査に基づき、東日本大震災発生時に新宿駅西口地域において発生した高層ビル特有の被害や、地域の事業者がとった初動行動、帰宅困難者対応等の実態が把握できた。また、実態に基づき今後の課題を明らかにするとともに、大規模地震発生時の地域の混乱を最小限に留めるための、地域連携による防災力の向上に向けた取組みを提案した。
  • 秋山 伸一, 河路 薫, 是永 眞理子, 藤原 了, 田宮 貴洋
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_308-4_318
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震の地震動シミュレーションから得られる震源付近の海底変位を用いた津波シミュレーションを試みた。まず、遠地実体波の観測記録から設定された震源モデルを用いてボクセル型有限要素法により東日本全域にわたる大規模地震動シミュレーションを行った。つぎに、ここから求められた海底地盤の鉛直変位を水位の変動とみなし、浅水理論に基づく差分法による津波シミュレーションを行い、求められた津波波形を太平洋に展開されるGPS波浪計の観測記録と比較した。その結果、シミュレーションによる津波波形は観測波形と概ね一致する。ただし、最大波高を示す津波の第一波について、シミュレーションの結果は観測記録に対し過小となる。これは、本シミュレーションが深い位置の断層運動による津波を再現するが、日本海溝付近の大きなすべりによる津波を再現できないためである。
  • Kazuhiko KAWASHIMA
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_319-4_338
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
    This paper presents damage of bridges during the 2011 Great East Japan earthquake. Since the bridges in the north Miyagi-ken and south Iwate-ken suffered extensive damage in the 1978 Miyagi-ken-oki earthquake, damage of bridges in the 2011 Great East Japan earthquake is evaluated in comparison with the damage in the 1978 Miyagi-ken-oki earthquake so that effect of the recent progress of seismic design can be evaluated. Tsunami-induced damage was extensive for bridges along the Pacific Coast. Typical feature of tsunami-induced damage is presented based on a field investigation and video movies.
  • 大野 晋, 三屋 栄太, 源栄 正人
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_339-4_353
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
    仙台市域の公共施設に設置した地盤系強震観測結果に基づき、東北地方太平洋沖地震の仙台市域の地盤震動特性の検討を行った。その結果、仙台市域では場所により振幅の相違が大きく、長町利府断層よりも北西側の丘陵地では短周期が卓越したこと、断層の南東側ではそれに加えて周期3秒付近も卓越したことを示した。既存の地下構造モデルを用いて理論伝達関数との比較を行った結果、この相違は概ね既存の地下構造モデルで説明できるが、短周期では盛土部のモデルの見直しが必要と思われること、長周期では南部の後続表面波の説明が不十分であることがわかった。
  • 佐藤 智美, 大川 出, 西川 孝夫, 佐藤 俊明
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_354-4_373
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
    加速度応答スペクトルと群遅延時間の平均値・分散の経験式の改良を行ない、東北地方太平洋沖地震の長周期地震動シミュレーションを行った。経験式の主な改良点は、Mw2項を応答スペクトルの経験式に導入したこと、太平洋プレートとフィリピン海プレートの地震に対して、距離減衰特性と、関東平野の堆積層の厚い観測点での地盤増幅率・サイト係数の違いを考慮したことである。東北地方太平洋沖地震に対しては、強震動生成領域に基づき3つの巨視的断層からなる震源モデルを設定した。この3連動震源モデルと改良経験式により、東北地方太平洋沖地震の1~10秒の長周期地震動がほぼ再現できることを示した。
  • 秦 吉弥, 鍬田 泰子, 野津 厚
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_374-4_393
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
     2011年東北地方太平洋沖地震によって水道施設は数多くの被害を受けた。茨城県水戸市の那珂川水管橋では、大口径管路の伸縮継手が脱管するなどの深刻な被害が発生しており、当該地点における地震動を推定することは非常に重要である。そこで本研究では、那珂川水管橋において高密度の余震アレー観測を実施し、得られた記録に基づいて当該地点におけるサイト増幅・位相特性を評価した。そして、サイト特性置換手法を用いて、本震時における那珂川水管橋での地震動を推定し、堤内地側と堤外地側で地震動特性が大きく異なることを明示した。また、サイト特性置換手法に基づき既存強震観測点での本震記録を再現することで、地震動推定手法の適用性を確認した。
  • -東日本大震災の被害調査を通じて-
    西尾 淳, 今井 究, 田嶋 和樹, 白井 伸明
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_394-4_413
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
    本研究では、建物の1次固有周期と建物全体の損傷指標DIの関係を表す損傷スペクトルを用いた損傷評価法の開発を行なった。検証に際しては、東日本大震災において被災したRC造建物の被災度区分と損傷スペクトルから得られるDI値を比較した。その結果、旧耐震基準で設計された建物に関しては、DI値と実被害状況が良い対応を示した。一方、新耐震基準の建物においては、設計で想定している建物強度と実強度の差である余剰強度の影響を適切に考慮する必要があることが明らかとなった。さらに、本手法を用いることで、余震の影響を考慮した耐震性能評価が可能であることを示した。
  • 庄司 学, 門 真太郎, 韓 強
    2012 年 12 巻 4 号 p. 4_414-4_431
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/28
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震では高層ビルや長大橋梁の地震応答に影響を与え得る長周期地震動が観測された。本研究では、固有周期が長い大規模な隣接構造物の震動制御の問題を取り上げ、Maxwell型ダンパーで連結した系に対して長周期地震動が作用した場合の地震応答メカニズムを時刻歴応答解析によって明らかにした。その際、対象とする系の1次固有周期T1を2.48秒から6.96秒まで変化させ、ダンパーの減衰係数cm及び連結剛性kmをパラメータとして解析を行った。振動数比及び質量比の観点から相対変位に関する応答倍率の評価を行い、制震ダンパーのパラメータの最適化に関する検討を行った。
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