2011 年東北地方太平洋沖地震における茨城県内の公立学校施設の被害状況の傾向を把握することを目的として、県内全45 の自治体に調査を行い、公立学校建物3,148 棟の被害状況および耐震性能に関するデータベースを作成した。旧耐震基準で設計された(1981 年以前)鉄筋コンクリート造および鉄骨造建物のX 方向(主として桁行方向)の構造耐震指標
IS の分布は、対数正規分布の形状に近い。自治体から被災状況の取りまとめ資料の提供を受けた2,834 棟において、ガラス、天井、内壁、エキスパンション・ジョイント破損に関する被害率は、第一年代の建物(1971 年以前)で大きく、新耐震建物の被害率が小さくなる傾向が見られる。被災度区分判定の資料が得られた287 棟の旧基準の建物について、鉄筋コンクリート造建物の場合、
IS が0.6 程度以上あれば中破以上の被害はほぼ生じていない結果となった。耐震性能残存率の分布の下限値に関しては、気象庁計測震度、PGV、SI 値に対して負の相関が認められた。
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