日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
15 巻 , 6 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
論文
  • 正月 俊行, 翠川 三郎
    2015 年 15 巻 6 号 p. 6_1-6_11
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/25
    ジャーナル フリー
    長周期地震動により超高層建物で大きな揺れが発生すると、家具が大きく滑動して周囲の家具や壁と激しく衝突し続ける危険な状態が生ずる可能性がある。このような室内被害と床応答の大きさの対応関係を明らかにしておくことは被害軽減策を考える上で重要であるが、大きな変位の揺れに対して複数の家具や壁の衝突等を考慮した上で、定量的に検討した研究はみあたらない。そこで、超高層住宅の一部屋を想定して家具群の地震時挙動をシミュレーションして室内被害を予測し、室内被害の様相と床応答加速度の大きさの対応関係について整理した。その結果、1次モードの揺れが卓越する超高層住宅上階では、i) 床応答加速度が200cm/s2程度以下の場合はほとんどの家具は動かず、ii) 200~300cm/s2程度になると背の高い家具が倒れ始め、iii) 300~450cm/s2程度では、転倒した家具も含めて多くの家具が滑動するが、滑動量は小さく、部屋のレイアウトもあまり崩れないのに対し、iv) 450 cm/s2程度以上になると、固定されていない家具は周囲の家具や壁と激しく衝突しながら滑動する危険な状況が長時間続く結果となった。また、シミュレーションと簡易な室内被害評価手法の結果を比較し、想定する床応答加速度が大きな場合は、簡易な手法による評価結果が過小となることも指摘した。
  • 鬼塚 翔平, 飯島 唯司, 小島 直貴
    2015 年 15 巻 6 号 p. 6_12-6_24
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/25
    ジャーナル フリー
    近年の計算機性能の向上に伴い、地震応答解析への複雑な3次元FEMモデルの適用が進められている。その減衰モデルとしてはRayleigh減衰、要素別Rayleigh減衰が適用されているが、異なる減衰特性を有する構造物群からなる系に対して、そのモデル化方法は必ずしも明確でない。そこで本研究では、上述の系の地震応答解析に適用する、要素別Rayleigh減衰を用いた減衰モデル化方法を提案し、その有効性を検討した。具体的には、刺激関数と入力地震動の応答スペクトルの積を重み係数とした最小2乗法に基づく、要素別Rayleigh減衰の係数設定方法を提案した。また、集中質点系モデルを対象に、提案方法と既往研究の減衰モデル化方法を用いて地震応答解析を行い、耐震設計で実績のあるひずみエネルギ比例型減衰を用いた場合との誤差を評価した。その結果、提案方法の誤差は平均6%となり、既往研究の方法より小さく、提案方法は有効であることを確認した。
  • 能島 暢呂
    2015 年 15 巻 6 号 p. 6_25-6_43
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/25
    ジャーナル フリー
    地震動の累積パワーに基づくSR(Significant/Relative)継続時間は、振幅レベルを問わず算出できる代表的な経時特性指標である。本研究では1996~2013年の間に日本列島周辺で発生した主要35地震(内陸地殻内・プレート境界・プレート内地震)の延べ約1万点の強震記録を用いて、計測震度算出用の補正加速度の3成分ベクトル合成波形を算出し、累積パワー5~95%、5~75%、75~95%に相当するSR継続時間D5-95, D5-75, D75-95を算出した。これに基づいて計測震度の距離減衰式に準じた説明変数および関数形を用いてSR継続時間の予測式を構築した。また、既往の予測式との比較を通じて、提案式の特徴について考察した。提案式はMw=5~9のあらゆる地震タイプに適用可能な汎用的な予測式となっている。
  • 脇中 康太, 谷本 俊輔, 石原 雅規, 佐々木 哲也
    2015 年 15 巻 6 号 p. 6_44-6_59
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/25
    ジャーナル フリー
    東北地方太平洋沖地震では、若齢の人工造成地盤に液状化被害が多く発生した。これは、堆積・造成年代の異なる地盤における液状化強度の「年代効果」が影響を及ぼした結果であると考えられている。砂の年代効果に関する具体的な作用としては様々なものが考えられるが、本研究では地震履歴に着目した動的遠心模型実験を行った。数多くの地震履歴を与えたケースと地震履歴を与えていないケースの過剰間隙水圧等の変化を分析・比較することにより、地震履歴が液状化強度に及ぼす影響を検討した。実験結果は地震履歴と液状化強度比の関係に加えて、液状化強度比と相対密度、コーン貫入抵抗の関係にも着目して整理した。その結果、地震履歴を受けることで砂の液状化強度が顕著に上昇する傾向と、コーン貫入抵抗とS波速度は砂の相対密度の違いとよく対応する傾向が認められたものの、地震履歴による液状化強度の上昇傾向はコーン貫入抵抗およびS波速度に表れにくいことを明らかにした。
  • 吹原 慧, 松島 信一, 川瀬 博
    2015 年 15 巻 6 号 p. 6_60-6_76
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/25
    ジャーナル フリー
    現在、地下構造のモデル化に対しては多くの検討がなされている一方で、既存の地下構造モデルに対する、地震動や微動の観測データを基にした検証はいまだ不十分であり、地震動や微動の観測データに基づいた地盤構造の同定とそのモデルの考察が必要とされている。そこで本研究ではまず、京都盆地上に位置する京都市を対象地域とし、京都市の消防署各所に設置された地震計から得た地震動観測水平上下スペクトル比(HVR)を対象に、拡散波動場理論に基づく理論計算とハイブリッドヒューリスティック探索法により地盤構造の同定を行った。次に、広域強震動予測をすることを考えた場合、地盤構造モデルは個別速度構造よりも、同一速度構造の方が扱いやすいという観点から、地震観測点で同定した地盤構造に基づいて同一速度構造モデルを作成し、京都市内で行った微動観測点において微動理論HVRと微動観測HVRの一次ピーク振動数の比較を行い、振動数比により深部地盤の層厚を増減することにより、深部地盤の構造をよく反映したモデルが修正できた。修正された同一速度構造モデルは既存の京都盆地地下構造モデルとよい相関を示し、また、観測地震動を用いて再現した速度波形と観測波形との比較も良好であったことから、本研究で用いた同定方法の有用性を確認することができた。
  • 福山 洋, 藤澤 正視, 阿部 秋男, 壁谷澤 寿一, 白根 全
    2015 年 15 巻 6 号 p. 6_77-6_90
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/25
    ジャーナル フリー
    南米ペルー共和国の古代神殿建造物と推定されている複数の遺構では、「シクラ」と呼ばれる“植物繊維の籠で包まれた礫”を積層して基壇を構築し、その上に神殿が建造されていたと考えられている1)。著者らは、この基壇内に用いられる積層されたシクラの一部をモデル化した試験体による振動台実験を実施し、個々のシクラが回転運動を起こすことで地震応答加速度を低減させる、免震構造のような効果を有している可能性について報告した2)。本研究では、このような古代の基礎構造が有する地震応答低減効果の再現性と安定性について調べ、今から約3,500~5,000年前1, 3)に用いられた古代技術の工学的な意義について検討することを目的とする。そのため、シクラの製作および積み方のランダム性や入力地震波の種類などいくつかの変動因子を設定し、これらの条件が変わることによる結果への影響と効果のばらつきを調べるための振動台実験を実施した。本実験の結果より以下の知見が得られた。1)シクラを用いた基礎構造が有する応答加速度の低減効果は、何れの実験においても再現された。振動台実験のビデオ解析からは、球形のシクラがある加速度以上になると回転を始める現象が確認された。これは、転がり支承を用いた免震構造と同様な機構であり、このことが応答加速度の低減効果をもたらしたと考えられる。2)シクラは、個々の大きさや形状が揃っておらず形も完全な球とはいえないことから、人手にのみ頼るシクラの製作や基礎構造の施工に起因する実験結果のばらつきについて調べた。その結果、本実験においては基壇上に生じている加速度平均値の±25%に納まっており、応答加速度低減の現象は比較的安定して再現されることが分かった。3)本実験では、振動台上の加速度が大きくなるに従って基壇上の応答加速度の低減効果が大きく、例えば正弦波で加振した場合は、振動台上の加速度が4.0m/s2のとき基壇上の加速度は約76%の3.05m/s2程度、6.0m/s2のときは約63%の3.8m/s2程度であり、振動台上の加速度が6.0m/s2よりさらに大きくなっても、基壇上の加速度は4.0m/s2で頭打ちを示した。一方、地震波をイメージしたランダム波で加振した場合は、基壇上の応答加速度は振動台上の加速度の約40~80%となり、正弦波の場合よりもさらに大きな低減効果が見られた。
  • Yadab P. DHAKAL, Wataru SUZUKI, Takashi KUNUGI, Shin AOI
    2015 年 15 巻 6 号 p. 6_91-6_111
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/25
    ジャーナル フリー
    We constructed ground motion prediction equation (GMPE) for absolute velocity response spectra in the period range of 1 to 10 s with the primary aim of providing early warning of long-period ground motions in Japan during moderate to large magnitude earthquakes. We found that the spatial variability of the observed long-period intensities can be reproduced in broad areas within a difference of one intensity by using the methodology proposed in this study that requires the magnitude and distance to be determined promptly.
  • 沖田 陽介, 勝部 司
    2015 年 15 巻 6 号 p. 6_112-6_125
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/25
    ジャーナル フリー
    本稿では、2015年4月にネパールにおいて発生した地震における国際都市型捜索救助チームの活動調整に関する報告と検証を行う。セクター分け、マーキングといった新しい調整手法を含む改訂版INSARAGガイドラインがネパール地震発生の直前に承認されていたが、それがネパール地震対応においてどのように活用されたのかについて、被災地に派遣された筆者の経験を基に報告する。またこの議論を通じ、国際都市型捜索救助の専門家が持つべき「災害リテラシー」についての考察を加えるものである。
  • 糸井 達哉, 村上 誠樹, 関村 直人
    2015 年 15 巻 6 号 p. 6_126-6_141
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/25
    ジャーナル フリー
    地震動被害は広域で同時発生し互いに影響する。広域に分布する複数の施設を対象にリスクマネジメントを行うにあたっては、これらの複数施設の同時被災を考慮した確率論的地震リスク評価が必要である。そのため、本研究では、地殻内地震を対象に、複数地点の地震動加速度応答スペクトルの同時予測手法を統計的に構築する。まず、日本国内の地殻内地震の観測記録を収集し、深部地下構造の影響等も考慮して、応答スペクトルの統計的予測式を構築する。さらに、予測誤差である地震間誤差、地震内誤差について周期間相関を分析しモデル化する。地震内誤差については空間相関も同様にモデル化する。最後に、以上2つのモデルにより可能となる複数地点における応答スペクトルの確率論的同時予測について、適用例を示す。
ノート
feedback
Top