日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
18 巻 , 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
論文
  • 佐々木 亮, 今田 拓実, 野田 佳佑, 山岸 邦彰
    2018 年 18 巻 1 号 p. 1_1-1_17
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    倉庫のように,固定荷重に比べて積載荷重が大きい建築物に対する架構設計用および地震力算定用の積載荷重の設定は,設計者の工学的判断に委ねられている.地震時における積載物の滑動により建築物や積載物の地震応答が低減される効果(以下,Slip効果と呼ぶ)は,一般的な設計では考慮されていないが,その考慮は合理的な設計に資する可能性がある.本研究では,1層鋼製弾塑性フレームを用いて様々なパラメータに対する振動実験を行い,フレームが塑性化した場合のSlip効果を定量的に把握した.また,Slip効果を設計に反映させるために,Slip効果を取り入れた解析モデルを構築し,実験と同一のパラメータの地震応答解析を実施した.これらの結果,以下のことが明らかとなった.(1)錘の動摩擦係数の減少と入力地震動の最大速度の増加によりSlip効果は大きくなる,(2)錘の最大滑動変位および累積滑動変位が大きいほどSlip効果が顕著に現れる.また,(3)静的実験から得られた諸元を用いて地震応答解析を行った結果,パラメータに対するフレームおよび錘の各応答の傾向は再現することができた.

  • 亀井 功, 村瀬 詩織, 杉野 未奈, 林 康裕
    2018 年 18 巻 1 号 p. 1_18-1_34
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    内陸地殻内地震で発生する断層近傍観測波を対象として,観測波から抽出したパルス状波形を,少ないパラメータの単純な数学的パルス波で模擬し,そのパルス特性を評価する実用的な方法を提案する.本手法を用いて,2016年熊本地震の断層近傍観測波を対象に,パルス特性を評価し,観測波との比較により評価法の妥当性を検証する.また,高層建築物を対象とする,同観測波に対する層間変形角応答の考察から,周期の異なるパルス波を含む観測波による高次モードの励起を明らかにする.

  • ―特定の高さでサイトに到達する津波の条件の設定方法―
    木原 直人, 木村 達人, 甲斐田 秀樹, 飯塚 敬一, 藤井 直樹
    2018 年 18 巻 1 号 p. 1_35-1_58
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    確率論的津波ハザード評価結果と整合がとれた年超過頻度付きのフラジリティ評価用の津波を設定する方法を提案した.ハザード評価結果に対してハザード再分解を実施することにより,フラジリティ評価用の津波を設定する上で考慮すべき津波条件を特定すると共に,波形の特徴が類似する津波群をグループ化することにより,フラジリティ評価用の津波を設定した.設定されたフラジリティ評価用津波を用いて防潮堤前面での津波高さの年超過頻度を推定した結果,ハザード評価から直接求まる年超過頻度と一致したことから,フラジリティ評価用津波の適用性が確認された.

  • 山田 雅行, 小田 義也
    2018 年 18 巻 1 号 p. 1_59-1_76
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    本論は日本の12の主要活断層帯を対象として,P波の減衰特性の推定と活断層の特性との関係を考察したものである.減衰特性の推定においては,活断層をまたぐ観測点ペアと遠方の地震に対して二重スペクトル比法を適用し,震源特性,活断層近傍までの伝播経路特性,そして,サイト増幅特性を除去した.推定された減衰特性は12の活断層でそれぞれ異なっていた.減衰特性の違いについて考察した結果,断層破砕帯の大きさとの相関は見られなかったが,その一方で,地震後経過率とは明瞭な正の相関を示した.このことは本論で推定した減衰特性が活断層の応力状態,すなわち地震発生の切迫度を反映している可能性が考えられる.

  • 山田 伸之, 竹中 博士
    2018 年 18 巻 1 号 p. 1_77-1_88
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    南西諸島の先島諸島(宮古諸島・八重山諸島)地域は,過去に地震動や津波による被害の報告がなされており,この地域が将来強い揺れに見舞われる可能性があることも指摘されている.地震動評価においては,地下構造モデルのS波速度構造は重要なパラメータの一つである.南西諸島地域のS波速度3 km/s相当の地震基盤上面までの深部地盤モデルは,防災科学技術研究所のJ-SHISで公開されているが,地震動評価に必要な地下構造モデルの物性値の情報源は,重力異常によるもの以外に少ない.また,大洋中の小規模の島での微動アレイ探査の事例も非常に少ない.本研究では,日本各地で多数の実施事例のある微動アレイ観測データを用いた解析を先島諸島の島嶼部で適用し,地震基盤上面までのS波速度構造を推定することを試みた.その結果,各地点で3層と地震基盤の1次元S波速度構造を示すことができ,基盤深度は,宮古諸島で1.6~2.0 km,八重山諸島で0.1~0.6 kmとなり,八重山諸島でのその深度は,J-SHISのものとは大きく異なっていた.また,速度構造の3次元数値モデル作成を視野に入れ,全地点の推定結果から,各層のS波速度の平均値とこの場合の各地点の層境界深度も示した.この地域の陸地部分はわずかであるが,有人島の地震防災の観点から,島嶼部の深部地盤のS波速度構造の情報は,地下構造モデルの改良や地震動評価の精度向上に役立ち,また,多くの調査地点が地震観測点近隣であるため,この結果は,地震観測データの解析等にも有益な情報になると考えられる.

  • 山本 剛, 藤田 聡, 原田 公明, 中溝 大機, 皆川 佳祐, 井山 義信
    2018 年 18 巻 1 号 p. 1_89-1_103
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    世界でも有数の地震大国である日本では,過去に経験した大地震を踏まえ,耐震技術に関する研究が著しく発展してきた.免震構造は高い耐震安全性を有する技術の1つであり,建設棟数は増加しているものの,総数は多くはないのが現状である.したがって,免震建物の地震時挙動を把握するためには,より多くの地震観測記録が得られることが望ましい.地下1階柱頭免震を採用している東京電機大学東京千住キャンパス1号館では,建物が竣工した2011年12月より地震観測記録を継続している.本研究では,対象建物で得られた地震観測記録の分析を通じ,対象建物の1次固有振動数が有する振幅依存性の検討を行う.加えて,得られた分析結果を用いて,入力地震動に応じて振動特性を変化させる対象建物の振動解析モデルを構築し,モデルの再現性に関して検討を行った.

  • ―鳩山町の国民健康保険データベースを活用して―
    森崎 裕磨, 藤生 慎, 髙山 純一, 柳原 清子, 西野 辰哉, 寒河江 雅彦, 平子 紘平
    2018 年 18 巻 1 号 p. 1_104-1_121
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    平成25年6月の災害対策基本法の一部改正により,災害発生時の効率的な避難支援の実現のため,避難行動要支援者の名簿の作成義務化が規定され,さらなる避難支援の発展が期待されている.本研究では,現実的かつ具体的な避難支援計画へ向け,国民健康保険データベース(KDB)を用いて避難行動要支援者の中でも特に自力での避難が困難である重大な疾患を持つ患者の実態を明らかにすることを目的とした.分析手法としては,J-SHIS地震ハザードステーションや,建物の全半壊率曲線等を活用して,大地震の発生を想定した際の建物被害の把握と利用可能避難施設の抽出を行う.国民健康保険データベース(KDB)によって得られた重大な疾患を持つ患者の実態と災害時の利用可能避難施設の比較の結果,重大な疾患を持つ患者の避難施設であると考えられる病院の病床数が不足するケースが存在することが明らかとなった.

  • 川添 千華, 山村 彩華, 杉野 未奈, 柏 尚稔, 林 康裕
    2018 年 18 巻 1 号 p. 1_122-1_133
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    トルココジャエリ地震や台湾集集地震等で,断層変位により複数の建築物が甚大な被害を受けた.将来発生し得る断層変位を伴う地震に備え,断層変位を考慮した建築物の設計が必要となる可能性があるが,断層変位による建築物基礎への影響は十分に解明されていない.そこで本研究では,杭基礎に着目し,断層変位による地盤と杭への影響解明に先立ち,断層変位の影響が現れる杭の位置を定性的に把握することを目的とした模型実験を行った.その結果,逆断層と正断層の断層変位では,杭に及ぼす断層変位の影響メカニズムが異なり,断層変位の影響が現れる杭の位置に差異があることが明らかとなった.

報告
  • 酒井 周, 高橋 徹, 中村 友紀子
    2018 年 18 巻 1 号 p. 1_134-1_149
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    梁間方向が9mであるのに対し,桁行方向が最大で84mと非常に大きい辺長比を持つ建物を対象として,強震時及び常時微動の振動観測が長期間にわたって行われた.得られた記録に対して並進振動及び捩れ振動の成分に注目してフーリエ変換を用いた解析を行い,推定される卓越振動数が季節によって変動していることを確認した.さらに,コヒーレンスが低下する現象についても検討を行い,振動性状の詳細について考察を行った.また,比較的短時間の気温変化であっても卓越振動数が変化する例が見られた.

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