首都圏においては, 震災対策の一環として自治体が中心となり, 帰宅困難者一時滞在施設(以下, 「一時滞在施設」とする.)の施設数の確保に取り組んでいる.しかし, 民間事業者による帰宅困難者の受入は, 災害の様相や施設の特徴を踏まえた具体的な対応方法や法的責任問題等ハードルが高い.このような課題を踏まえ, 新宿駅周辺地域では, 著者らが中心となり, 地域の行動指針を踏まえ, 汎用版の一時滞在施設運営マニュアル及びマニュアルを可視化した開設キットを開発し, 実動訓練により検証した.また, 帰宅困難者支援施設運営ゲーム(KUG)を活用し, マニュアルや開設キットの検証を行った.本稿は, これらの活動を踏まえ, 帰宅困難者の受入の検討段階から, 具体的な受入の実施までを支援する手法の開発について報告する.
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