日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
2 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 渦岡 良介, 仙頭 紀明, 八嶋 厚, 張 鋒
    2002 年 2 巻 2 号 p. 1-14
    発行日: 2002年
    公開日: 2010/08/12
    ジャーナル フリー
    1995 年兵庫県南部地震で被災した護岸近傍に位置する杭基礎建物を対象として、有効応力解析により被災状況の再現を試み、被災メカニズムについて考察する。解析対象の建物の杭基礎については、地震後、詳細な被災調査が実施されており、周辺地盤の液状化による海側への地盤変形が被災の要因として考えられている。解析では2 次元・3 次元のモデル化の違いを検討するため、地盤-基礎杭-建物系に対して、2 次元・3 次元の有効応力解析法を適用した。その結果、2 次元・3 次元解析とも実際の杭の変形モードを定量的に再現することができた。また、杭頭部は建物慣性力により、埋立層内の杭は完全液状化に至る前の地盤の水平変位により破壊に至った可能性があることがわかった。
  • 罹災調査結果を用いた検討
    翠川 三郎, 藤本 一雄
    2002 年 2 巻 2 号 p. 15-22
    発行日: 2002年
    公開日: 2010/08/12
    ジャーナル フリー
    震度と住家被害の関係をより定量的に検討するために、1995 年兵庫県南部地震や2000 年鳥取県西部地震などの最近の5つの地震での罹災調査による住家被害率と計測震度の関係を検討した。その結果、1) 全壊率、全半壊率および一部損壊以上の被害率は、それぞれ震度6強、震度6.0 前後および震度6弱を境として、それ以上の震度で急増する傾向にあること、2) 既往の被害関数はこのような被害率が急増する傾向を十分には表現できていないこと、3) 兵庫県南部地震の場合と鳥取県西部地震の場合とでは震度6以上で全壊率や全半壊率の関係に違いがみられること、4) 既往の震度解説表での木造家屋の被害の記述は、本研究で示した震度と被害率の関係と矛盾するものではないが、記述が具体的でなく改善する必要が高いこと、を指摘した。
  • 高秀 秀信, 阿部 進, 中島 徹也, 乾 晋
    2002 年 2 巻 2 号 p. 23-40
    発行日: 2002年
    公開日: 2010/08/12
    ジャーナル フリー
    リアルタイム地震防災を目的に設置された、高密度強震計ネットワークで観測された地震の走時データに3次元逆解析を適用し、横浜市直下の3次元P波、S波速度構造を求めた。得られた結果から、横浜市北部と南部で地震基盤が深く、西部で浅いことが推定された。地下構造と地震動の関係について検討するために、3次元地下構造モデルを用いて波動シミュレーションを行った。さらに、得られた最新の3次元地下構造モデルを用いて想定地震による地震動の計算を行い強震動予測図 (地震マップ) を作成した。本調査結果は、深部地下構造調査等、今後進められる予定の高精度な地震動予測の作業において、強震計ネットワークが有効であることを示した。
  • 表 俊一郎
    2002 年 2 巻 2 号 p. 41-54
    発行日: 2002年
    公開日: 2010/08/12
    ジャーナル フリー
    我国は世界有数の地震災害国であり古来幾多の地震災害に悩まされてきた。しかし災害防止を目指して立ち上がる事ができたのは、明治24 (1891) 年濃尾地震以降である。その後地震災害防止への調査研究の進展は目覚しかったが、1923 年には関東大地震による破滅的大災害を蒙る事となった。良く苦境を克服し構造物の耐震安全性の学問技術も大進展を遂げたが1995 年兵庫県南部地震で再び大災害を蒙り深甚な反省を強いられる事となった。それ迄の日本の地震災害対策は人工構造物耐震強化が主眼であったが、大災害を発生させるものは人工構造物以外の災害が主因であり、人間災害、社会災害、都市災害、に重点が移つってしまっているのに気付かなかったからである。新時代の地震災害対策策定には、人工構造物以外の災害防止に重点が置かれなくてはならない。茲に云う人工構造物以外の地震災害とは、1.人命損失の元凶である木造密集地域存在に基づく災害、2.地震火災災害、3.津波災害、4.危機管理体制不在による災害、以上の4項目である。上記災害防止に成功すれば、地震災害は殆ど全く防止されることとなる。4項目の災害防止が長年月に亘り放置されて来た理由はただ一つ地震が超低頻度発生現象である、この一点に尽きている。ところが極最近日本で或る特定地域に限るとは云へ数十年以内にその場所で地震が発生するとの研究成果が権威ある筋を通して発表されるように成ってきた。之が真実であるならば、災害対策を実施すべき目標が確立された事になる。この機会をしっかりと捕らえて災害防止対策事業が大躍進を遂げるよう期待したい。
  • その2. 埼玉県
    武村 雅之, 諸井 孝文
    2002 年 2 巻 2 号 p. 55-73
    発行日: 2002年
    公開日: 2010/08/12
    ジャーナル フリー
    1923 年関東地震における埼玉県の詳細な震度分布を推定するために、当時の地質調査所の被害報告書に書かれている木造住家の全潰数、半潰数、地盤の液状化発生地点などを整理しデータベース化した。地調の報告書には、市町村単位の被害集計よりさらに細かい大字毎の集計値が記載されており、それらを市町村単位の集計値に加えて震度7に達する地域を特定することができた。震度の評価結果が地下構造に密接に関連していることが明らかになった。過去に埼玉県が実施した地震危険度評価の結果とも比較し、今後の地震危険度評価のあり方にも言及する。
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