構造ヘルスモニタリングシステムへの適用を目的とし,地震発生直後の建物各層の損傷度を5段階で推定するディープラーニングベースの手法について検討し,精度分析を行った.検証データは,文部科学省が実施した大型振動台実験の鉄骨造18層の試験体を対象とした24,385ケースの地震応答解析における各層の加速度および損傷度の時系列データを用いた.検証実験では,シーケンス認識および画像認識のタスクにおいて先端的なパフォーマンスを発揮するRNN,CNN,CRNN,Transformerベースのモデルを用いて,ハイパーパラメーターの最適化および損傷度推定精度の評価を実施した.さらに,既往の大型振動台実験の加振結果を用いて,学習したモデルで推論し,損傷度推定手法を検証した.結果として,地震応答解析のデータを用いた精度分析ではTransformerベースのモデルの精度が最も高い結果となった.大型振動台実験結果を用いた損傷度推定の検証では,Transformerベースのモデルによる推定が実験結果と異なっており,その原因として地震応答解析における解析モデルの整合範囲や加振レベルによる影響であることが示された.
震度7を発生させるような大振幅地震動がどのような場所で発生したかを整理することは意義あるものと考えられる.特に,重要建築物を建てる際に地震被害のリスクを下げるためには,大振幅地震動が発生しにくい場所の選定が重要である.本報告では,過去に震度7が発生している場所に着目し,震度6強が得られている地点との比較により,M7クラスの内陸地殻内地震に対して,AVS30(地表から深さ30 mまでの平均S波速度),RJB(震源断層の地表投影面からの最短距離),微地形区分を指標として震度7が発生しやすい場所を整理した.その結果,以下の3要件全てを満たせば,震度7になる可能性があることを示した.①AVS30が500 m/s以下であること,②RJBが2 km以下であること(ただし断層端部は2 km延長する),③微地形区分が埋立地でないこと.またM7クラスでは地震規模Mが大きくても,震度6強や震度7がとりうる範囲の最大RJBが大きくならないことを強震記録から確認した.