日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
25 巻, 7 号
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論文
  • 東 宏樹, 藤原 広行
    2025 年25 巻7 号 p. 7_1-7_19
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/30
    ジャーナル フリー

    地震計の地震波形以外に地震動と被害を時間軸とともに記録したデータソースの一つとして,店舗カメラの映像がある.防災科学技術研究所では,イオン株式会社との連携協定により,集客施設が顕著な地震に見舞われた際の映像アーカイブを継続している.この地震映像アーカイブを利用し,映像と被害の関係性を明らかにすることで,事実に基づく対応・対策に資する.本研究では,店舗カメラで撮影された地震の揺れの最中の映像―地震映像をデータソースに,異常の有無を判別するモデルを構築し,評価した.特に,2値分類器としてのニューラルネットワークが,地震映像および同時入力するラベルデータの与え方によってどのような特性を持つのかを分析し,正答率向上のための知見を得ることを目的とした.初期モデルでは74%であった分類正答率 (Accuracy) は,入力として正解ラベル以外に動画IDをOne-hot表現で加える提案手法で学習した結果,同モデルにとって未知の地震映像に対して84%の分類正答率を達成した.

  • 岩田 直泰, 山本 俊六
    2025 年25 巻7 号 p. 7_20-7_37
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/30
    ジャーナル フリー

    地震発生の際,鉄道では必要に応じて素早く列車を停止し,沿線に設置した地震計の観測値に基づき施設の点検などが実施される.この際,地震計による離散的な観測データの他に沿線の連続的な地震動を推定により詳細に把握すれば,点検区間の適正化などが可能となる.推定データには推定誤差が含まれるが,推定誤差の扱いが定まっていないことから,推定データの実務使用は十分には進んでいない.これを受け,岩田ら(2023)は,実務における推定誤差の扱いの考え方を示した上で,観測データと推定データを融合した鉄道沿線の地震動推定手法を提案した.この手法では,観測値を適用する観測点からの距離を一律としている.しかし,観測値を適用する距離は,観測点周辺の地盤特性変化の程度に応じて個別に設定することが望ましい.本研究では,公的機関による面的な表層地盤の地震動増幅特性を用いて,観測点周辺におけるその変化の程度を定量的に評価し,観測値を適用する距離の考え方を提案する.さらに,鉄道事業者の観測データの導入を想定した,提案手法による鉄道沿線地震動の推定事例を仮想の鉄道路線に対して示す.

  • 田島 礼子, 友澤 裕介, 元木 健太郎, 今関 俊, 松川 滉明, 竹越 美佳, 儘田 豊
    2025 年25 巻7 号 p. 7_38-7_61
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/30
    ジャーナル フリー

    本研究では,伝播経路において不均質減衰を考慮したスペクトルインバージョンにより経験的サイト増幅率を推定し,地中の硬質地盤における観測記録を,推定した増幅率で除すことにより,解放地震基盤面(Vs 3200 m/s)における応答スペクトルを逆算する新たなアプローチを提案した.スペクトルインバージョンでは,既往手法を拡張し,水平動と上下動の同時解析が可能なモデル化を行うとともに,拘束条件とする2つの基準観測点を定量的な指標に基づいて選定した.この手法を適用して推定した経験的サイト増幅率を,既往の隣接2地点ネットワークを用いた手法により推定した増幅率と比較したところ,両者の結果は概ね整合的であったが,5-20 Hz程度の高周波数帯では,最適な基準観測点を選定して不均質減衰を考慮した解析を行った本研究の方が結果の信頼性が高い可能性が示唆された.本研究の手法により逆算した解放地震基盤面における応答スペクトルを,1次元重複反射理論に基づくはぎとり解析と経験式による地盤補正を組み合わせた従来手法から求めた結果と比較したところ,地中地震計が地震基盤相当面(硬岩)に設置されており地盤補正が不要な観測点では,両者の結果は概ね整合的であった.一方,地中地震計が軟岩に設置され,地震計と地震基盤面の間の深度差が大きな観測点では,特に周期0.2秒程度よりも長周期側において,両者の差異が大きくなる傾向があり,これは,本研究では浅部のみならず深部地盤による増幅率も観測点ごとに推定した効果が現れたものと考えられる.

  • 成田 修英
    2025 年25 巻7 号 p. 7_62-7_80
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/30
    ジャーナル フリー

    本論文では,曲げせん断棒モデルを,それと等価な純せん断型多質点系モデルに,周波数領域において置き換える理論を示し,その理論の妥当性を数値解析により検証する.この検証により,以下の知見が得られる.① 提案した理論に基づく等価な純せん断系は,弾性波として伝播する変位成分の影響が卓越する場合に,曲げせん断系と良く整合する.② 等価な純せん断系の剛性は,周波数依存で変化する.

報告
  • 山崎 文雄, 丸山 喜久, 本澤 雅彦, WARNITCHAI Pennung
    2025 年25 巻7 号 p. 7_81-7_94
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/30
    ジャーナル フリー

    2004年12月26日のスマトラ島沖大地震によるインド洋大津波で大きな被害を被ったタイ南部のパンガー県カオラック一帯を対象として,20年間の復興状況の把握を光学衛星画像と計7回の現地調査に基づいて試みた.観光と漁業を主な生業とするこの地域において,津波から10年後の調査では復興の途上であった.しかし20年後の今回の調査では,リゾート地は外国人観光客で賑わい,ホテルや建物も大幅に増加していた.一方,津波防災対策に関しては,防潮堤などのハード対策は見られず,緊急避難のための警報サイレンと避難タワーの整備,避難ルートの設定などが進められていた.また災害記憶伝承のため,資料館や津波遺構も設けられていた.

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