日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
25 巻, 9 号
特集号「第16回日本地震工学シンポジウム」その6
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
論文
  • 曽根 孝行, 奥村 豪悠, 東城 峻樹
    2025 年25 巻9 号 p. 9_1-9_14
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/31
    ジャーナル フリー

    都心部では,中高層建物が隣接して建ち並び街区を形成している.従来,これらの建物の大半は耐震構造であった.しかし,昨今の制振構造の普及により,低減衰な耐震建物に隣接して同規模でかつ高減衰な制振建物が建つ場合も現れてきた.これを踏まえ本研究では,同一形状とした2棟の建物とその周辺地盤をモデル化し,一方の建物の減衰定数,隣棟間隔,隣棟間地盤の状況,表層地盤の特性などをパラメータとして周波数応答解析を行った.地震入力に対する建物の伝達関数と応答を求め,異なる減衰性能を持つ同規模の建物が隣接する際の動的相互作用について検討した.その結果,軟らかく低減衰な表層地盤上において,高減衰な建物は隣接する低減衰な建物に影響を及ぼす場合があることを確認した.

  • -特性化震源モデルに基づく地震動の飽和の検討-
    飯田 朋美, 元木 健太郎, 加藤 研一, 今関 俊
    2025 年25 巻9 号 p. 9_15-9_27
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/31
    ジャーナル フリー

    2023年トルコ地震と過去の内陸地殻内地震の断層近傍の強震観測記録を比較した.断層近傍のPGA,PGVと擬似速度応答スペクトルの短周期の振幅は,Mwが異なる地震記録と大きく変わらないが,長周期ではMwが大きい地震の振幅が大きくなる傾向が見られた.M7クラス以上の地震において,断層近傍の短周期の振幅が飽和する傾向は,断層が大きくなっても近傍の強震動生成域SMGAのみが振幅に寄与することが一つの要因として考えられる.そこで,壇ほか(2011)の長大断層モデルの設定例に基づき,断層長さが異なる5つの断層モデルを用いて,統計的グリーン関数法と波数積分法のハイブリッド法による地震動評価を行った.本研究で設定した,強震動予測レシピに基づく破壊伝播速度で断層端部から一方向に破壊が進行するモデルでは,断層が一定の長さを超えると,最大加速度,最大速度がそれ以上増加しなくなる結果となった.断層近傍の最大振幅は観測点に近いSMGAによる影響が最も大きく,破壊伝播効果による振幅の増加についても,一定以上距離が離れたSMGAは最大振幅に寄与しないと推察される.

  • 山下 典彦, 李 春鶴, 宮脇 幸治郎, 久保田 晃平
    2025 年25 巻9 号 p. 9_28-9_41
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/31
    ジャーナル フリー

    本研究は,インフラ構造物に対する持続可能性として,供用期間中の補強がどのような特性を示すか考察を行った.対象構造物はRC橋脚とし,経年劣化過程は二酸化炭素,水,塩素,温度等の劣化要因により鉄筋の腐食が進行する過程とし,コンクリートの中性化などの影響を鉄筋腐食速度で単純化することにより評価した.そして,供用期間途中でアップグレード補強マニュアルに従った補強を施した場合,補強効果がどのような特性を示すかについて検討し,降伏強度残存率に従属する降伏震度,塑性率,損傷指標及び必要降伏強度スペクトルにより特性を抽出した.さらに,経年劣化の補強履歴と耐久性能は必要降伏強度スペクトル上に耐震性能のスペクトルを併せて表示することにより把握した.結果として,経年劣化するRC橋脚に補強がなされた場合,耐震性能から判断した耐久性能の回復を十分期待できることが示された.

  • 栗山 雅之, 佐藤 浩章
    2025 年25 巻9 号 p. 9_42-9_55
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/31
    ジャーナル フリー

    内陸地震の地表断層変位分布をベル型関数の重ね合わせによってモデル化する手法を提案した.鉛直横ずれ断層型で,高応力降下量域としてのSMGAと背景領域からなる震源モデルによる動的破壊シミュレーションに基づき,SMGAの個数および深さと,提案手法によって地表断層変位分布を分解して得られたベル型関数の特徴には対応関係が見られることが分かった.さらに,2016年熊本地震の地表断層変位分布が,提案した手法により日奈久断層は単一,布田川断層は2つのベル型関数に分解でき,各ベル型関数とSMGAの数に対応関係があることを明らかにした.動的破壊シミュレーション,および実地震の分析結果から,地表断層変位分布を分解することでSMGAの適切な配置を評価できる可能性を示した.

  • 山田 雅行, 羽田 浩二, 今井 隆太, 藤原 広行
    2025 年25 巻9 号 p. 9_56-9_68
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/31
    ジャーナル フリー

    動力学的断層破壊シミュレーションによって自発的初期破壊を生じさせるためのモデル条件について考察を行った.摩擦係数や摩擦構成則によって初期破壊領域をアプリオリに与えずに,断層面にせん断剛性の変化を持たせ,モデル端部の強制変位によってせん断応力を載荷する条件で,3次元有限差分法を用いた動力学的断層破壊シミュレーションを行っている.自発的初期破壊を生じさせやすい断層面のせん断剛性の条件について検討を行った.その結果,せん断剛性を変化させた境界部の低速度側から自発的初期破壊が生じやすいことがわかった.

  • 中辻 綾香, 後藤 浩之
    2025 年25 巻9 号 p. 9_69-9_80
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/31
    ジャーナル フリー

    断層近傍で観測される断層平行成分のパルス性地震動は工学的に重要である.その発生メカニズムには,地表や堆積層の存在が断層の破壊過程に影響していると考えられているが,堆積層による影響は十分には解明されていない.従って,本研究では堆積層の影響を考慮した震源断層の動的破壊シミュレーションを行い,断層破壊と地表面や堆積層との相互作用について考察することを目的とした.この相互作用を考慮するために,動力学モデルを適用した有限要素法を用いた.堆積層を考慮した場合には,堆積層を考慮しない場合と比較して地表面付近の滑り速度のτh(パルスの幅)が広がる一方で,τr(滑り速度が継続する時間)が短くなるという特徴的な形状を示した.

  • -2016年熊本地震の事例-
    水井 良暢, 藤原 広行
    2025 年25 巻9 号 p. 9_81-9_91
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/31
    ジャーナル フリー

    災害発生後の家屋片付け作業量と不足量の把握に役立つ情報の生成を目的とし,2016年熊本県益城町災害ボランティアセンターによる災害ボランティアの作業管理データを利用し,被災地での作業実態を把握した.既存の建物被害判定データを利用し作業内容別に週毎の家屋片付け作業量を把握し,地区別の特徴を明らかにした.250 mメッシュによる可視化も行った.その結果,農業や林業に従事する地区では自助互助で対応が行われ,市街地では共助への支援依頼が多い傾向があると推定された.甚大被害地区よりも半壊や一部損壊地区での作業が長期化している傾向がある.災害ボランティアは自助互助を含む全体作業量のおおよそ1~5%程度を担っていることがわかった.またモデル地区における被災家屋1,000棟当たりの作業量算出係数を導き出した.

  • 林田 拓己, 中川 博人, 横井 俊明, 鹿嶋 俊英, 小山 信
    2025 年25 巻9 号 p. 9_92-9_105
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/31
    ジャーナル フリー

    福島県いわき市内の16地点に設置した臨時地震観測点の地盤増幅特性を推定した.まず,いわき市周辺に展開されている防災科学技術研究所のK-NET/KiK-net強震観測点および気象庁震度観測点を対象に,2012年1月~2021年12月の期間に観測されたプレート間地震およびプレート内地震それぞれの地震波形データセットにスペクトルインバージョン法を適用した.各地震の震源特性および対象地域の伝播経路特性を求め,これらの特性を臨時観測点の観測スペクトルから除することで,各地点の地盤増幅特性を推定した.中心市街地のあるいわき市平地区では,沖積平野の広い範囲で表層地盤の増幅によって0.7-2 Hzの地震動が卓越し,既往の強震観測点の記録と比較して地震動が大きくなることを確認した.

  • 王 欣, 段 布賀, 仁田 佳宏
    2025 年25 巻9 号 p. 9_106-9_116
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/31
    ジャーナル フリー

    建物の水平方向の振動は,上下方向における基礎から屋上への波動伝播の観点から考察することができる.波動干渉法を用いて仮想震源(インパルス)が屋上に配置する場合の新波動場(インパルス応答)の上昇波と下降波の伝達関数により建物の上部構造の内部減衰を抽出することが可能である.既往研究では,均質と不均質1次元成層モデルを用いて手法の有効性およびRicker Waveletを用いて有効周波数範囲などの影響を検討した.本研究では,建物模型の振動台実験を行い,減衰関数から各次モードの減衰定数を評価する手法の実用性を検討する.

  • 入口 直樹, 田村 修次
    2025 年25 巻9 号 p. 9_117-9_125
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/31
    ジャーナル フリー

    大地震時には上部構造慣性力の転倒モーメントによる繰返し変動軸力が杭に作用する.しかし,繰返し変動軸力による杭の沈下特性に関する知見は極めて少ない.そこで,本研究では砂地盤中の単杭に対し,単調鉛直載荷および繰返し鉛直載荷実験を行い,繰返し変動軸力を受ける杭の沈下特性を検討し,以下の知見を得た.①繰返し変動軸力を受ける杭は,同一荷重下でも沈下が進行した.繰返しの後,鉛直荷重を増加させると杭の先端抵抗は単調載荷時の骨格曲線に漸近した.②繰返し変動軸力を受ける杭の沈下量は,載荷回数の対数に概ね比例して増加した.③繰返しによる沈下量の簡易評価法を提案した.

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