日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
3 巻, 1 号
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  • 武村 雅之
    2003 年 3 巻 1 号 p. 1-36
    発行日: 2003年
    公開日: 2010/08/12
    ジャーナル フリー
    東京都心部での関東地震による地震動の強さ分布は, 河角 (1951) や望月・椿木 (1993) などの結果があり, 相対的には殆ど蛇足を要しないと思われるが, 何れの結果も評価の条件が詳細に書かれていないこと, 結果の表現が評価当時の技術レベルに依存しており, 今日地震防災に生かそうとしたときには, より明解な資料が要求されることから, 本稿では, 近年の調査結果や新しく発掘された資料を用いて再度震度評価を行った。主な結果をまとめると以下の通りである。まず, 山の手台地上は一般に震度が小さく大半が5強以下である。これに対し, 震度が6強から7と判定される地域は, 1つは下町低地の隅田川の東側の本所区, 深川区, 以西の浅草区と下谷区の上野公園と浅草公園を結ぶ線より北側である。下町低地のうちでも南側の浅草区南部, 神田区東部, 日本橋区, 京橋区は震度が低く, これらの地域は現在の上野台地や本郷台地の一部が波によって削られた波食台と呼ばれる埋没台地が地下に存在する地域に対応する。この他震度の高い地域は, 日比谷, 大手町, 神田神保町にかけての地域である。江戸時代以前は, 日比谷から大手町にかけては日比谷の入江が存在し, そこに神田神保町方面から神田川の前身である平川が流れ込んでいた。今でも地下には丸の内谷, 平川谷と呼ばれる沖積基底の谷地形があり, それに沿う形で震度が高い。このように, 震度分布は表層地盤の構造と強く関連し, その理解には長年にわたる土地の人工改変の歴史も重要な情報である。
  • 木村 至伸, 河野 健二, 栗脇 真
    2003 年 3 巻 1 号 p. 37-46
    発行日: 2003年
    公開日: 2010/08/12
    ジャーナル フリー
    兵庫県南部地震による構造物の大きな損壊を受けて、耐震設計の見直しが行われてきた。構造物の設置される環境の複雑さを考慮すると, 構造物の安全性を計るためには, 地形や地盤条件の変化など, 構造物の応答に影響を及ぼす様々な要因を明らかにする必要がある。本研究では動的相互作用を考慮した地盤-基礎-上部構造物系の1つとして, 各橋脚下の地盤条件が変化する場合及び橋脚高さが変化する場合について非線形応答解析を行い, これらが構造物の耐震性能評価に及ぼす影響について検討した。また, 入力地震動の最大加速度に着目した多自由度構造物系の耐震性能に関する評価法や, 橋脚限界値を用いた地震後の構造物の機能保持に関する検討を加えた。
  • 藤本 一雄, 翠川 三郎
    2003 年 3 巻 1 号 p. 47-58
    発行日: 2003年
    公開日: 2010/08/12
    ジャーナル フリー
    地盤の非線形性が地盤増幅度に及ぼす影響を評価するために, 2001 年芸予地震の本震および余震等による広島市での地震記録から地盤特性を求め, それぞれを比較した。その結果, 本震時の地盤特性には地盤の非線形性の影響がみられることを確認した。芸予地震における最大振幅に対する増幅度を地盤のひずみレベルごとに整理し, これに1989 年ロマプリータ地震および1994 年ノースリッジ地震における強震記録からの結果を加えて検討したところ, 最大加速度に対する増幅度は, 表層地盤の有効ひずみが3×10-4 程度を越えると顕著に低下するが, 最大速度に対する増幅度は, 有効ひずみが1×10-3 程度までは地盤の非線形性の影響がほとんどみられないことを確認した。
  • 翠川 三郎, 大竹 雄
    2003 年 3 巻 1 号 p. 59-70
    発行日: 2003年
    公開日: 2010/08/12
    ジャーナル フリー
    地震動強さの距離減衰式にみられるバラツキの特性について検討した。水平最大加速度および速度の距離減衰式に対する元データのバラツキとマグニチュード (M)、震源距離、振幅レベルとの関係を整理した。その結果、M が大きくなる程、距離が小さくなる程、振幅が大きくなる程、バラツキが小さくなる傾向がみられ、これらのうちで振幅レベルとの相関が最も強いことを示した。距離依存性は伝播経路での地震波の散乱や減衰の影響で、振幅依存性は距離依存性やM 依存性などの相乗効果の結果で、説明が可能であることを指摘した。
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