新潟県中越地震の本震では, 小千谷市内の2 地点の強震記録の振幅に大きな違いが見られた。また, 地表地震動の大きさに比して, 周辺の低層建物の被害の程度は小さかった。これらの原因を解明することを目的として, 地震後に実施された地盤調査結果を用いて, 両地点の物理的な地盤モデルを作成し, 地盤の非線形応答解析により, 両地点の地表地震動の再現を行った。また, 周辺の建物支持層となりうる段丘堆積層上面の地震動を評価し, これを入力とする建物モデルの応答解析を行った。検討の結果, 表層地盤の非線形応答解析により, 両地点の地表地震動を精度よく再現できた。両地点の地表地震動の差は, 主として表層約3m の増幅の差によることを示した。また, 段丘堆積層上面の地震動レベルは, 地表地震動の6 割程度と推定され, これを入力とする低層RC 造建物モデルの応答解析結果は, 周辺で大きな被害がなかった状況と整合することを示した。
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