日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
9 巻 , 5 号
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論文
  • 余川 弘至, 田辺 晶規, 八嶋 厚, 杉戸 真太, 沢田 和秀, 久世 益充, 中山 修, 星加 泰央
    2009 年 9 巻 5 号 p. 5_1-5_20
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/06/13
    ジャーナル フリー
     これまで、大きな地震が発生するたびに、河川堤防の被害が報告されている。これは、自然に形成されてきた河道を改修してきた治水事業の歴史的要因によるところも多く、河川堤防の主な目的である洪水防御機能を優先し、基礎地盤の土質工学的な検討に基づいて構築位置を選び、地盤改良を行うなどの、耐震対策がさほど行われてこなかったことも一因である。しかしながら、河口近くの下流部周辺には都市域が発達していることが多く、地震に伴い津波や高潮の襲来する危険性も大きいことから、河川堤防の耐震性向上の必要性が高まっている。1995年兵庫県南部地震では、堤防直下の地盤が液状化したことによる、堤体の沈下や変形が多く見られた。過去に発生した1964年新潟地震、2004年新潟県中越地震、2007年新潟県中越沖地震においても、河川堤防で様々な被害が報告されている。信濃川中流域は、厚く堆積した沖積砂層地盤上に、河川堤防が構築されており、液状化による被害が想定される。本研究では、信濃川中流域を対象として2次元有効応力解析プログラムLIQCAにより、過去の被害事例の再現を試み、河川堤防の被災メカニズムの推定を行った。さらに、1964年新潟地震、2004年新潟県中越地震、2007年新潟県中越沖地震の推定地震動波形を用いて、地震動の継続時間や加速度振幅の大きさが、液状化発生による河川堤防の被害にどのような影響を及ぼすかについて検討を行った。その結果、液状化に伴う河川堤防の変形は、地震動の加速度振幅だけではなく、地震動の継続時間にも大きな影響を受けることを明らかにした。
  • 境 有紀, 福川 紀子, 新井 健介
    2009 年 9 巻 5 号 p. 5_21-5_28
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/06/13
    ジャーナル フリー
    地震発生直後の面的被害推定,あるいは,地震被害想定をより正確に行うことを目的として,建物の構造種別や層数などの建物種別を考慮に入れた建物群を人口データから構築することを試みた.具体的には,人口が集中する都市部ほど非木造建物,非木造高層建物が増えるのではないかと考え,建物種別を木造,9階以下の中低層非木造,10階以上の高層非木造の3つに分類し,1kmメッシュを対象として,関東圏3万メッシュから人口の大小,夜間人口と昼間人口の比を万遍なく網羅するように20メッシュを選んで調査を行い,そのデータを基に,メッシュ当たりのそれぞれの建物種別の棟数を国勢調査による夜間人口,昼間人口から推定する式を構築した.その結果,いずれの場合も高い精度でメッシュ人口からそれぞれのメッシュの建物種別の棟数を推定できることがわかった.ただし,団地など特殊なケースで,推定値が実際の棟数と異なり結果となり,その解決が今後の課題である.
  • 茂木 秀則, SHRESTHA Santa Man, 川上 英二, 川村 潤也
    2009 年 9 巻 5 号 p. 5_29-5_41
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/06/13
    ジャーナル フリー
    2008 年6 月14 日岩手・宮城内陸地震(M7.2)では岩手県南部,宮城県北部を中心に非常に大きな被害が生じた.防災科学技術研究所によるKiK-net 一関西観測点が震源のごく近傍に位置しており,本震と数多くの余震の加速度記録が得られた.これらの鉛直アレー観測記録は歪レベルの大きな地震波動の伝播性状を検討する上で極めて貴重なものである.本研究ではKiK-net 一関西観測記録にNIOM 法を適用して2008 年岩手・宮城内陸地震とその前後のS 波速度の変化を検討した.その結果,(1) 本震主要動において,強震動に起因する地盤の非線形化によって,S 波の伝播時間が本震前の0.258 s から0.35 s 程度まで増加したこと,(2) 上記の伝播時間の増加は表層(地表~地下64m)における剪断剛性率が初期剛性の40%程度まで低下したことに相当し,このときの最大剪断歪は1×10-3 に達するものと推定されること,(3) 本震コーダ部や本震直後の余震の解析から,本震直後のS 波の伝播時間が本震以前の伝播時間よりも大きい値(約0.28 s)を示し,その後緩やかに減少する傾向が見られることなどを指摘した.
  • 高浜 勉, 翠川 三郎
    2009 年 9 巻 5 号 p. 5_42-5_57
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/06/13
    ジャーナル フリー
    1978年宮城県沖地震、1995年兵庫県南部地震、2004年新潟県中越地震による鉄道構造物の被害資料を収集・整理し、被害発生地点を震度分布と重ね合わせ、計測震度とメッシュ単位での鉄道構造物の被害率との関係を地形・地盤分類ごとに整理した。さらに被害率の傾向が類似した地形・地盤分類を統合し、震度4~7で適用可能な被害関数を構築した。その結果、鉄道構造物の被害は震度5強程度から生じ始めること、被害率は山地・丘陵や谷底低地などで高いことを確認した。
報告
  • 三浦 均也, 森政 信吾, 吉田 望, 千野 克浩, 村田 芳信
    2009 年 9 巻 5 号 p. 5_58-5_78
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/06/13
    ジャーナル フリー
    東海地域などの大規模被害地震が発生する可能性が高いと想定される地域では,他の構造物と同様に住宅高盛土の地震時の安定性評価および耐震対策が急務とされている。しかしながら地方自治体においては調査・対策に使うことのできる予算は限られており,低予算で効率的に調査できる手法が求められている。そのため,著者らは豊川市御油の長大な盛土斜面を有する造成地を対象に,既に供用されている宅地盛土の地質構造や地下水浸透を効率的に調査する手法の検討,およびその調査結果に基づいた解析方法と地震時安定評価法を調査研究した。本文では,調査結果を示すとともに,各調査法の適用性および,調査結果を用いた高盛土の安定性評価法および解析結果について考察する。
  • 小川 修一, 亀田 浩紀, 佐藤 宏, 三田 彰
    2009 年 9 巻 5 号 p. 5_79-5_93
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/06/13
    ジャーナル フリー
    本研究では、実用化に向けた構造ヘルスモニタリング(SHM :Structural Health Monitoring)システムとそのデータモデルを提案し、プロトタイプを構築した。また、センサ情報や計測データの登録を自動化することで、設置の容易なデジタルスマートセンサを開発した。本SHMシステムは、リレーショナルデータベース(RDB:Relational Database)を使用したデータ管理を行い、WEB(World Wide Web)ページを通じて、いつでもどこでも解析可能なシステムとした。本論文では、提案したSHMシステムを木造模型、金属模型と2つの実建物、合計4つの構造物に実装して実験検証を行った。その結果、本SHMシステムがデータ取得から解析表示までスムーズに動作すること、ルータの設定を変更することなく、計測データの自動登録を行えること、システムが安定的に53日間稼動したこと、適切なレベルの振動であれば建物の一次固有振動数を100%の確率で自動導出できることを確認した。
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