工学的基盤以深の地盤は通常は弾性と扱われるが,非線形性が地表の応答に影響する事例も現れている.そこで,工学的基盤の一つとして扱われる堆積軟岩の三軸圧縮試験結果と動的変形特性の実験結果を集め,これらを整理し,実験式を得た.さらに,比較的乱れの少ない試料を用いた試験結果をもとに非線形特性の特徴を示すと共に,実務で扱う際の注意点をまとめた.まず,ダイヤモンド・コアドリルを用いて採取した堆積軟岩試料を用い,LDT(局所変位計測)装置付きの静的な三軸圧縮試験を行い,せん断剛性比(G/G
0)-せん断ひずみ(γ)の関係に着目して整理し,乱れのない試料ではγが10
-3程度まではG/G
0 は0.9~1.0程度と剛性の低下はほとんどなく,ほぼ線形の応力-ひずみ関係となるが,乱れの多い試料ではγが10
-5程度でも剛性低下が著しく現れることを示した.一方,N 値30以上またはせん断波速度Vs が300m/s 以上の洪積層~第三紀層の堆積軟岩の不撹乱試料の動的変形試験結果データを整理したところ,γが10
-3以下における挙動がLDT を用いた静的試験で得られたG/G
0-γ関係に近い挙動を示す試料が存在することが分かった.これらの乱されない試料では,G/G
0 のγ=10
-3における値は拘束圧依存性がなく,塑性指数と正の相関があることがわかった.最後に,塑性指数毎に分類した乱れの少ない動的変形試験結果をRamberg-Osgood モデルでよく表現できることを示した.
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