日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
特集号: 日本地震工学会論文集
12 巻 , 5 号
特集号「2011年東日本大震災」その2
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
報告
  • 久保 智弘, 久田 嘉章, 相澤 幸治, 大宮 憲司, 小泉 秀斗
    2012 年 12 巻 5 号 p. 5_1-5_20
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    2011年3月11日に発生した東日本大震災では、東北地方から関東地方の広い範囲で強震動を観測し、首都圏に建つ超高層建築の多くでこれまでにない大きな揺れを経験した。しかし、首都圏で観測された東日本大震災の揺れは、今後発生すると想定されている首都直下地震や東海・東南海・南海地震により想定されている地震動と比べて大きくなかったため、それら想定されている地震が発生した場合、首都圏で大きな被害が発生する可能性がある。そこで、そのような被害を軽減するために、本報告では、東日本大震災における超高層建築の揺れや被害について整理し、今後発生すると想定されている地震災害の対策のための資料とすることを目的とする。そこで、本報告では首都圏に建つ超高層建築をキャンパスとしている工学院大学を対象として、観測記録と当日の被害、及びその後に実施したアンケート震度調査についてまとめた。
論文
  • 関口 徹, 中井 正一
    2012 年 12 巻 5 号 p. 5_21-5_35
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    東北地方太平洋沖地震で千葉市美浜区において生じた液状化被害への表層地盤構造とその地震動増幅特性の影響を検討するため、微動・地震観測を行った。そして多数のボーリング資料に基づき同区をメッシュ状に分割した表層地盤S波速度構造のモデルを作成した。推定されたS波速度構造は既往のPS検層の結果と調和的な結果となり、モデルから得られる地盤の固有周期は観測記録の微動H/Vスペクトルの卓越周期と良い相関が得られた。区内で観測された本震記録から工学的基盤波を求め、地盤モデルに対して等価線形解析を行った。その結果噴砂の被害分布と解析から得られた砂質土層の最大せん断ひずみの分布は調和的な結果となった。
  • 茂木 秀則, 川上 英二
    2012 年 12 巻 5 号 p. 5_36-5_54
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    東北電力株式会社女川原子力発電所は東北地方太平洋沖地震(2011 3/11 14:46、M9.0) の震源の近くに位置しており、発電所内の各観測点において多くの貴重な強震記録が得られた。本研究では、東北電力株式会社女川原子力発電所内の鉛直アレーにおける観測記録を用いてNIOM解析を行い、東北地方太平洋沖地震とその前後の地震波の伝播時間の経時変化と地盤物性の変化を調べた。その結果、(1) G-1~G-2 区間(G.L.-147.1~-61.5m)では、東北地方太平洋沖地震の本震主要動部分においても最大剪断歪は5×10-5 程度、剪断剛性率G/G0 は0.8~0.9 程度であり、S 波の伝播時間の変化はわずかであったこと、(2) 一方、G-3~G-4 区間(G.L.-27.3~-1.7m)では、東北地方太平洋沖地震の本震主要動部において最大剪断歪は1×10-3 に達し、剪断剛性率G/G0 は0.3~0.4 程度まで低下したものと考えられることなどを指摘した。
  • 山崎 泰司, 瀬川 信博, 石田 直之, 鈴木 崇伸
    2012 年 12 巻 5 号 p. 5_55-5_68
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    本論文は、東日本大震災に際し、日本電信電話株式会社における電気通信土木設備の被災状況を報告するとともに、被災状況の傾向分析により、これまで実施してきた耐震対策の有効性を確認したものである。阪神淡路大震災と比較した場合、津波被害を除く地震動及び路面変状等による被災率は、東日本大震災の方が低い傾向にあることが確認できた。また、今後予想される首都直下型地震、東海・東南海・南海地震を想定した耐震対策については、公開されている地盤情報に基づき被災しやすい箇所を想定することが可能であることが確認できた。
  • 若松 加寿江
    2012 年 12 巻 5 号 p. 5_69-5_88
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    本論文は、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震で確認された再液状化の事例を調査し、再液状化地点の分布を示すとともに、再液状化地点の微地形、土地履歴、地盤条件、地震動強さなどを明らかにしたものである。再液状化は、東京湾沿岸の埋立地、千葉県と茨城県の県境を流れる利根川下流沿岸の旧河道の埋立地、湖沼の干拓地、房総半島九十九里平野の砂鉄採掘跡地および宮城県の鳴瀬川・江合川・北上川沿岸など、合計85箇所で確認された。中には、今回で4回目の液状化事例もあった。再液状化地点の大部分は、人工造成地であったが、自然地盤での再液状化も見られた。さらに、東北地方太平洋沖地震の液状化の状況を、過去の液状化と比較した結果、液状化による変状や被害の程度は2011年の方が大きいが、被害の様相は2011年とそれ以前の地震では極めて類似していた。
  • 山中 稔, 原 忠, Hazarika Hemanta, 大角 恒雄, 古市 秀雄, 上野 舞子, 山崎 友治, 岡田 博之
    2012 年 12 巻 5 号 p. 5_89-5_101
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
     2011年東北地方太平洋沖地震では強い揺れとその後の津波で多くの構造物が被災した。海岸保全施設の多くが崩壊したが、河川堤防や盛土には地形や構造の違いにより被害程度に差が見られた。本論文は、土構造物の耐震性や耐津波性を検討するための基礎資料を得ることを目的に、津波被害を受けた岩手県中南部の2地点の土構造物の、現地調査や室内土質試験を行った。その結果、自然水位が高く貫入抵抗値の低い堤防では、表面被覆を有する場合でも津波来襲前に陥没崩壊する可能性が大きいことや、盛土表面を廃タイヤで被覆した擁壁では、健全性が保たれたことより、津波による外力への抵抗や洗掘防止効果が期待されることが明らかとなった。
  • 津野 靖士, 山中 浩明, 翠川 三郎, 山本 俊六, 三浦 弘之, 酒井 慎一, 平田 直, 笠原 敬司, 木村 尚紀, 明田川 保
    2012 年 12 巻 5 号 p. 5_102-5_116
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震の本震と余震の強震記録を用いて、首都圏および周辺地域に於ける周期2秒以上の地震動特性とサイト増幅特性を評価した。約650点の本震記録を用いたPGVとPGAから地震動が首都圏で複雑な分布を示すこと、擬似速度応答スペクトル分布から川崎~品川付近の東京湾沿岸部で周期2秒と3秒の速度応答が極めて大きいことが分かった。地表/地中の速度応答スペクトル比から算出したサイト増幅特性は、周期3秒以上の地震動に対して震源の位置に依存し、首都圏およびその周辺地域では東北地方の地震よりも長野県北部や静岡県東部の地震による地震動が大きく増幅されることが分かった。
  • 源栄 正人, ツァンバ ツォグゲレル, 吉田 和史, 三辻 和弥
    2012 年 12 巻 5 号 p. 5_117-5_132
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    本論文では、2011年東北地方太平洋沖地震で大きな被害を受けたSRC造9階建て建物を対象に、地震時とその前後における振幅依存振動特性の分析を行うとともに、実観測記録に基づく動的履歴特性を分析した。ウェーブレット解析に基づく倍調波成分の励起の確認により浮き上がり振動を起こしていたことを示唆し、被害状況とも調和することを示した。また、竣工以来40年に及ぶ微動レベルから強震動のレベルの長期モニタリングデータに基づく振幅依存振動特性について整理分析を行った。
  • 坂本 拓也, 磯部 亮太, 源栄 正人, 柴山 明寛
    2012 年 12 巻 5 号 p. 5_133-5_142
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    現在の日本では、震度は機械による計測値、いわゆる計測震度のみを使用し、人体感覚や被害の程度は参考にしていない。また、計測震度は局地的な値を反映し、計測地点間の評価は難しい。地盤・地質条件により狭い範囲内でも震度差を生じることが知られる中で、地域内の震度を面的に評価できるアンケート震度はその点で非常に有効であるといえる。そこで、本研究では、本震で震度7を計測したものの甚大な被害には至らなかった築館地区を含む宮城県栗原市および、その栗原市に隣接しながら本震で大きな被害を受けた宮城県大崎市の2市を対象にしたアンケート調査を基に、2011年東北地方太平洋沖地震と4月7日の余震の揺れの実態調査を行った。
  • 先名 重樹, 長谷川 信介, 前田 宜浩, 藤原 広行
    2012 年 12 巻 5 号 p. 5_143-5_162
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    東北地方太平洋沖地震では、東京湾岸だけでなく、利根川流域においても多数の液状化現象が発生し、場所によっては、ライフラインの寸断、住宅基礎の破壊や不同沈下など、甚大な被害が発生した。本報告では、利根川流域における液状化被害の全体像をとらえることを目的として、茨城県・千葉県内の主に利根川流域における計29市町について現地調査を実施した。調査内容は、各市町の情報を収集したのち、現地においての写真撮影、住民へのヒアリング等を実施した。利根川流域における液状化の特徴として、激しい液状化が見られたのは、ほとんどが海や池、河川を埋め立てた人工地盤であった。しかしながら、ごく一部では、自然地盤でも液状化現象が見られた。また、本報告では、参考までに、関東地方全体の液状化地点情報と微地形区分毎の液状化発生頻度および確率についても計算し、結果の検討を行った。今回の地震における液状化は、過去の液状化被害のあった地震と比べて、微地形区分に基づく液状化発生確率が、非常に大きくなることが分かった。
  • 野田 翔兵, 兵動 正幸, 古川 智, 古居 俊彦
    2012 年 12 巻 5 号 p. 5_163-5_179
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
     東日本大震災における宮城県山元町太陽ニュータウンの盛土崩壊現場を調査し、現場より採取した土を用いて締固め度90%で一連の排水・非排水単調および非排水繰返しせん断試験を行った。採取した盛土材料は凝灰質砂岩の風化した砂質土であった。採取土の単調せん断試験結果は、負のダイレイタンシーの卓越した圧縮性の強い低いせん断強度を示した。非排水繰返しせん断試験結果は、初期せん断応力の増加に伴う繰返しせん断強度の低下を示し、盛土の地震時崩壊を裏付ける結果が示唆された。
  • 高田 和幸, 藤生 慎, 入子 直樹, 大沢 祐輔
    2012 年 12 巻 5 号 p. 5_180-5_191
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
     2011年3月11日,東北地方太平洋沖地震の発生後、首都圏では鉄道の運行が長時間に渡り休止し、多数の市民の移動が困難となった。市民の中には、安全な移動が可能か否か不確実な状況下で移動を開始し、屋外で夜を明かすなど自ら危険な状況に身をおいた方がいた可能性がある。どのような状況で移動が開始されたかを検証することは、将来発生が想定されている首都直下地震への対策を検討する上で有意義と考えられる。
     そこで本研究では、地震発生当日の帰宅困難者に対してインターネット調査を実施し、当日の帰宅の開始状況に焦点を当てて分析を行い、個人の属性と帰宅開始時刻との関係性を検証した。また首都圏の鉄道運行再開状況と照らし合わせて分析した結果、多くの帰宅困難者が鉄道の運行再開を待たずに移動を開始していたことなどが明らかになった。
  • 植竹 富一
    2012 年 12 巻 5 号 p. 5_192-5_206
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震の本震及び前震・余震による記録を用いて、東京湾岸における長周期地震動の検討を行った。本震の速度波形・変位波形には周期約20秒のパルス状の波が認められる。本震の速度応答スペクトル形状には、地点毎の差異は認められるが、周期5~10秒の範囲で顕著なピークは見られない。宮城県沖~茨城県沖で発生した前震・余震でも同様な傾向である。一方、長野県北部の地震では周期5~7秒の卓越が見られ、震源位置により長周期地震動の励起が異なることが確認された。また、本震の周期7~8秒の位相速度は、応答スペクトルに顕著なピークがみられた2007年新潟県中越沖地震の位相速度より早く、周期7~8秒の卓越性状と波動成分の関係が示唆される。
  • 飯山 かほり, 栗田 哲, 源栄 正人, 千葉 一樹, 櫻田 佑太, 三辻 和也
    2012 年 12 巻 5 号 p. 5_207-5_224
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震で損傷を受けた鉄筋コンクリート構造3階建て建物について、本震の加速度記録と微動データの分析によりモード特性の変化を調べ、損傷による変化や竣工後からの経時変化について検討を行った。また、簡易な推定法を用いて微動データの分析で得られた固有モードから損傷階の特定を試みた。FDD法による微動データの分析方法についても検討を行い、仮定した建物の減衰モデルの差異が解析結果に及ぼす影響について調べた。
  • 飯山 かほり, 栗田 哲, 源栄 正人, 千葉 一樹, 平松 大樹, 三辻 和也
    2012 年 12 巻 5 号 p. 5_225-5_242
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/07
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震で大破した鉄骨鉄筋コンクリート構造9階建て建物のモード特性を微動データからFDD法により同定した。同定した固有モードから、立体振動モード性状、並進振動モードに占める捩れ成分、固有モードの層間変形率について検討を行った。また、建物の減衰モデルの違いが同定した固有モードに及ぼす影響についても検討した。最後に、既往の研究も参照して微動固有振動数の経時変化、固有モード特性と建物の損傷との関係、微動データから同定される複素固有モードの性質について考察した。
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