教師学研究
Online ISSN : 2424-1598
Print ISSN : 1349-7391
11 巻
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 姫野 完治
    原稿種別: 本文
    2012 年 11 巻 p. 1-11
    発行日: 2012/07/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル オープンアクセス
    2010年度の大学入学者より教育職員免許法が改訂され,教員免許状を取得する際の必修科目として教職実践演習が導入されている.本研究では,教職志望学生が理想の教師像や自己評価等を4年間継続して記録し,学生自身が自らの成長・発達過程を捉えるための教職ポートフォリオ・システム,教職ポートフォリオと学生への面談をもとに大学教員が記録する教職カルテ・システム,そしてポートフォリオとカルテを管理するシステムを開発し,大学1年次の学生102名を対象に試行した.システムの試行後に,使いやすさや効果に関して学生へアンケート調査を行ったところ,被教育体験の振り返りや目指すべき教師像の明確化に寄与した一方で,記録項目の精選等が必要といった課題も明らかになった.
  • 鈴木 悠太
    原稿種別: 本文
    2012 年 11 巻 p. 13-22
    発行日: 2012/07/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル オープンアクセス
    フェンスターマッハの「実践的討論」の概念は、これまで、教師の専門性開発を促進するという実際上の有効性が広く評価されてきた。それに対して本研究は、「実践的討論」の概念について、その理論上の貢献に着目する再検討を行い、教師の実践的ディスコース研究の起点として意義づけることを目的としている。本稿では、「実践的討論」の概念の形式、その適用事例、概念の文脈と託された意図をそれぞれ検討し、その上で「実践的討論」の概念をめぐる論争を手がかりとした。その結果、教師の実践的ディスコースをめぐる以下の理論的な布置を獲得するに至った。それは、分析哲学に基づき、教師の命題的思考を行為の背後にある実践的推論において照射する「実践的討論」の概念を起点とし、メタファー等のシンボルに基づく非命題的思考による認識を主題化する系譜、そしてプラグマティズムの哲学を継承し行為と思考の統合的な把握を探究する系譜という布置である。
  • 丸山 範高
    原稿種別: 本文
    2012 年 11 巻 p. 23-33
    発行日: 2012/07/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,国語科「読む」領域の授業における発問行為を支える教師の実践的知識の構造を解明することにある。熟練教師と初任教師の語りを分析しながら,両者に共通する実践的知識の一般性と,熟練教師ならではの卓越性を浮き彫りにした。事例としての熟練教師と初任教師はともに,[目指す読み][目指す学習者][発問生成の過程]といった実践的知識の構成要素を保持しているが,熟練教師はそれら諸要素を相互に緊密に連係させており,初任教師とは異なる学習者の学びの質的向上を実現できていた。この研究成果は,教師の知識研究を教科・領域レベルに具体化するとともに,これまでの国語科発問研究を相対化するものである。
  • 坂本 篤史
    原稿種別: 本文
    2012 年 11 巻 p. 35-46
    発行日: 2012/07/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は、教科内分野間での教師の実践的知識の質的相違を個人内で比較検討することにより、実践的知識の特徴や内実に関し考察を深めることである。国語科の実践的知識に関する先行研究より、同一教師の説明文読解と物語文読解の授業に関する実践的知識に対し、ナラティブ・アプローチによる検討を行った。具体的には、ある小学校熟練教師の説明文読解と物語文読解の授業に関する語りを定性的コーディングによりカテゴリ化し、カテゴリ間の関係を検討して各実践的知識を構造化し比較した。結果、物語文読解の授業実践と省察から形成した授業過程に関する知識を、説明文読解授業の実践的知識に適応している点、国語科の実践的知識において、授業観に示される学習過程の分野間相違により、テキストとして扱う文章の種類の幅が異なる点、説明文読解の授業の実践的知識においては、文章内容の読解と文章構造の理解を関連づける点が示された。
  • 竹元 惠子
    原稿種別: 本文
    2012 年 11 巻 p. 47-57
    発行日: 2012/07/31
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では看護系大学に所属する大学教員歴5年未満の看護学教員のロールモデル行動の特徴と特徴に影響を及ぼす要因について検討した。具体的には舟島らが開発した「看護学教員ロールモデル行動自己評価尺度」を用いて、全国の看護系大学の講師、助教、助手を対象として調査を行った。その結果【学生を尊重し、誠実に対応する行動】の下位尺度得点が最も高く、下位尺度項目の<優しさと厳しさをバランスよく保つ>と<看護現象を理解するために理論を活用している>が改善課題として見出された。さらに、職位別では助手に、より多くの改善課題が見出された。また、ロールモデル行動に影響すると思われる要因では、(1)所属大学の教育課程、(2)最終学歴、(3)職位、(4)大学教員歴、(5)科学研究費・助成金受給の有無、(6)看護関係の学会所属の有無、(7)大学教員の主たる役割に関するやりがい感、(8)キャリア意識等が見出された。
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