教師学研究
Online ISSN : 2424-1598
Print ISSN : 1349-7391
27 巻, 1 号
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  • 田中 雅子, 星 裕, 半澤 礼之, 浅井 継悟, 越川 茂樹
    2024 年 27 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2025/01/22
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,教育実習における管理職が指導教員のどのような発達のプロセスを期待しているのかを明らかにすることである。発達のプロセスの始発点は指導教員の選定が含まれことから指導教員の選定も含めて検討を行った。管理職経験者8名に対して半構造化面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(木下,2020)を用いて分析を行った。管理職が期待する指導教員の発達のプロセスとして,24の概念,4のカテゴリー,5のサブカテゴリーが生成され,概念間及びカテゴリー間の関係が図にまとめられた。管理職は指導教員を間接的にサポートしつつ,教員としての器を大きくし,教師教育者の道に進み,ゆくゆくはミドルリーダーになる,という発達のプロセスを期待していることや学校経営者としての思惑も明らかになった。今後は,教育実習指導を指導教員の成長の場や授業力向上の好機ととらえ,教員研修の展開に寄与することが求められる。
  • 備瀬 美香
    2024 年 27 巻 1 号 p. 11-20
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/01/22
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、復職女性教員のキャリア発達においてどのような課題と支援があるか、明らかにすることを目的とする。退職後、正規に復職した女性教員 1名と、元教師である著者が、多くの共通点を有することで当事者同士に近い関係性となり、語りを共同構築するという視点に基づき、語り合いを行った。その結果、復職女性教員は、離職時の影響を知っているからこそ、非正規を選択するが、非正規の立場に留まるべきという規範と正規への復職願望の間に葛藤を抱えていた。また、復職後、比較対象がいないためにキャリア発達について考える機会を逸することや、セルフ・ハンディキャッピングにより力量形成の機会について考える気持ちを持たないことで自己調整することがキャリア発達への意識の低さにつながることが示された。さらに、復職女性教員の大学院進学経験から、教職大学院に復職教員のキャリア育成の側面があることが示唆された。
  • 宇佐美 健
    2024 年 27 巻 1 号 p. 21-30
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/01/22
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,ミドルリーダーに「若手教師の指導・育成」が期待されている。しかし,省察を支援する関わりについては十分に明らかにされていない。そこで本研究は,ミドルリーダーと若手教師が行う協同的な省察において,ミドルリーダーが若手教師にどのように関わり,省察を支援するのかを明らかにすることを目的とする。公立中学校のミドルリーダー1名と若手教師4名を対象にして,研究者が協同的な省察の場をつくり出し,参与観察を実施した。得られたデータを,ALACTモデルを枠組みにして分析した。その結果,ミドルリーダーは第二局面「行為の振り返り」と第三局面「本質的な諸相への気づき」においてKorthagen et al.(2001)の示す援助のスキルを駆使し,特に「向き合わせ」にはミドルリーダーと若手教師の関係性の深さが有効に機能したことが明らかになった。また,ミドルリーダー自身が若手教師の違和感の当事者になり得る関わりの難しさや,ミドルリーダーが参加者同士の関わりを利用していることが明らかになった。
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