近年,ミドルリーダーに「若手教師の指導・育成」が期待されている。しかし,省察を支援する関わりについては十分に明らかにされていない。そこで本研究は,ミドルリーダーと若手教師が行う協同的な省察において,ミドルリーダーが若手教師にどのように関わり,省察を支援するのかを明らかにすることを目的とする。公立中学校のミドルリーダー1名と若手教師4名を対象にして,研究者が協同的な省察の場をつくり出し,参与観察を実施した。得られたデータを,ALACTモデルを枠組みにして分析した。その結果,ミドルリーダーは第二局面「行為の振り返り」と第三局面「本質的な諸相への気づき」においてKorthagen et al.(2001)の示す援助のスキルを駆使し,特に「向き合わせ」にはミドルリーダーと若手教師の関係性の深さが有効に機能したことが明らかになった。また,ミドルリーダー自身が若手教師の違和感の当事者になり得る関わりの難しさや,ミドルリーダーが参加者同士の関わりを利用していることが明らかになった。