日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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ISSN-L : 1340-2242
20 巻, 7 号
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  • 花谷 勇治, 宜保 淳一, 中津 美優, 池田 佳史, 新見 正則, 高見 博, 小平 進
    2000 年 20 巻 7 号 p. 1023-1028
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2011/10/28
    ジャーナル フリー
    穿孔性胃癌8例の診断と外科治療成績について検討した。穿孔性胃癌の頻度は胃癌675例中1.2%, 胃穿孔35例中22.9%に相当していた。入院時に穿孔性胃癌と診断できた症例はなく, 緊急手術中に悪性を疑った症例も3例のみであった。穿孔性胃癌8例と穿孔性胃潰瘍27例を鑑別できる臨床的因子はなかった。穿孔性胃癌4例と穿孔性胃潰瘍14例に対して緊急に一期的胃切除術を行った。緊急の一期的胃切除術の合併症発生率および死亡率はおのおの55.6%, 11.1%であった。標準的リンパ節郭清を伴う胃切除術を安全に行うため, 4例の穿孔性胃癌に対し, 単純閉鎖術 (3例) あるいは保存療法 (1例) 後に, 二期的 (待期的) 胃切除術を行った。6例の穿孔性胃癌が術後2年以上生存しており, 8例の生存期間の中央値は40ヵ月間であった。したがって, 穿孔性胃癌の中には, 根治的胃切除術により長期生存が期待できる症例がかなり存在すると考えられた。根治性が期待できる穿孔性胃癌に対し, まず穿孔部閉鎖と腹腔ドレナージを行い, 腹膜炎の軽快と全身状態の回復を待ち, 術前あるいは術中に採取した組織診の結果が悪性と判明次第, 初回手術後1週間以内に根治的胃切除術を行う方針を提案したい。
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