日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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26 巻 , 3 号
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  • 神田 光郎, 三輪 高也, 末永 昌宏, 武内 有城, 大谷 聡, 砂川 理三郎
    2006 年 26 巻 3 号 p. 381-385
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    1991年3月より2005年3月までの当院で緊急手術を行った大腸穿孔58例について, 主に術前予後不良因子に関して臨床的検討を行った. 平均年齢は72.2歳と70歳以上の高齢者が多かった. 入院中死亡例は9例で, 死亡率は15.5%であった. 死亡例を中心に術前の各因子を検討すると, 発症から手術までの経過時間の長いもの, 術前白血球数の低下のみられるもの, 術前血液培養が陽性であったもの, 術前APACHE-IIスコア (Acute Physiologic and Chronic Health Evaluation II score) 高値が, 予後不良因子と考えられた. 重症例を救命するためには, 早期の診断と手術の重要性はいうまでもなく, とくに術前評価で前述の予後不良因子を満たす症例に対しては, 敗血症治療を中心とした全身管理を徹底することが肝要である.
  • 木村 康利, 山 直也, 磯部 将人, 信岡 隆幸, 古畑 智久, 浅井 康史, 晴山 雅人, 平田 公一
    2006 年 26 巻 3 号 p. 387-389
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    内視鏡診断が困難な消化管出血症例に対する新たな出血源同定の試みを紹介する. 十二指腸肛門側からの小腸や, 消化管再建後の腸管からの出血では, 出血後の検査施行時期により血腫が存在する当該腸管も蠕動によりその位置を変えるため出血源の診断は困難である. 99m-Tc-RBC-SPECTとCTとを同時期に撮影し, それらを融合画像とする新たな試みにより, 微小な造影剤の腸管内漏出や, 標識されたわずかな赤血球の検出が3次元で可能となった. さらなる臨床成績の集積が必要であるが, 内視鏡診断が通常不可能である部位の消化管出血の診断に極めて有用と考えられる.
  • 川嶋 隆久, 石井 昇, 岡田 直己, 高橋 晃, 陵城 成浩, 吉田 剛, 前田 裕仁
    2006 年 26 巻 3 号 p. 393-397
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    医学の進歩に伴う治療法の変化や患者の多様性, 交通事故重症患者の減少などにより, 腹部救急医療の現場における外科医の役割は減少した. しかし, 現場では手術適応の的確な判断 (必要性と緊急性) と迅速な対応・処置が最も重要である. 患者の多様化と種々の治療法選択のなかで, 総合的判断ができる外科医の主導が必要であろう. 近年のわが国の卒後医学教育は, 大学医局が独自のプログラムで行う細分化された専門教育が中心で, 体系的な救急医学教育は十分とはいえなかった. これからの卒後教育は個々の技能のskill upだけではなく, 医療の標準化とエビデンスに基づく効率的な教育が必要である. 筆者が出席した“Osler in the 21st Century: the Principles & Practice of Clinical Teaching”は, 多忙な外来業務, 重症救急患者搬入時には適さない部分もあるが, 外科教育の標準化, 短時間での有効な教育効果が可能となる. 初期救急, 2次救急を中心にこの教育手法をとりいれることにより, 3次救急患者にも対応できる有効な卒後教育となり得る.
  • 大串 和久, 北原 雅徳, 岩村 高志, 平原 健司, 瀧 健治
    2006 年 26 巻 3 号 p. 399-401
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    卒後臨床研修制度が開始され, 卒後教育における医育機関の存在価値が問われている. 当院の救命救急センター外来では, 1次から3次まですべての救急患者を年間約8, 000人 (1次疾患65%, 2次疾患20%, 3次疾患15%) 受け入れ, 卒後教育のために多様な主訴から正確な診断に至る診断学・症候学の教育に重点を置いている. 各研修医は3ヵ月間の研修で, 約200例の症例を経験する. 主訴`腹痛'に代表される腹部救急傷病の頻度は高く, 約1, 200人 (15%) であった. 腹部症状を呈したこれらの患者の原因疾患は消化器疾患70%, 呼吸器疾患10%, 泌尿器疾患7%, 産科・婦人科疾患7%であった. これらの症例を通して, バイタルサインを重視したショックの早期認識と丁寧な診察による腹膜刺激症状の把握という, 腹部救急患者に対するプライマリ・ケアが研修できる. また, 重症度を問わず, あらゆる主訴の患者が受診するこのような北米型救急外来 (ER) は, 救急患者の病態生理の把握と鑑別診断に力点を置くプライマリ・ケアの研修にも適切な場である. このように短期間であっても, 多様な患者を指導医と一緒に診療する当院の教育システムは, 腹部救急傷病研修体制のひとつのモデルといえる.
  • 萩原 栄一郎, 松本 孝嗣, 矢永 勝彦, 小川 武希
    2006 年 26 巻 3 号 p. 403-408
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    二次救急施設である当院救急部は, 北米ER型診療形式のなかで, 研修医の必修化と, 救急専属医の配置によるマンツーマン体制での教育を行ってきた. 研修医は救急部期間中に多くの診療経験や手技の習得を望んでおり, 実際, 2ヵ月間で1人当たり約300人の診療に携わる. このなかには腹部救急疾患も数多く含まれており, ベッドサイドで指導医に直接指導を受けながら, 重症度や緊急度に応じた診療を効率よく行うことができる. また, 血液検査やX線検査所見の解釈を始め, 超音波検査を率先して行い, CTなどの高次画像検査に最初から頼らないように指導している. 緊急手術が必要な場合には, 24時間全診療科バックアップ体制の下, 円滑に外科へ加療が引き継がれ, 可能な限り担当した研修医をその手術に参加させている. よって, 当院では, 救急部と外科との密な連携の下, 腹部救急疾患に対して十分な教育システムができているものと思われる.
  • 島田 長人, 本田 善子, 瀬尾 章, 中西 員茂, 吉原 克則, 金子 弘真, 寺本 龍生, 杉本 元信
    2006 年 26 巻 3 号 p. 409-413
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    2004年度から新臨床研修制度が開始された. 厚生労働省の示す研修理念は, プライマリ・ケアの基本的な診療能力を身につけることであり, 外科系疾患では一般外科領域と腹部救急疾患に重点が置かれている. しかし外科の研修期間は, 2年間のなかで2ヵ月問のみであり極めて短い. この短期間に一般外科と腹部救急疾患を効率良く経験させなければならない. 当院では, 診療科再編成に伴い2003年4月から総合診療・急病センターを開設し, 2004年2月から一般外科と腹部救急疾患を扱う外科チームをスタートさせた. 特徴は一般診療から救急まで, 内科と外科の混成チームで対応することにある. 1年目の外科研修医は消化器センター外科ではなく総合診療・急病センター外科に配属される. 腹部救急疾患はすべて当センターが窓口になり診断と治療を行っている. 過去1年間で施行された腹部緊急手術は173例で, 研修医5人が2ヵ月間で経験した症例は, 平均28.8例であった.
  • 上原 哲夫
    2006 年 26 巻 3 号 p. 415-420
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    沖縄県立中部病院の卒後研修は, 1967年よりハワイ大学卒後研修プログラムとして米国の教授陣の参加により開始され, 38年が経過した. 離島や中核病院での即戦力となる医師の養成が目標であった. 24時間オープンの救命救急センターにおける救急症例の診断治療を中心にした, 屋根瓦方式と呼ばれる上級医の指導の下に, 初期研修医が最前線で診療にあたる, チーム医療を基本とした卒後研修システムである. Common Diseaseを中心としたPrimary Careの臨床を実践するSuper Rotation方式で, 全研修期間を通じて多くの救急疾患に暴露することで臨床経験を深め, 実力ある臨床医を育成してきた. 外国から招聘した講師による英語による教育, ハワイ大学での研修, 24時間オープンの図書室やインターネットによる文献検索により, グローバルスタンダードな医療を実践し, 生涯研修のモチベーションを維持し, 医師相互のPeer Reviewによる偏らない医療を提供する医師の育成を目指している.
  • 不動寺 純明, 葛西 猛
    2006 年 26 巻 3 号 p. 421-426
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    われわれの施設では新医師臨床研修制度が始まる以前からスーパーローテーション方式による臨床研修を行っており, 腹部救急研修も必修としていた. しかし, 救命救急科, 消化器科および外科が腹部救急研修の中心であり, 初診患者を診療する機会が限られていたため, 実際は症例数が少なく, また症例に偏りがあり, 問題解決能力を養う機会も少なかった. 2004年度の新医師臨床研修制度にあわせてこれまでの腹部救急疾患に関する研修を見直した. すなわち総合診療教育部が設立されたのを契機に, 直接来院される患者の診療を, 日中は救命救急科が研修医とともに担当し, 夜間の一部を総合診療教育部が研修医とともに担当する新しい救急外来研修体制に変革した. そのことにより研修医が経験する初診患者の数は増加し, 疾患の偏りも減少した. 今後救急外来研修の充実とともに救急診療レベルの向上を目指している.
  • 向井 秀泰
    2006 年 26 巻 3 号 p. 427-432
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    千葉県立病院群は, 2004年度より, 新たな研修システムを立ち上げ, 研修医を受け入れている. 救急医療に関しては, 病院群のなかの, 地域中核病院での初期, 二次救急と, 千葉県救急医療センターでの三次救急とのバランスの取れた研修を実践している. 当施設での腹部救急医療研修の重点は, 外傷と重症腹膜炎である. 当施設での重症例やレアケースの経験を, 地域中核病院での術前から術後までの一貫した研修に生かすことで, 効率的な研修が行われている. 8病院をローテートするシステムは, 多施設での研修となり, 多くの指導医に接することができ, 豊富な症例を経験できるなどのメリットがある. 一方で, 病院間の距離が離れていることや, 移動の煩わしさによるデメリットもあるが, IT化による情報交換でそれを克服している. いくつかの課題はあるが, 今後さらにIT化が進めば, 病院間の連携が深まり, いっそう充実した研修が行えると確信している.
  • 和久 利彦
    2006 年 26 巻 3 号 p. 433-436
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    症例1: 40歳, 男性. 焼き鳥を食べた後, 腹痛, 嘔吐出現. 腹痛続くため翌日当院受診. 腹部所見は精神発達遅滞のため腹部圧迫の際の苦悶様表情のみ. 腹部CT上, 遊離ガス像と小腸内にhigh density像を認めた. 消化管穿孔の診断にて発症後19時間で緊急手術施行. トライツ靱帯より120cmの小腸にpin holeを認め, その近傍の小腸内に45mmの竹串を認めた. 症例2: 76歳, 男性. 鯛の水炊きを食べた後, 突然腹痛出現. 近医受診し入院. 近医での翌日の腹部CTにて遊離ガス像, 腹水, 小腸内に石灰化像を認めたため, 同日当院へ紹介となった. 魚骨による消化管穿孔の診断にて発症後16時間で緊急手術施行. トライツ靱帯より130cmの小腸にpin holeを認め, その近傍の小腸内に30mmの魚骨を認めた. 発症前の食事内容の詳細な問診と腹部CTで, 魚骨や竹串による小腸穿孔を術前診断することは可能であると考えられた.
  • 中村 慶春, 内田 英二, 相本 隆幸, 勝野 暁, 張 一光, 川本 聖郎, 横室 茂樹, 田尻 孝
    2006 年 26 巻 3 号 p. 437-441
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    症例は70歳・男性で, 膵頭部癌のため膵頭十二指腸切除術およびII A法 (膵液完全ドレナージ法) 再建術を施行した. 第3病日, 排ガスがあり経口摂取を開始し経過は比較的良好であった. 第9病日夜半, 突然Retrograde transhepatic biliary drainage (RTBD) チューブからの排液が血性となり, 吐血後にショック状態となった. 胆道出血か膵断端からの出血が考えられたため, 2度にわたり緊急血管造影検査を施行したが出血部位を確認できなかった. ショックから離脱できないまま緊急開腹術に移行した. Retrograde transhepaticpancreatic duct drainage (RTPD) チューブに沿って持続的に拍動性出血が認められたことから, RTPDに起因する胆道動脈性出面と診断した. RTPDチューブを膵管内より抜去し, ガイドワイヤー誘導下に14Fr. の太径カテーテルに入れ替え止血することができた. 再手術後第29病日にカテーテルを抜去した. その後は再出血もなく経過した. Computed tomography検査で肝動脈・門脈シャント様の所見が認められたが, 動脈瘤の形成はなく, 初回手術後第91病日に退院した.
  • 大倉 康生, 佐々木 英人, 上原 伸一, 谷川 寛自, 下村 誠
    2006 年 26 巻 3 号 p. 443-445
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    症例は17歳, 男性. 交通外傷にて当院搬送となった. 来院時, 出血性ショック状態であり, 腹部CTで腹腔内に多量出血を認め, 脾下極の広範損傷が認められた. 患者の血液型は0型Rh (-) であったため, 三重県血液センターには0型Rh (-) のMAPは4単位しかなく, 県外からの取り寄せも数時間を要する状況であったため, 洗浄式自己血回収装置を用いて緊急手術を施行した. 開腹後, 血液4, 550mlを吸引し, 1, 856mlの輸血用赤血球を確保し, 脾摘と脾動脈の分枝からの出血は結紮止血を施行した. 術後経過は良好で術後10日目退院した.
  • 竹村 晃, 生方 英幸, 田渕 崇伸, 長田 大志, 中地 健, 大関 雄一郎, 片野 素信, 渡辺 善徳, 中田 一郎, 田渕 崇文
    2006 年 26 巻 3 号 p. 447-450
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    症例は62歳の男性. 右下腹部痛を主訴に来院. 腹部CT検査で回盲部を中心とした腸管壁の肥厚と周囲脂肪組織の吸収値上昇を認め, 抗生剤投与による保存的加療を開始し症状の軽減を認めた. 治療開始から7日目に腹部CT検査を再度施行したところ回盲部に異物の存在が疑われ, 異物の消化管穿孔による腹腔内膿瘍の診断にて開腹手術を施行した. 手術所見では回盲部で腸管が癒着し一塊となり, 約2cm長の木片が虫垂から上行結腸へと穿孔しているのが認められたため木片の除去, 上行結腸損傷部位の修復および虫垂切除術を施行した. 異物による消化管穿孔はまれであり, さらに穿孔部位を虫垂に限ると極めてまれであるため, 文献的考察を加え報告した.
  • 松田 健, 津久 井拓, 松久 威史, 沖浜 裕司, 木村 祐, 江上 格, 田尻 孝
    2006 年 26 巻 3 号 p. 451-454
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    鈍的腹部外傷後に発症した, 後腹膜乳魔性リンパ嚢腫の1例を経験したので報告する. 症例は48歳の女性で, 約1mの高さの脚立から転倒し右側腹部を強打した. その後, 約3日間放置していたところ, 腹部膨満感が次第に増強し, 当科を受診した. 腹部超意波およびCT検査で, 右後腹膜に巨大嚢胞を認め, 緊急入院となった. 経皮的に嚢胞の穿刺を行い黄白色の乳糜液 (2, 855ml) が採取でき, リンパ管シンチ検査にて嚢胞部に一致して集積像を確認した. 以上より, 外傷性後腹膜乳靡性リンパ嚢腫の診断を得た. 経口食摂取を制限して持続的に経皮的ドレナージを留置したところ, 排液の性状が乳糜液から透明のリンパ液に変化し, 入院29日目には排液の流出が完全に止まり, 画像上も嚢胞の消失が確認された. 入院33日目にドレーンを抜去し, 退院後も嚢胞の再発は認められていない.
  • 宮原 利行, 飯田 辰美, 後藤 全宏, 水谷 憲武, 安村 幹央, 棚橋 俊介, 山田 卓也, 竹村 博文
    2006 年 26 巻 3 号 p. 455-458
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    症例は79歳, 女性. 右下腹部痛のため当院を受診した. 腹部は, 右下腹部に圧痛が著明であり, 筋性防御を認めた. 血液検査では, 軽度のCRPの上昇を認めた以外に異常は認めなかった. MRIにて磁性体による消化管穿孔および限局性腹膜炎の診断で, 緊急開腹術を施行した. 術中に右鼠径ヘルニアを認め, ヘルニア嚢内に針金を認めた. 回腸部分切除を施行し, 右鼠径ヘルニアに対しては, 二期的に手術を施行した. 針金による回腸穿孔の1例を経験し, 鼠径ヘルニアが消化管穿孔に関与したと考えられたので報告する.
  • 赤津 知孝, 相浦 浩一, 上田 政和, 熊井 浩一郎, 北島 政樹
    2006 年 26 巻 3 号 p. 459-463
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    不整脈治療薬アミオダロン誘発性問質性肺炎の急速な増悪と細菌感染の合併により術後呼吸不全に陥った膵臓癌の1例を経験したので報告する. 症例は70歳, 男性. 3年前より持続性心室頻拍を認め, アミオダロンを内服していた. 高血糖の精査の結果, 膵頭部癌を指摘された. また, 両肺下葉胸膜下に軽度の線状影 (問質性肺炎) を認めた. 膵頭部癌に対する手術の開腹所見では, 腫瘍は胃十二指腸動脈根部まで浸潤し, 大動脈周囲リンパ節へ転移していたため, 根治切除は不可能と判断し, 胆管空腸吻合術および胃空腸吻合術を施行した. 術後第4病日に問質性肺炎の悪化を認め, その後も間質性肺炎が急速に進行し, ステロイドパルス療法にも反応せず不可逆的となり, 第50病日呼吸不全にて永眠された. アミオダロン投与中の患者では術後問質性肺炎が急速に増悪する場合があり注意が必要と考えられた.
  • 佐藤 俊, 篠田 雅央, 川口 信哉, 阿部 道夫, 九里 孝雄, 新谷 史明
    2006 年 26 巻 3 号 p. 465-467
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    症例は74歳, 女性. 21年前胃癌により胃全摘術を施行されている. 嘔気, 嘔吐, 膀周囲痛を主訴に近医受診. 腸閉塞と診断され, 当院救急外来を紹介受診した. 来院時, 膀左側から左下腹部かけて超手拳大の腫瘤を触知し, 同部に一致して圧痛・筋性防御を認めた. 腹部CT検査上, 腫瘤部位のスライスでtarget like signを呈していたことより, 腸重積症による腸閉塞と診断し緊急に開腹手術を施行した. 術中所見では, 胃全摘術後Roux-en-Y吻合部肛門側で逆行性に重積をきたしていた. 用手的に整復が成功し, 触診上先進部に明らかな病変を触知しなかったため腸管切除は行わず手術を終了した. 術後は合併症なく経過し第10病日に退院となった. 以後, 再発は認められず良好に経過している.
  • 森田 泰正, 阿部 恭久, 飯塚 浩, 笹川 真一, 指山 浩志, 三上 智子
    2006 年 26 巻 3 号 p. 469-472
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    腹側腹膜下出血により腹部膨満症状を呈した骨盤骨折症例を経験した. 63歳男性, 交通外傷による骨盤骨折にて入院. ショックおよび増悪する腹部症状から腹腔内臓器損傷を考え緊急開腹するも, 出血源の特定できず, 凝血塊の貯留していた腹側腹膜下にガーゼパッキングを行い閉腹. 一旦全身状態落ち着くも, 第4病日再びショックとなる. 造影CTにて右恥骨裏面に動脈瘤を認め, TAEを行った. 循環動態は安定したが, 第8病日造影CTにて同じ動脈瘤が造影されたため, 血管造影を行い外腸骨動脈からの側副血行路も塞栓した. 以降は順調に経過し独歩退院に至った. 本症例は安定型骨盤骨折にもかかわらず, 腹側腹膜下出血によるショックと腹部膨満症状を呈し, 診断に難渋した. 骨盤骨折に伴う腹側腹膜下出血および腹部膨満症状の報告例は非常にまれであった. 骨盤骨折に伴う出血において, 本症例のように, 腹部膨満を主症状とする腹側腹膜下出血も考慮するべきである.
  • 佐野 佳彦
    2006 年 26 巻 3 号 p. 473-476
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2010/09/24
    ジャーナル フリー
    症例は60歳, 男性. 高血圧, 高脂血症の既往がある. 腹痛, 腹満感を主訴として2001年8月上旬入院した. 血液検査では炎症所見が高度で肝胆道系酵素が上昇していた. 腹部単純X腺検査では右上腹部に鏡面像と樹枝状のガス像, 超音波検査では胆嚢内にガスエコーがみられ, CTで胆嚢内・胆嚢壁内および, 肝内外胆管内にガス像があったため, 胆管内ガスを伴った急性気腫性胆嚢炎と診断し入院翌日にPTGBDを施行した. 暗血性の胆汁が吸引され, 胆汁培養ではClostridium perfringensが検出された. 入院15日目に待機的に手術を施行した. 腹腔鏡下に胆嚢の剥離を進めたが炎症性癒着が高度のため開腹に移行し, 胆嚢摘出術を行った. 摘出胆嚢内には多量の胆砂がみられ, 病理学的所見は急性壊疽性胆嚢炎であった. 気腫性胆嚢炎の本邦報告229例につきガスの存在部位とその意義に関し検討を加えて報告する.
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