近年でも敗血症は臓器不全や死亡の大きな要因であり, その制御は重要な課題である。敗血症ではまず, その感染巣を検索, 同定し, 制御することが基本である。抗菌薬投与前に適切な細菌検査検体を採取し起因菌の同定に努めるとともに, 施設の起因菌やその感受性の傾向からempiricalな抗菌薬を選択する。抗菌薬は投与量, 投与方法, 投与期間など適切に使用し, 感受性の結果, 可能であればde-escalationを行う。これらの基本戦略とともに, 二次的な感染症を生じさせないように, 体位や経腸栄養などにも留意する。一端, 臓器不全を生じた際には, 不全臓器の増悪や多臓器不全, 死に至ることがないように, 全身管理と個々の臓器対策を実施する。また, 将来的には, 遺伝子多型によって, 疾患の発生頻度や予後, 薬剤反応性の相違を予測し, 効率的な医療が可能になりうる。そのためには, 日本人を対象とした大規模な質の高い研究によって科学的根拠を構築していくことも必要である。
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