急性胆道炎, 閉塞性黄疸等に代表される胆道救急疾患は, 迅速かつ的確な診断および初期治療が予後を決定する。その中心的存在といえる画像診断は, 従来までPTCD, ERCPなどの直接胆道造影が中心に行われてきたが, 近年はMDCT, DIC-CT, 直接胆道造影と静脈造影のfusionなどさまざまな工夫がされている。われわれの開発した二酸化炭素陰性造影MDCTによる膵胆道造影法CO
2 MDCT-CPおよびMDCT angiography (MDCT-A) のfusion法は, ENBD/PTCD経路からCO
2を注入し, 動静脈層にてMDCT-APを撮影しfusionさせたもの (fusion CMCPA法) で, 胆道系がCO
2の陰性造影効果により透過胆管像として捉えられ, 周囲血管も同時に, 細血管にいたるまで忠実に描出される。これらが1回撮影にて同時にfusionできるので, 救急の現場でも迅速に, 胆道狭窄や閉塞, 拡張の局在診断とその血管侵襲を客観的に評価できる新しい診断toolである。また胆道悪性腫瘍の血管浸潤と深達度診断の同時評価により, 外科的処置や手術術式に代表される治療方針の決定に大きく貢献する。現在fusion CMCPA法は, softwareの開発により手技, 解析操作が簡便化され, 胆道緊急疾患での迅速な対応が可能となった。他領域の腹部救急疾患での臨床応用も実現化され, 今後のさらなる発展が期待される。
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