日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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28 巻 , 1 号
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原著
  • 秋月 恵美, 木村 康利, 信岡 隆幸, 西舘 敏彦, 水口 徹, 巽 博臣, 大島 秀紀, 平田 公一
    2008 年 28 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 2008/01/31
    公開日: 2008/04/01
    ジャーナル フリー
    【目的】急性胆管炎の自験例についてその転帰を検討し,あわせて診療ガイドラインの重症度判定基準の妥当性を考察した。【対象】当科および当院救命センターにて経験した急性胆管炎のうちCharcotの三徴に加え,化膿性胆汁,ショック,凝固-線溶異常,臓器不全のいずれかを合併する症例35例。【結果】生存23例,死亡12例。年齢,性別,原因疾患,Reynolds五徴の有無,凝固-線溶異常の有無は転帰と相関を認めなかった。初診時に肝・腎・肺・消化管に障害を伴う群は死亡率が有意に高かった。また,障害臓器の総数(0~6)の平均値は生存例1.1,死亡例4.1となり,転帰と有意な相関を認めた。【結語】(1)急性胆管炎の転帰と関連した重要な障害臓器は肝,腎,肺であった。(2)障害臓器数は転帰を反映した。(3)急性肺障害は現行の診療ガイドラインの重症度診断基準には含まれず,今後付加すべき項目として検討すべきと考えられた。
特集
  • 西山 徹, 竹林 徹郎, 那須 裕也
    2008 年 28 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 2008/01/31
    公開日: 2008/04/01
    ジャーナル フリー
    1996年12月よりイレウスに対し腹腔鏡(補助)下手術を導入し,2007年3月までに 51例を経験した。当科での手術適応・治療の基本方針・手術手技・成績を示した。完全腹腔鏡下手術は5例(9.8%)で,腹腔鏡補助下手術が42例(82.4%),15 cm以上の開腹移行例が4例(7.8%)であった。本術式においては完全腹腔鏡下手術に執着することなく,腹腔鏡の利点を最大限に利用して可能な限り低侵襲で安全な手術を目指す,といった考え方が肝要である。
  • 小松 俊一郎, 長谷川 洋, 白子 隆志, 坂本 英至, 久留宮 康浩, 法水 信治, 上原 圭介, 田畑 智丈, 夏目 誠治, 青葉 太郎 ...
    2008 年 28 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 2008/01/31
    公開日: 2008/04/01
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡下イレウス手術は,術前診断,手術手技,手術終了時の確認操作,開腹移行に関連して多くの問題をかかえており,その手術適応を拡大するのは困難な状況におかれている。本論文では,まず,これらの問題点を整理して適応の限界をよく認識できるようにする。次に,適応を拡大するための1つの方策として,当科で行っている「開腹術を前提とした腹腔鏡補助下手術」を提示し,その有用性について検討する。従来の小開腹併用手術と違い,「必ず小開腹を行う」ことを前提として腹腔鏡操作を行うのであるが,適応をできるだけ限定せず,21例にこのコンセプトに基づく手術を施行した。大開腹への移行症例はなく,短期的には再手術を要する合併症やイレウスの再発を認めなかった。結果的に腹腔鏡操作単独で手術が可能と思われた症例は5例(24%)のみであった。
  • 江川 智久, 北野 光秀, 長島 敦, 土居 正和, 林 忍, 関根 和彦, 伊藤 康博, 清水 正幸, 松本 松圭, 吉井 宏
    2008 年 28 巻 1 号 p. 35-40
    発行日: 2008/01/31
    公開日: 2008/04/01
    ジャーナル フリー
    絞扼性イレウスは診断・治療が遅れた場合,敗血性ショック,多臓器不全と致命的な結果を招く可能性がある。絞扼性イレウスの診断においてさまざまな臨床指標の有用性,腹部 CT検査・腹部超音波検査などの画像診断の有用性が報告されているが,実際の臨床においては,その診断に迷うことが少なくない。当院では,絞扼性イレウスを疑い確定診断がつかない症例に,診断的治療の目的で積極的に腹腔鏡下手術を施行してきた。腹腔鏡下手術では,絞扼の有無の診断が可能で,症例によっては,原因を解除するだけで完全腹腔鏡下手術が可能である。不可逆的な腸管壊死を認め,腸管切除が必要な症例でも最適部位の小切開で手術が可能である。但し,腸管拡張により視野が不良な場合や原因が同定できない場合は,開腹移行を躊躇してはならない。絞扼性イレウスを疑う症例に対する腹腔鏡下手術は,安全に施行可能であり,診断的・治療的な意味からも有用な術式と考えられた。
  • 藤原 英利, 安田 健司, 日高 敏晴, 広瀬 慧, 西 憲義, 馬殿 徹也, 西尾 吉正, 西岡 昭彦
    2008 年 28 巻 1 号 p. 41-45
    発行日: 2008/01/31
    公開日: 2008/04/01
    ジャーナル フリー
    イレウスのなかでも開腹既往のないイレウスは術前診断に難渋することも多い。腹腔鏡下手術を施行した開腹既往のないイレウス14例,男性4例女性10例,平均年齢73.6±15.6歳,(29~93歳)において腹腔鏡アプローチの有用性を検討した。腹部X線写真や CTの画像診断を用いて大腸の拡張の有無,内ヘルニアの存在を確認し,おおよその閉塞部位を決定して,可能な症例にはイレウス管などによる減圧後に手術とした。腹腔鏡下手術を完遂できた症例は5例で9例は小開腹手術となった。腸管切除は7例で必要であった。小開腹となった症例でも最大 7cmの切開創で腸管切除症例を含めて対処が可能であった。平均手術時間は83.9±27.1分(33~115分)で経口摂取は術翌日より4例が可能であった。開腹既往のないイレウスに対して腹腔鏡下手術は低侵襲で,疾患部位の同定や腸管の状態把握に有効であった。特に内ヘルニア症例には,診断治療に効果的であった。
  • 鈴木 英之, 古川 清憲, 菅 隼人, 鶴田 宏之, 松本 智司, 秋谷 行宏, 進士 誠一, 松田 明久, 寺西 宣央, 佐々木 順平, ...
    2008 年 28 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 2008/01/31
    公開日: 2008/04/01
    ジャーナル フリー
    単純性イレウス43例に腹腔鏡手術を施行し,その適応と手術成績を検討した。43例中28例に開腹歴があり,15例は開腹歴がなかった。開腹歴のある28例中2例(7.0%)に悪性腫瘍が合併していたのに対し開腹歴のない15例中6例(40.0%)に悪性腫瘍が合併していた。開腹歴のある症例に対しては,21例(75.0%)に癒着剥離を,7例(25.0%)に腸管切除を行った。開腹歴のない症例に対しては,2例(13.3%)に癒着剥離,10例(66.7%)に腸管切除を行った。術前の腸管減圧,責任部位の同定,癒着の程度と手術成績との関連を検討した結果,癒着の程度は開腹移行,腸管損傷,術後合併症と相関が認められた。術前の腸管減圧は開腹移行と腸管損傷に相関があった。責任部位の同定は腸管損傷と関連があった。以上より単純性イレウスのうち術前に腸管減圧が行われ,責任部位を同定し得た症例は腹腔鏡手術のよい適応と考えられる。しかし(1)高度癒着症例は開腹移行を躊躇しない。(2)デバイスの特性を理解し愛護的操作を行う。(3)手術終了前に全小腸を観察する。などの点に留意すべきである。
  • 吉川 征一郎, 福永 正氣, 杉山 和義, 永仮 邦彦, 菅野 雅彦, 李 慶文, 須田 健, 伊藤 嘉智, 大内 昌和, 勝野 剛太郎, ...
    2008 年 28 巻 1 号 p. 53-58
    発行日: 2008/01/31
    公開日: 2008/04/01
    ジャーナル フリー
    【目的】術前に腸管の十分な減圧が可能であった癌性腸閉塞症例に対する腹腔鏡下大腸切除術(以下,LAC)の有用性と安全性を検討した。【方法】1991年10月から 2007年7月までに当科で経験した癌性腸閉塞LAC 27症例を開腹大腸切除(以下,OC)症例8例と比較し背景因子,手術,術後疼痛,術後経過,術中偶発症,術後合併症,予後について検討した。【結果】LACはOCに比べ,手術時間は差がなく,出血量はLACが少なかった。経口摂取開始はLACが早く,術後在院日数が短縮していた。術中偶発症,術後合併症の発生には有意差を認めなかった。【結論】術前減圧処置によりLACが施行可能であった腸閉塞症例では術後経過は良好で,適応症例を慎重に選択し,術前に十分な減圧が可能であれば癌性腸閉塞症例に対しても本術式の適応は可能であると考えられた。
  • 松尾 勝一, 志村 英生, 佐々木 隆光, 田中 伸之介, 牧 孝将, 山下 裕一
    2008 年 28 巻 1 号 p. 59-63
    発行日: 2008/01/31
    公開日: 2008/04/01
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡下癒着剥離術の適応を決めるため小腸造影と4列マルチスライスCT(以下,MSCT)による狭窄部診断を行った。癒着性腸閉塞の手術症例82例中,腹腔鏡下癒着剥離術を47例に施行した。小切開を含めた腹腔鏡下手術の完遂率は85.1%であった。術前に小腸造影を施行し狭窄部を同定し得た症例の95%は腹腔鏡下に手術を施行できた。狭窄部を詳細に描出するためにMSCTを施行した。MSCTは腸管を減圧後,透視下にイレウス管より空気を注入し撮影,Shaded Volume Renderring法により3次元画像処理し狭窄部を同定した。MSCTは4例に施行し,狭窄部を同定した症例は3例で1例は腸管の拡張が不良で十分な画像が得られなかった。小腸造影による狭窄部診断は腹腔鏡下の手術の弱点である視野の狭さを補うことも可能である。さらにMSCTによる3次元画像が得られれば腹腔内の腸管の状態を立体的に描出でき術前検査として有用であると考えた。
症例報告
  • 萩原 英之, 内山 喜一郎, 阿部 豊, 佐藤 精一, 鈴木 洋一, 加納 恒久, 名取 穣治
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 28 巻 1 号 p. 65-69
    発行日: 2008/01/31
    公開日: 2008/04/01
    ジャーナル フリー
    症例は87歳,女性,認知症の既往あり。嘔吐を主訴に来院,心窩部に膨満感と圧痛あり。入院当日の上部消化管内視鏡検査では残渣と,胃の変形のため体中部以降の挿入は不可能であった。CTでは食道,胃は著明に拡張し,穹隆部は右側,胃体部は左側に位置しその先で途絶していた。上部消化管造影でも胃体部で先細り状の途絶が認められた。胃軸捻転症と診断し,開腹手術も考慮したが,高齢の認知症患者で家族の同意も得られず保存的治療を行った。第7病日,腹痛が増悪,内視鏡で著明な虚血性変化がみられたので緊急手術を施行した。術中所見では胃は間膜軸性に捻転し,穹隆部から胃体部は壊死に陥っていたため胃全摘術,Roux-Y再建を施行した。術後,創感染など生じたが軽快退院となった。文献的考察と,本症例の経過における反省点の考察を加え報告する。
  • 小林 信
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 28 巻 1 号 p. 71-74
    発行日: 2008/01/31
    公開日: 2008/04/01
    ジャーナル フリー
    離島の困難な医療環境の中,新鮮全血輸血を行い救命した肝細胞癌破裂症例を 2例経験したので報告する。症例1:42歳,男性。5日間続く右季肋部痛が増強し来院。来院時血圧測定不能。エコーと腹腔穿刺で肝細胞癌破裂と診断し,血管塞栓術により止血。新鮮全血 12単位輸血。航空搬送した照射赤血球 10単位,新鮮凍結血漿20単位,濃厚血小板 25単位輸血。第 9病日転院し拡大右葉切除施行。症例2:83歳,女性。突然の右下腹部痛で来院。来院後心肺停止となり蘇生。エコーと腹腔穿刺で肝細胞癌破裂と診断し,血管塞栓術により止血。新鮮全血5単位輸血。航空搬送した照射赤血球8単位,新鮮凍結血漿10単位輸血。第65病日,肝S6部分切除施行。肝細胞癌破裂などの大量出血症例では,止血術と輸液,輸血により循環動態を安定させる事が極めて重要である。僻地離島の救急施設においては新鮮全血輸血も整備する必要がある。
  • 植野 望, 今西 築
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 28 巻 1 号 p. 75-79
    発行日: 2008/01/31
    公開日: 2008/04/01
    ジャーナル フリー
    症例1:イレウスの診断で入院となった 20歳代の女性。諸検査で血清CA 125高値以外に著変を認めず,絞扼性イレウスが疑われたため診断的腹腔鏡を施行した。腹膜に黄白色の播種状粟粒結節を認めた。生検標本の病理組織学的所見で乾酪壊死を伴う類上皮肉芽腫を認め,結核性腹膜炎と診断した。症例2:原因不明の腹水に対する精査目的で入院となった50歳代の女性。腹水の結核菌PCR陰性,アデノシンデアミナーゼ(ADA)活性高値,血清 CA 125高値で,結核性腹膜炎を疑い診断的腹腔鏡を行った。腹腔内全体に白色粟粒結節が認められ,生検標本の病理組織学的所見で結節に類上皮細胞とラングハンス氏型巨細胞を伴う肉芽腫性の炎症像を認めたため結核性腹膜炎と診断した。ともに抗結核薬 4剤併用療法(INH,RFP,EB,PZA)を行い,その後イレウス,腹水は改善した。現在まで再燃はきたしていない。結核性腹膜炎はまれで,本2症例のように,臨床像,検査結果からは確定診断がつきにくく,診断的腹腔鏡による粟粒結節の生検が極めて有用である。
  • 正畠 和典, 水島 恒和, 位藤 俊一, 水野 均, 宇田津 有子, 宮嵜 安晃, 岡澤 美佳, 楠本 英則, 中川 朋, 岩瀬 和裕
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 28 巻 1 号 p. 81-84
    発行日: 2008/01/31
    公開日: 2008/04/01
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,女性。42歳時,子宮筋腫にて単純子宮全摘術。70歳時,非ホジキンリンパ腫に対して末梢血幹細胞移植を施行され完全寛解中であった。2006年5月,腹痛を主訴に当院を受診した。腹部単純X線検査にてイレウスと診断され,入院となった。絶飲食,イレウス管による保存的治療を行い症状は軽快傾向にあった。第8病日,膣からの便汁漏出が出現した。小腸膣瘻と診断し,保存的治療を継続しながら,原因検索を行った。易感染宿主であり,発熱,汎血球減少を合併していたため,血中サイトメガロウイルス抗原を検索したところ陽性であった。gancyclovir投与を開始し,血中サイトメガロウイルス抗原は陰性化した。しかし,その後も瘻孔は閉鎖傾向を認めなかったため,開腹手術を施行した。小腸切除,瘻孔切除,膣断端閉鎖術を施行した。自験例における小腸膣瘻の発症には,経過中のサイトメガロウイルス感染が関与した可能性が疑われた。
  • 二本柳 康博, 大城 充, 長島 誠, 森山 彩子, 瓜田 祐, 吉田 豊, 田中 宏, 杉下 雄為, 小出 一樹, 若林 已代次, 朴 英 ...
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 28 巻 1 号 p. 85-88
    発行日: 2008/01/31
    公開日: 2008/04/01
    ジャーナル フリー
    86歳女性。嘔気,下痢を主訴に近医受診。補液にて軽快するも7日後腹痛出現し当院受診。腹部触診にて下腹部に筋性防御を伴う圧痛を認めた。腹部CTでは腹水と消化管の拡張およびfluid貯留を認めた。急性腹症の診断で緊急手術を施行した。術中所見では Bauhin弁より約50cm口側の回腸腸間膜側に3mm大の穿孔部と,同部位より錠剤のpress-through package(以下,PTP)が確認され,PTP誤飲による回腸穿孔と診断し PTP摘出後穿孔部を縫合閉鎖した。術後,画像を再検討した結果,腹部単純CTでPTPと思われる高濃度陰影が描出されていた。今回われわれは術前CT所見を注意深く読影することで診断可能であったと考えられた PTPによる高齢者回腸穿孔の1例を経験したので報告する。
  • 瓜園 泰之, 福島 英賢, 畑 倫明, 中村 達也, 奥地 一夫
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 28 巻 1 号 p. 89-91
    発行日: 2008/01/31
    公開日: 2008/04/01
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性。2005年5月に突然に発症した腹痛を主訴に来院した。心窩部から右季肋部にかけ自制困難な自発痛と圧痛を認め,白血球数16,900⁄mm3と上昇を認めた。腹部造影CTにて,十二指腸周囲から大動脈前面の後腹膜腔に気腫像を認めたため,消化管穿孔の診断のもと緊急手術を施行した。十二指腸下行脚外側漿膜面に膿瘍と憩室穿孔を認めた。憩室の切除と縫合閉鎖およびドレナージを施行し,術後の経過は順調であった。病理組織学的検査で,固有筋層を認めない仮性憩室と診断された。十二指腸憩室は消化管憩室の中で大腸についで多く認められ,ほとんどが無症状に経過する。しかし,まれに穿孔をきたすこともあるが,CTによる後腹膜腔の気腫像が本疾患を診断する上で非常に重要と思われるので,見逃しのないように留意して,治療時期を逸しないことが必要である。
  • 村田 泰洋, 五嶋 博道, 加藤 弘幸, 種村 彰洋
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 28 巻 1 号 p. 93-96
    発行日: 2008/01/31
    公開日: 2008/04/01
    ジャーナル フリー
    腸管嚢腫様気腫症はさまざまな疾患でみられるまれな病態であるが,腸管虚血合併例では致死率が高く予後不良の徴候とされている。今回,腸管嚢腫様気腫症を呈した壊死型虚血性大腸炎の1例を経験したので報告する。症例は糖尿病,高脂血症,心筋梗塞の既往のある 80歳,男性。入院前日より腹痛,下痢を認め,症状が増悪したため近医を受診し,腸閉塞を疑われて当科を紹介された。入院時身体所見では腹部は緊満し上腹部に圧痛を認め,筋性防御,反跳痛を伴っていた。腹部単純X線,腹部 CTでは上行結腸から横行結腸が拡張し全周性の腸管壁内気腫像を認めた。腸管壊死,汎発性腹膜炎を疑い緊急手術を施行した。術中所見は盲腸から下行結腸が壊死に陥っており,大腸亜全摘術を施行した。術後経過は良好であった。壊死型虚血性大腸炎は死亡率が高い疾患であるが早期手術によって救命できた。壊死型虚血性大腸炎は早期診断,早期手術が重要であると考えられる。
  • 河俣 真由美, 黒沢 治樹, 山田 顕光, 鈴木 道隆, 斉藤 智尋, 嶋田 和博, 中澤 佳穂子, 山本 晴美, 松山 隆生, 杉田 光隆 ...
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 28 巻 1 号 p. 97-100
    発行日: 2008/01/31
    公開日: 2008/04/01
    ジャーナル フリー
    症例は49歳,男性。下腹部痛を主訴に来院。右下腹部に腹膜刺激症状を認め,血液検査では高度の炎症所見を認めた。CTにて骨盤内膿瘍が存在し,膿瘍内には線状異物陰影を認めた。綿密な問診を行ったところ,7日前に鯛を摂取した際,喉につかえたが飲み込んだという記憶があった。このため魚骨による消化管穿孔を疑い,手術を施行した。手術では膿瘍内に魚骨,さらに虫垂先端に穿孔部を認めた。魚骨による虫垂穿孔と診断し,虫垂切除術,腹腔ドレナージ術を行った。魚骨による虫垂穿孔はまれで,術前診断のついた症例は少なく,悪性腫瘍を疑われ過大な検査,手術をうけた症例もある。腹部 CTにて本症のような線状石灰化を認めた症例では異物による消化管穿孔を念頭に置いて,慎重な読影と,発症前の食生活の詳細な問診を行うことが重要である。
  • 永橋 昌幸, 牧野 成人, 岡本 春彦, 田宮 洋一, 畠山 勝義
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 28 巻 1 号 p. 101-104
    発行日: 2008/01/31
    公開日: 2008/04/01
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,男性。十二指腸乳頭部癌の診断で,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した。病理組織診断は,高分化腺癌,pPanc2,pN0,pEM0,Stage IVaであった。術後,創感染・腸瘻形成等により長期間経口摂取不能で,高カロリー経腸栄養療法を行っていた。時々腹痛を認めたが,対症療法でコントロールされていた。術後95病日,腹痛および炎症所見が悪化し,腹部CT検査で門脈および上腸間膜静脈内に著明なガス像を認め,腸管壊死を疑い緊急手術を施行した。Bauhin弁より約15cmの回腸から十二指腸空腸吻合部近傍まで,分節状に散在する虚血性変化と小腸粘膜下気腫,腸間膜内気腫を認めた。明らかな動脈閉塞はなく,非閉塞性腸管梗塞と診断し,広範囲の小腸切除,空腸瘻,回腸粘液瘻造設術を施行した。術後,一旦状態は安定したが,3ヵ月目に残存小腸から大量出血をきたし死亡した。
  • 柴田 伸弘, 島山 俊夫, 高屋 剛, 田中 俊一, 江藤 忠明, 千々岩 一男
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 28 巻 1 号 p. 105-108
    発行日: 2008/01/31
    公開日: 2008/04/01
    ジャーナル フリー
    小腸軸捻転を契機に発症した気腹を伴った腸管気腫症(pneumatosis cystoides intestinalis:以下,PCI)の1例を経験したので報告する。症例は90歳,女性。主訴は腹痛であった。腹部 CT検査では腸管壁に散在するガス像を認め,PCIと診断された。しかし,腹腔内遊離ガスを伴い,腹部に筋性防御を認めたため,消化管穿孔を否定できず,手術を施行した。手術時の所見では,小腸の軸捻転と小腸壁と腸間膜に連続した多数の細かい気腫状の変化を認めた。消化管穿孔は認めず,手術は捻転を解除して終了した。腹部単純 X線写真検査では,術後5日目で腸管の拡張や濾胞状の陰影は消失し,PCIは改善したと判断された。合併症を伴わない PCIは保存的治療の適応があるものの,本症例のような軸捻転による腸閉塞や腹膜炎などの合併症を伴う場合は,すみやかな手術が必要であると考えられた。
  • 鈴村 潔, 加藤 岳人, 鈴木 正臣, 柴田 佳久, 平松 和洋, 吉原 基, 池山 隆
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 28 巻 1 号 p. 109-112
    発行日: 2008/01/31
    公開日: 2008/04/01
    ジャーナル フリー
    症例は55歳男性。2006年7月に発熱を訴え,近医受診。抗生剤投与を受けたが改善なく,本人希望で,HIV検査施行,陽性であったため,精査加療目的で当院内科紹介となった。CD4リンパ球は 841⁄μlでありAIDSは発症していないと診断された。内科入院時には直腸診で前立腺に軽度圧痛を認めるのみであったが,入院後8日目より肛門部痛が出現し,10日目ごろより圧痛が増悪した。採血上,赤痢アメーバ抗体,サイトメガロウイルス抗体は陰性であった。肛門部痛は徐々に増悪し,多量の下血を伴うようになったため,人工肛門作成目的で外科紹介となった。骨盤部CTでは直腸壁のび慢性肥厚所見を認めた。下血に対する止血目的で動脈塞栓術を施行したが,動脈塞栓術後も出血が持続し,また,直腸潰瘍が肛門周辺に波及し,周辺皮膚の壊死を伴ったため,入院後36日目に腹会陰式直腸切断術を施行した。開腹所見上,腹腔内にはわずかに腹水を認めるのみで,直腸の漿膜面には明らかな所見を認めなかったが,新鮮切除標本割面では肛門は黒色から黄白色に変性し,全層性壊死の所見であった。切除標本の病理組織検査所見で粘膜内に栄養型のアメーバの虫体を認め,劇症型アメーバ腸炎と診断した。
  • 荒木 吉朗, 岡村 成雄
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 28 巻 1 号 p. 113-115
    発行日: 2008/01/31
    公開日: 2008/04/01
    ジャーナル フリー
    症例は57歳の男性。既往歴に左鼠径ヘルニアがある。腹痛と嘔気・嘔吐を認め近医よりイレウスの診断で当院を紹介された。来院時腹部は軽度膨隆していた。鼠径部にヘルニアは認めなかった。CTと超音波を施行したところ,腹腔内に球状の小腸のループ像を認めた。病歴を詳細に聴取したところ,今回イレウスになる前に自分で強引にヘルニアを整復したとのことであった。鼠径ヘルニアが嵌頓した状態でヘルニア嚢と一緒に腹膜前腔に戻った状態すなわち偽還納による絞扼性イレウスと診断して,緊急手術を施行した。鼠径管内にはヘルニア嚢は認めず,開腹したところヘルニア嚢に腸管が嵌頓していた。ヘルニアの解除とmesh plug法による修復を行った。鼠径ヘルニア整復後もイレウスが続く場合は偽還納を疑う必要があり,診断にはCTと超音波検査が有用である。
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