日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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ISSN-L : 1340-2242
33 巻 , 7 号
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原著
  • 久島 昭浩, 高橋 雅哉
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1083-1087
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:1989年6月から2011年7月までに当院で手術を行った閉鎖孔ヘルニアの28症例について,年齢,性別,body mass index,発症部位,診断,麻酔法,アプローチ,ヘルニア門の処理,腸切除の有無,転帰,再発,対側発症について検討した。平均年齢は84歳,全例女性であった。1995年以降はCTにより96%の症例に術前診断が可能であった。2000年以降では下腹部正中切開が23%,残りの77%は鼠径法であった。そのうち人工膜材によるヘルニア門の処理が95%に行われた。同側再発を12%,対側発症を7.7%に認めた。人工膜材によるヘルニア門の処理が行われなかった症例の再発率は29%,処理を行った症例では4.8%であった。閉鎖孔ヘルニア嵌頓の手術はまだ確立された方法がないが,鼠径法でアプローチし腹膜前腔に人工膜材を留置することでヘルニア門を閉鎖する方法は多くの症例に適応可能であった。
  • 橋詰 直樹, 靍 光, 花城 清俊, 東館 成希, 田中 宏明, 朝川 貴博, 爲廣 一仁
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1089-1092
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:【はじめに】当院における小児外傷性肝損傷(以下,本症)を臨床的に検討したので報告する。【対象・方法】過去15年間で,外傷のため当院ERに搬入された15歳以下の本症に対し年齢・重症度・治療方法・予後などにつき検討した。【結果】対象は39例(男児28例,女児11例,平均年齢7.90歳(2歳~13歳)であった。重症度は被膜下損傷30例(Ia型12例,Ib型18例),表在性損傷(II)2例,深在性損傷7例(IIIa型2例,IIIb型5例)であった。経カテーテル的動脈塞栓術(以下,TAE)施行例は9例(血管外漏出5例,仮性動脈瘤3例,動静脈瘻1例)で,全例止血可能であり保存的治療を行った。保存的治療中に腹腔内遅発性出血を1例認めたが肝損傷が原因による手術症例や死亡例はなかった。【結語】本症に対して肝動脈損傷の場合にTAEより安定した管理を行うことが可能であった。
  • 小倉 由起子, 山崎 一馬, 児玉 多曜, 近藤 悟
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1093-1096
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:[目的]当院で経験した閉鎖孔ヘルニアについて検討した。[対象および方法]対象は過去12年間に手術を施行した14症例である。背景因子,症状,術前診断,手術方法,転帰などを検討した。[結果]全例女性,平均年齢は82.8歳で平均BMIは18.2kg/m2であった。主訴は腹痛・嘔吐が11例と多く,Howship-Romberg signは5例に認められた。腹部CT検査により12例で術前診断された。発症から手術までの期間は平均2.9日で,全例に緊急開腹手術が行われた。小腸非切除7例は平均1.1日,切除7例は平均4.7日であった。腸管穿孔例は3日以上経過していた。ヘルニア門の閉鎖は単純縫合閉鎖が6例,人工膜材使用が6例と多かった。術後経過では12例が治癒した。[結語]本症は高齢の女性に多く,診断には腹部CT検査が有用であつた。陥頓腸管の切除を回避するためには早期診断・早期治療が重要と考えられた。
  • 大坪 出, 味木 徹夫, 岡﨑 太郎, 篠崎 健太, 吉田 優子, 村上 冴, 新関 亮, 木戸 正浩, 松本 逸平, 福本 巧, 具 英成
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1097-1102
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:近年,高齢化に伴い抗血栓薬服用患者の手術例が増加している。今回,抗血栓薬服用例の胆嚢摘出術の特徴と,服用が周術期に及ぼす影響を検討した。対象は2009年~2011年に良性疾患で胆嚢摘出術を施行した151例(腹腔鏡下胆嚢摘出術(Lap-C)101例,開腹胆嚢摘出術(OC)50例)で,抗血栓薬服用例は31例(20.5%)であった。その内,Lap-Cを19例に施行(緊急手術2例)し,OCを12例に行った(緊急手術3例)。術前ヘパリン化は11例(Lap-C 5例,OC 6例)に行った。術中出血量は抗血栓薬服用群と非服用群で差を認めず,重篤な合併症はLap-C例では認めなかったが,OC例の緊急手術例で麻酔導入時に心停止を1例に認めた。周術期死亡は認めなかった。ヘパリン化例ではLap-C例,OC例共に入院期間が延長した。抗血栓薬服用患者でも適切な周術期管理を行うことで安全に胆嚢摘出術が施行可能であった。
  • 星野 剛, 石井 良幸, 長谷川 博俊, 遠藤 高志, 岡林 剛史, 落合 大樹, 茂田 浩平, 瀬尾 雄樹, 北川 雄光
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1103-1108
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:大腸穿孔症例に対して,重症度分類として用いられているAPACHEII,SOFA,POSSUM,MPIを用いて各重症度分類のスコアを算出し,患者の予後との関連について後方視的に統計学的検討を行った。2006年~2011年の大腸穿孔手術症例(54例)を対象とし,4つの重症度分類において全症例をスコア化したところ,すべての重症度分類で死亡群は生存群より有意にスコアは高かった。つぎに,Receiver Operating Characteristic (ROC) curveよりそれぞれの重症度分類のcut off値を求め,感度,特異度,正診率を算出したところ,感度はAPACHEIIが100%で最も高く,特異度および正診率はSOFAがそれぞれ90%,89%と最も高かった。以上より,APACHEIIとSOFAは大腸穿孔術後症例の予後予測の評価法として有用であると考えられた。特に既往歴が評価項目にないSOFAに関しては各施設間で患者の並存疾患にばらつきがあっても有用である可能性が示唆された。
特集:腹部手術後の血栓症の予防と治療
  • 國崎 主税, 牧野 洋知, 木村 準, 大島 貴, 高川 亮, 小坂 隆司, 秋山 浩利, 遠藤 格
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1111-1117
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:消化器外科領域の周術期VTE予防に対する認識は依然として低い。本邦における術後VTEの発生率は欧米のそれと比較し,ほぼ同等と考えられる。さらに,DVTからPEに進展すると致命的になり得る。そこで,術前リスク分類に応じた適切な予防法を講じる必要がある。われわれが日常的に治療をしている中高年者の消化器癌手術は,それだけで高リスク群に分類され,予防的抗凝固療法と理学療法の適応となるが,手術手技や併存疾患など,その他の背景因子を十分に考慮した予防法を選択すべきである。
  • 栗田 信浩, 島田 光生, 岩田 貴, 佐藤 宏彦, 吉川 幸造, 東島 潤, 近清 素也, 西 正暁, 柏原 秀也, 高須 千絵, 松本 ...
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1119-1124
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:(目的)腹部・骨盤高リスク手術症例に対する術後静脈血栓塞栓症予防のための抗凝固剤3剤の効果・安全性に関するrandomized studyを報告する。(対象と方法)303例をエノキサパリン2,000単位×2/日:E群99例,ファンダパリヌクス2.5mg×1/日:F群101例,未分画ヘパリン5,000単位×2/日:H群103例に無作為に割り付け,術直後から未分画ヘパリン5,000IU 24時間持続静脈内投与後,各抗凝固剤を7日間投与した。(結果)症候性VTEは3群とも確認されなかった。出血性有害事象により抗凝固剤を中止した症例はE:F:H=9%:9%:10%で,H群1例で出血による再手術を行った。F群では硬膜外カテーテルを留置しなかった。(結論)3剤ともVTE予防に有用であったが,術後疼痛管理や出血性有害事象の点からエノキサパリンが第一選択となり得る。
  • 池田 正孝, 左近 賢人, 畑 泰司, 植村 守, 西村 潤一, 竹政 伊知朗, 水島 恒和, 山本 浩文, 関本 貢嗣, 土岐 祐一郎, ...
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1125-1129
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:【はじめに】当院の待機手術悪性腫瘍患者に対する静脈血栓塞栓症(VTE)予防の取り組みと現状を報告する。【方法】院内VTE予防ガイドラインにそった予防方法の実施状況と症候性VTEの発症率を前向きに調査した。【結果】対象は2,158例,男性1,408例,女性750例。平均年齢63。平均BMI22.2。開腹手術1,311例,腹腔鏡手術847例で平均手術時間は306分。弾性ストッキング着用,間欠的空気圧迫法(IPC)の施行率は99%で装着期間は1日。薬物予防は6.2%に行われていた。術前に症候性VTEは3例(0.14%),術後の症候性VTEは4例(0.19%)に発症した。致死性VTEの発症は認めなかった。【結語】当院での理学的予防方法の施行状況は96%とほぼ全例に施行されていたが,薬物予防は6.2%と少なかった。リスク分類に応じた適切な予防を行うことでVTEの発生は防げると考えられた。
  • 矢澤 貴, 竹浪 努, 小野 智之, 橘 知睦, 盛 彬子, 志村 充広, 小山 淳, 柿田 徹也, 及川 昌也, 本多 博, 土屋 誉, ...
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1131-1136
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:【はじめに】われわれは胃手術周術期に,D-dimerと下肢静脈エコーを併用してDVTの検出を行っており,その結果と予防的抗凝固薬Fondaparinuxの効果について検討した。【対象と方法】胃手術患者273例を対象とし,術前,術後1,4,7,14病日にD-dimer値を測定し,術前と術後7病日に下肢静脈エコーを行いDVTの検出を行った。Fondaparinux2.5mg/dayを術後2病日より5日間投与し,投与しないcontrol群とDVT発生率を比較した。【結果】DVTは21%に検出された。ROC曲線によるD-dimer値のcut off値は術後7病日のD-dimer値で11.0μg/mL(感度68%,特異度75%)であった。Control群でのDVTの検出は28%,Fondaparinux群では15%であり,DVTの予防効果が示された。
  • 山口 洋志, 古畑 智久, 沖田 憲司, 西舘 敏彦, 伊東 竜哉, 久木田 和晴, 曽ヶ端 克哉, 及川 郁雄, 平田 公一
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1137-1144
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:新規抗凝固薬フォンダパリヌクスを用いた術後静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)予防プロトコールを作成し,腹腔鏡下大腸癌手術74例に適用した。手術終了から24時間以上経過した後にフォンダパリヌクスの初回投与を行い,術後5日まで1日1回,計5回投与した。硬膜外カテーテルは最終投与から24時間以上経過した後に抜去した。プロトコールのコンプライアンスは良好であり,硬膜外カテーテル関連合併症を認めなかった。1例の有症状VTEの発生を認めた。予防プロトコール適用前群との比較において,適用群における出血を含む合併症の増加は認めなかった。当科の予防プロトコールは腹腔鏡下大腸癌手術後に安全に適用可能であると考えられた。また,予防プロトコール適用群の中で,術後に血清D-dimer値の持続上昇を認めた群は,持続上昇を認めない群と比較してVTE発生の危険要素を多く持っていた。
  • 中村 慶史, 藤田 秀人, 渡邉 利史, 伏田 幸夫, 藤村 隆, 太田 哲生
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1145-1152
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:近年,深部静脈血栓症(DVT),肺血栓塞栓症(PTE)予防が普及しつつある。当科ではクリニカルパスを用いて周術期DVT対策を確実に施行しているが,今回その発生頻度を調査し,そのリスク因子を検討した。また,当科の周術期抗凝固療法の有用性についても評価した。対象は過去3年間に大腸癌手術を施行した114例で,術前DVTを18.4%に,術後DVTを23.7%に認めた。術前DVTのリスク因子は女性と血栓性疾患既往,術後DVTのリスク因子は臓器体腔内SSIと術前DVTであった。術前非DVT症例に対し当科では理学・薬物抗凝固療法を行っているが,その施行下にも関わらず9.7%に術後DVTを認め,そのリスク因子は臓器体腔内SSIであった。術前後のスクリーニングはリスク因子を有する症例では必須である。またDVT予防下でも臓器体腔内SSI症例ではリスクが高く,合併症治療とともにDVTの厳重な経過観察が必要と考える。
  • 山木 壮, 豊川 秀吉, 里井 壯平, 柳本 泰明, 山本 智久, 廣岡 智, 由井 倫太郎, 良田 大典, 松井 陽一, 權 雅憲
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1153-1156
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:膵頭十二指腸切除術(PD)周術期に硬膜外麻酔(EAA)を施行した194名のretrospectiveな検討では,81名(42%)で,術後3日間に収縮期血圧が90mmHg以下に低下し,血圧低下症例では非低下群症例よりも創離開が有意に多かった。2011年6月以降はPD術後血栓症予防と合併症低減のために,EAAを,術前後の体神経ブロック(TAP─block)と術後Fentanyl持続静注法の併用法に変更し,術後24時間から12時間毎に低分子ヘパリン投与を行った。低分子ヘパリン投与を行った27名のうち血圧低下を認めた症例は5名(18%)であり,血栓症,出血性合併症は認めず,創離開は1名(3.8%)に認められた。EAAは術後の循環動態悪化をきたし,感染性合併症を増加させる可能性が考えられた。術後の低分子ヘパリン投与による血栓症予防は安全であったが,さらに症例を重ねて検討を行う予定である。
  • 林 洋毅, 森川 孝則, 元井 冬彦, 吉田 寛, 岡田 恭穂, 中川 圭, 水間 正道, 内藤 剛, 片寄 友, 海野 倫明
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1157-1164
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:【はじめに】静脈血栓塞栓症(VTE)予防ガイドライン策定および術後の静脈血栓症予防薬が登場したものの,肝胆膵外科術後におけるVTE予防薬の投与には抵抗感が強い。【対象】VTE予防薬を導入開始1年前の2008年1月以降の当科肝胆膵高難度手術症例466例を対象とし,術後VTE予防薬の安全性と有効性を評価した。【結果】DVT予防薬投与群は273例で,非投与症例は193例であった。入院中の術後出血イベントは,投与群で78例(28.6%)と,非投与群の17例(8.8%)に比べて有意に発生率が高かったものの軽微な出血が大多数であった。輸血や止血術を要した重篤な出血は投与群で4.4%,非投与群で5.2%と差を認めなかった。血栓塞栓症の発生頻度も投与群で4.0%,非投与群6.7%と差を認めなかった。【結語】VTE予防薬は術後の軽微な出血を増加させるが,肝胆膵外科領域においても安全に使用可能であった。
症例報告
  • 増田 隆洋, 矢野 文章, 青木 寛明, 三森 教雄, 小村 伸朗, 矢永 勝彦
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1165-1168
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は50歳代,男性。吐・下血,全身倦怠感を主訴に当院救急搬送された。来院時Hb 6.2g/dLであり,濃厚赤血球を8単位輸血した。緊急の上部消化管内視鏡検査を施行したところ,十二指腸球部後壁に活動性出血性潰瘍を認め,内視鏡的に止血した。腹部CT検査にて,十二指腸の浮腫性変化,肝内門脈ガスおよび門脈血栓を認めた。翌日もHbが8.6g/dLまで低下したため,腹部血管造影による塞栓術を試みたが,出血源を同定できなかった。内科的治療は限界と考え,当科依頼となり同日緊急手術を施行した。出血により視野不良であったため,十二指腸球部を離断し確認したところ,潰瘍底が門脈に穿破していた。門脈穿破部を周囲組織と縫合閉鎖し,幽門側胃切除術ならびに腸瘻を造設した。術直後より門脈血栓による肝障害を認め,術後第12病日に肝不全にて死亡した。十二指腸潰瘍が門脈に穿破することは極めてまれであるため報告した。
  • 前田 洋恵, 愛洲 尚哉, 山田 和之介, 松岡 信秀, 乗富 智明, 山下 裕一
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1169-1172
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は,66歳女性。右下腹部痛を主訴に近医を受診し,後腹膜血腫を指摘され当科紹介となった。腹部造影CT検査で膵頭部近傍に血腫を認めた。血管撮影検査では,上腸間膜動脈からの造影で胃十二指腸動脈を介して固有肝動脈が描出された。腹腔動脈起始部は狭窄しており,腹腔動脈からの造影では胃十二指腸動脈は求肝性血流のため描出されなかった。第一空腸動脈からの造影で前下膵十二指腸動脈に動脈瘤を認めた。正中弓状靭帯の圧迫による腹腔動脈狭窄症,それに伴う前下膵十二指腸動脈の動脈瘤と診断した。経カテーテル的に動脈瘤に対し塞栓術を行った後,動脈瘤再発予防目的に弓状靭帯開放術を施行した。術後腹部造影CT検査では動脈瘤の再発は無く,3D-CT検査では腹腔動脈根部の狭窄の改善を認めた。腹腔動脈狭窄症に伴う動脈瘤破裂の報告は少なく,文献的考察を加えて報告する。
  • 山崎 祐樹, 山本 精一, 櫻井 健太郎, 金本 斐子, 中山 啓, 渡邊 利史, 大澤 宗士, 川原 洋平, 寺田 逸郎, 加治 正英, ...
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1173-1176
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は50歳代女性。突然の嘔気嘔吐を主訴に受診。CTで胆石イレウスの診断を得て手術を施行した。空腸を切開し,4cm弱の胆石2個を載石した。胆嚢結石は残存していたが,胆嚢の炎症が著明であったため胆嚢摘出術は行わず,二期的に胆嚢摘出術・瘻孔閉鎖を行う方針とした。術後9日目に退院したが,術後30日目に再び腹痛・嘔吐が出現した。胆石イレウス再発と診断し,小腸切開載石術・胆嚢摘出術・十二指腸一次閉鎖術を施行した。胆石イレウスは結石除去によるイレウス解除術と,胆嚢摘出術および内胆汁瘻閉鎖を一期的に行うかどうかは意見が分かれるところである。今回われわれは,胆嚢十二指腸瘻による胆石イレウスに対し二期的手術を予定したが,初回手術の後,早期に遺残結石による再発をきたした症例を経験したので報告する。
  • 大野 玲, 石場 俊之, 平岡 優, 石丸 神矢, 円城寺 恩, 村瀬 秀明, 小畑 満, 竹下 俊文
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1177-1179
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は73歳男性。5ヵ月前に当院にて噴門部癌のため胃全摘術を施行している。突然の嚥下困難で発症後6時間後に救急外来を受診した。諸検査にて挙上空腸を内容物とする食道裂孔ヘルニア嵌頓と診断し救急外来受診後3時間で緊急手術を施行した。手術所見では開大した食道裂孔に挙上空腸が迷入嵌頓しておりこれを腹腔内へ還納し裂孔を縫縮した。術後経過は良好であった。
  • 濵田 隼一, 高階 謙一郎
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1181-1184
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は,73歳男性。腹痛・下血を主訴に来院した。血液検査では大きな異常は認められず,腹部造影CT検査で大動脈に異常は認めず上腸間膜動脈(SMA)内に解離腔を認め,末梢側は造影されず,回腸の造影効果を認めなかった。腹部血管造影検査では真腔は偽腔の高度圧排により造影されなかった。これらから小腸虚血を伴ったSMA解離と診断した。バルーンにて真腔の拡張を行い,血流を確保することで回腸の血流は回復した。後日のCT検査でも腸管の造影効果は良好に保たれていた。SMA解離にともなう小腸虚血により致死的,あるいは大量の腸管切除術を余儀なくされることもあるが,バルーン血管形成術は手術の回避,さらには腸管温存の可能性があることが示唆された。
  • 馬越 健介, 西山 隆, 菊池 聡, 相引 眞幸
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1185-1187
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:75歳,男性。左下肢痛を主訴に近医を経て当院を受診した。来院時,左足背遠位,右足指,両手指に紫斑を認めた。血液検査で貧血,著明なFDP上昇を伴う播種性血管内凝固症候群(DIC)を認め,輸血およびメシル酸ガベキサートを開始した。入院2病日に呼吸状態悪化のため気管挿管した。両下腿,両手指ともに壊死へと進行した。CEA高値を認め,担癌によるDICが示唆された。多臓器不全の進行のため入院50病日に死亡した。剖検にて胃癌(低分化型腺癌)を認め,胃癌によるDICにより末梢性対称性四肢壊死(SPG)と診断した。SPGの原因としては感染症だけでなく,癌によるものも鑑別診断として重要である。
  • 田崎 達也, 津村 裕昭, 山岡 裕明, 日野 裕史, 金廣 哲也, 市川 徹
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1189-1193
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は8歳,女児。腹痛,嘔吐,発熱のため当院を受診した。下腹部正中に筋性防御を認め,白血球数とCRP値の上昇を認めた。腹部超音波検査で診断が困難であったため,腹部造影Multidetector-row CT(以下,MDCT)を行ったところ,結腸は腹腔内左側,小腸は右側に偏位して存在し,SMV rotation signを認めた。下腹部正中に腫大した虫垂を認めたため,腸回転異常症に伴う急性虫垂炎と診断し,緊急手術を行った。虫垂は壊疽性虫垂炎の状態で,虫垂をたどると正中に位置した盲腸を認め,虫垂切除および腹腔ドレナージ術を行った。腸回転異常症に伴う急性虫垂炎では,腸管位置の異常に伴い,非典型的な腹痛部位を呈するため,術前診断に苦慮することが多いが,MDCTを行うことにより,的確な手術適応の判断と皮膚切開部位の決定が可能であった。
  • 加藤 公一, 浅井 泰行, 加藤 吉康, 栗本 景介, 田中 伸孟, 末岡 智, 石榑 清
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1195-1199
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は74歳,男性。67歳時盲腸癌に対して回盲部切除術,4年後に腹壁瘢痕ヘルニアに対してComposix Kugel Patch®(以下,CKP)を用いた修復術が施行された。2年7ヵ月後,発熱・悪寒があり当科を受診した。下腹部正中創部に発赤・腫脹がみられ,CT検査にてCKP内部から皮下にかけて液体貯留と遊離ガス像を認めた。皮膚・皮下を切開・排膿し,直下のCKPを穿刺すると腸液様の排液を認めた。CKPによる小腸穿通と診断し,CKPを摘除,穿通がみられた小腸壁を切除・縫合閉鎖した。腹壁は直接縫合閉鎖した。術後創感染を併発したが,術後37日目に軽快退院した。術後3年現在ヘルニアの再発,感染の再燃は認めていない。CKPを用いる腹壁瘢痕ヘルニア修復術後は,まれな合併症として腸管穿孔・穿通を念頭に置くべきである。
  • 村上 智洋, 松本 圭五, 神藤 修, 宇野 彰晋, 深澤 貴子, 落合 秀人, 谷岡 書彦, 鈴木 昌八, 北村 宏
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1201-1205
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は84歳,女性。発熱,心窩部痛,背部痛を発症し当院救急外来を受診した。血液検査では軽度貧血と白血球数の増加がみられ,腹部CTにて十二指腸上行脚の憩室と,その周囲の後腹膜気腫像を認めた。十二指腸上行脚憩室穿孔と診断し,緊急手術を施行した。開腹所見ではTreitz靱帯は炎症性に肥厚しており,同部位を切開すると後腹膜腔から膿汁が流出し,十二指腸上行脚に穿孔した憩室を認めた。憩室切除,縫合閉鎖,膿瘍腔のドレナージを施行した。病理組織学的に憩室は固有筋層を欠く仮性憩室であり,菲薄化した穿孔部周囲組織は壊死像を呈していた。術後経過は良好で術後24病日に退院した。十二指腸上行脚の憩室穿孔はまれであるが重篤な疾患であり,迅速で正確な診断の下に,早期に手術療法を行うことが重要である。
  • 代市 拓也, 吉留 博之, 清水 宏明, 大塚 将之, 加藤 厚, 織田 成人, 宮崎 勝
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1207-1211
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は74歳,男性。直腸癌同時性肝転移術後4年目に残肝(S1)再発と同時性肺転移を認め,肝S1切除,下大静脈合併切除,横行結腸部分切除,右肺S5部分切除を施行した。術後に肺炎を契機とした呼吸不全・敗血症性ショックに陥り,持続血液濾過透析を施行した。カテコラミン不応性の血圧低下を認め,内分泌機能検査を施行し血中コルチゾールの相対的低値とACTH負荷試験においてコルチゾール分泌の反応低下を認め急性副腎不全と診断した。hydrocortisoneの投与後,循環動態の速やかな改善が認められた。急性副腎不全はコルチゾールの絶対的あるいは相対的欠乏によってもたらされる急性循環不全であり,治療が遅れると救命が困難となる。過大侵襲外科手術後の敗血症性ショック併発時にカテコラミン不応性の血圧低下を認めた場合は,急性副腎不全の存在も念頭に置くべきであると考えられた。
  • 浅井 浩司, 渡邉 学, 松清 大, 齋藤 智明, 児玉 肇, 道躰 幸二郎, 斉田 芳久, 長尾 二郎, 草地 信也
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1213-1217
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は70歳代の男性。腸間膜原発の脂肪肉腫に対して,腫瘤摘出術,小腸部分切除術,胃瘻・腸瘻造設術を施行した。第6病日に門脈気腫と腸管気腫を認めたが,全身状態は安定していたため経過観察を行った。術後第13病日に再度嘔吐症状,下血,血圧低下,炎症反応上昇,腎機能障害,代謝性アシドーシスなどの全身状態の悪化と広範囲の門脈気腫,腸管気腫,有意な腹水増加を認めたため,試験開腹手術を施行した。しかし,小腸の拡張所見を認めるものの,明らかな腸管壊死所見を認めなかったため,癒着剥離術のみを施行した。その後も術後第34病日に腸管気腫,第80病日にも門脈気腫と急性胆嚢炎を認めた。いずれも保存的加療にて軽快し,術後第117病日にリハビリ目的で転院となった。門脈気腫,腸管気腫は開腹手術を考慮される所見であるが,全身状態が安定している症例に関しては保存的治療も適応となる可能性が示唆された。
  • 大森 一郎, 楠 真二, 山野上 敬夫
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1219-1222
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は56歳女性で,転落外傷のため救急搬送となった。CTでは,膵は体部で完全に断裂し,肝内側区域は肝門に至る実質損傷を認めていた。IIIb型膵損傷を合併したIIIb型肝損傷と診断して,緊急手術を施行した。膵損傷に対しては膵体尾部切除術を施行し,肝損傷に対しては肝縫合での止血が無効であったため,finger fracture法にて肝切開を行い,出血部位であるグリソンおよび肝静脈を確認し,縫合止血した。finger fracture法による肝切開によって迅速かつ確実な止血が可能となり,IIIb型膵損傷を合併したIIIb型肝損傷症例を救命しえたので報告する。
  • 石原 寛治, 田中 肖吾, 橋場 亮弥, 大畑 和則, 上西 崇弘, 山本 隆嗣
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1223-1226
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は30代の男性。3日前,左下腹部鼠径靭帯頭側を圧挫し出張先で近医受診,腹部所見・腹部X線検査で異常なく自宅安静となったが腹痛と発熱が増強し当院受診した。循環動態は安定し左下腹部の鈍的外傷痕も軽微であったが,腸蠕動音減弱と腹部全体の筋性防御を認めた。腹部単純X線・CT検査で両横隔膜下・S状結腸間膜側に遊離ガス像を認め下部消化管穿孔を疑い緊急開腹手術施行した。糞便による汚染はほとんどなく肉眼的にS状結腸間膜側の穿孔は1cm程度であったが,挫滅穿孔部を含めS状結腸部分切除し一期的端々吻合した。切除標本の検索で穿孔は間膜側半周におよんでいた。腹部鈍的外傷が軽微で受傷早期に消化管穿孔の所見がなくとも,腸間膜側損傷の場合は遅れて所見が出ることがあり,経時的腹部所見の観察が必要である。
  • 松波 昌寿, 草薙 洋, 林 賢, 角田 明良, 加納 宣康
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1227-1230
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は82歳,男性。前立腺癌に対し前立腺全摘術を受け,酢酸リュープロレリン(リュープリン®)を投与中であった。腹痛と嘔吐を主訴に救急外来を受診した。造影CT検査では腹水貯留,小腸腸管壁の造影不良を認めたため,腸管壊死を疑い,緊急手術を施行した。Treitz靱帯より約20cmの部位から約30cmにわたって,暗赤色に変化した空腸を認めた。同領域の腸間膜内の動脈拍動は触知できたため,うっ血性の腸管壊死を疑い病変部を含めた空腸を切除した。術後は抗凝固療法を行い,経過良好にて退院した。病理組織学的検査では腸間膜血管内に多発する陳旧性の血栓を認め,腸間膜静脈血栓症による腸管壊死と診断した。本症例では血液凝固線溶異常は認めず,酢酸リュープロレリンを外来にて投与されていたため,薬剤性が最も疑わしいと考えられた。酢酸リュープロレリンによる血栓症の報告はまれであり,文献的考察を加えて報告する。
  • 伊藤 元博, 永田 高康
    2013 年 33 巻 7 号 p. 1231-1234
    発行日: 2013/11/30
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    要旨:患者は74歳,男性。来院1週間前より排便を認めなかったため,4日前に浣腸を行った。3日前より下腹部痛を自覚し当院を紹介受診。左下腹部に圧痛,反跳痛を認め,血液検査所見で炎症反応の上昇を認めた。腹部CT検査でS状結腸憩室と腸間膜側の遊離ガス像を認め,両側の後腎傍腔まで広がっていた。以上より憩室炎発症3日後に腸間膜内に穿通したS状結腸憩室炎と診断し緊急手術を施行した。開腹すると腹腔内に軽度腹水を認め,S状結腸憩室は腸間膜内に穿通していた。手術はS状結腸切除後機能的端々吻合し,腹腔内へドレーンを留置した。切除標本で粘膜面から腸間膜内へ交通する2mm大の穿通部位を認めた。術後経過は良好で術後23日目に軽快退院した。腸間膜内に穿通する憩室穿孔例では,腸管内容が間膜内に被覆され腹膜炎症状をきたしにくいため,腹部CT検査で早期に診断し,適切な手術を行うことが肝要である。
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