日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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ISSN-L : 1340-2242
34 巻, 7 号
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原著
  • 高橋 宏幸, 三上 公治, 池田 裕一, 三宅 徹, 平野 由紀子, 平野 公一, 東 大二郎, 山本 聡, 二見 喜太郎, 前川 隆文
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1247-1252
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    目的:大腸穿孔手術症例の予後因子を明らかにする。方法:過去8年間に当科で経験した32症例を在院死亡群と生存群に分けて比較検討した。結果:生存は24例,死亡は8例であった。単変量解析では死亡群は生存群より有意に高齢で遊離穿孔を呈し,Acute Physiology and Chronic Health Evaluation Ⅱ(APACHE Ⅱ)scoreおよびSequential Organ Failure Assessment(SOFA)scoreも高値を示し,continuous hemodiafiltration(CHDF)施行例が多かった。多変量解析ではAPACHE Ⅱ scoreのみが独立した予後因子として抽出された。結論:大腸穿孔は致死率が高く,併存疾患を有する高齢者は特に予後不良である。APACHEⅡscoreは患者背景・状態を包括的に評価でき,予後評価に有用と思われた。
  • 淺野 博, 髙山 哲嘉, 森岡 真吾, 淺野 彩, 深野 敬之, 大原 泰宏, 多賀 誠, 篠塚 望
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1253-1257
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    下部消化管穿孔における術前血清IgG値と術後経過との関係について検討した。2011年9月1日より2013年6月30日まで当科で施行した汎発性腹膜炎を伴う下部消化管穿孔を対象とした。来院時の血清IgG値が800mg/dL以上(以下,N群)と800mg/dL未満(以下,H群)の2群間で比較を行った。対象期間の症例は27例でN群は18例,低下群は9例であった。SIRS期間はN群に対してH群は長期化していた(6.4±9.1日vs 12.9±14.2日)。また,人工呼吸管理期間もN群に対してH群のほうが延長し(2.0±2.8日vs 8.1±7.0日),それに伴いICU滞在期間もN群に対してH群が長期化していた(5.7±4.5日vs 14.4±13.1日)。下部消化管穿孔における術前IgG値が低下している症例は重症化しており,IgG値補正による予後改善の可能性が示唆された。
  • 瀬上 航平, 朝倉 武士, 浜辺 太郎, 西尾 乾司, 京井 玲奈, 石井 将光, 朝野 隆之, 宮島 伸宜, 大坪 毅人
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1259-1261
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    急性虫垂炎に対する腹腔鏡下虫垂切除術(Laparoscopic Appendectomy:以下,LA)を開腹虫垂切除術(Open Appendectomy:以下,OA)と比較しLAの有用性を検討した。対象は2010年1月から2013年8月までに虫垂切除を施行した272例でLA群が140例,OA群が132例。手術時間はLA群が83.0±3.1分,OA群66.1±2.7分と有意差を認めLA群が長かった(p=0.002)。術中出血量はLA群が10.9±2.8mL,OA群が32.7±7.5mLと有意差を認めLA群が少なかった(p=0.006)。在院日数はLA群が4.5±2.4日,OA群が7.7±7.3日とLA群が短い傾向にあったが有意差は認められなかった。術後合併症の発生率は,LA群が8.6%(皮下膿瘍3.6%,術後腹腔内膿瘍5.0%),OA群が10.6%(皮下膿瘍2.3%,術後腹腔内膿瘍5.3%,術後イレウス2.3%)で明らかな差は認められなかった。しかし,術後イレウスは有意差を認めLA群が少なかった(p=0.04)。LAはOAに比べ手術時間の延長を認めたが,総じてOAに比べ有用な術式であると考えられた。
  • 大石 達郎, 小山 隆司, 澤田 隆一郎, 江里口 光太郎, 川嶋 太郎, 坂平 英樹, 高橋 応典, 宮本 勝文, 梅木 雅彦, 栗栖 茂
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1263-1268
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    2008年1月から2014年6月までに診療した胆管癌46例中,急性胆管炎を合併していた25例を集計し,悪性胆道閉塞による急性胆管炎のドレナージについて検討した。25例中,ドレナージ後に根治術を施行されたものが6例で,残りの19例は切除不能癌であった。ドレナージ後,閉塞や逸脱などのステント不全を発症したものが12例あり,経過中,複数回の入れ替えを余儀なくされた症例もあった。胆管癌による急性胆管炎の治療は,通常の胆管炎と同様,重症度が中等度以上であれば,可及的速やかなドレナージが基本である。それと同時に,癌の切除の可否,切除不能の場合はおおよその予後を判断し,適切なドレナージ方法を選択することが必要であるが,それらが不明の場合は速やかにENBDを施行し,胆管炎の治療と同時に,引き続き手術や内瘻化を検討することが安全なドレナージ方法と考えられた。
  • 山岸 杏彌, 山田 岳史, 菅 隼人, 松本 智司, 小泉 岐博, 進士 誠一, 松田 明久, 原 敬介, 内田 英二
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1269-1273
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    近年閉塞性大腸癌症例に緊急手術を行わず,減圧後に待機手術を行うことが多くなった。閉塞により消化管は浮腫をきたし消化管運動は低下するが,術前減圧によって消化管の浮腫および消化管運動が改善することが期待される。しかしこのような症例では,術前に減圧したとしても非閉塞症例と比較すれば消化管機能が低下している可能性がある。われわれは術前に減圧を行った閉塞性結腸癌症例(術前減圧群)と非イレウス症例(非閉塞群)の術後消化管(小腸)運動を比較した。術前減圧群17症例と同時期に待機手術を施行した非イレウス群83例を対象とし,術当日執刀前に放射線不透過マーカーを服用させ,術後1,3,5日に腹部単純X線写真を撮影し小腸内残存マーカー数を比較した。術前減圧群では非閉塞群と比較して術後1,3,5日目の小腸内残存マーカー数が有意に多かった。術前に減圧を行っても閉塞性大腸癌症例では,術後腸管運動麻痺が遷延する可能性がある。
特集:非静脈瘤性消化管出血の治療戦略
  • 船曵 知弘, 折田 智彦, 豊田 幸樹年, 佐藤 智洋, 北野 光秀
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1277-1284
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    消化管出血に対して,内視鏡的止血術,経カテーテル的動脈塞栓術(Transcatheter arterial embolization:TAE),手術的止血術が行われる。上部消化管出血(以下,上部)に対しては内視鏡的止血術が行われるが,止血困難な場合にTAEが選択される。下部消化管出血(以下,下部)に対しては,内視鏡的に止血困難な場合が多く,当院ではTAEが第一選択とされることが多い。消化管出血に対して緊急血管造影が施行された57例(24ヵ月間)を後方視的に検討した。上部25例,下部32例の緊急血管造影検査が施行されていた。上部で術前内視鏡が行われていたのは16例(64.0%)で,下部では3例(9.4%)であり,また下部でCTが25例(78.1%)に施行されていた。TAE手技不成功は下部での1例に認められた。TAE後の臨床的不成功は上部では3例,下部では1例であった。偶発症は下部において下腸間膜動脈の内膜剥離が1例に認められたが,追加処置は必要なく経過した。TAEは安全で,また十分な止血効果があり,積極的に勧められる手技と考えられる。
  • 平野 直樹, 伊藤 謙, 小山 洋平, 團 宣博, 朝井 靖二, 武田 悠希, 植木 紳夫, 大場 信之, 西中川 秀太, 児島 辰也
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1285-1288
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    出血性胃潰瘍に対する内視鏡的止血術は,クリッピング法,HSE局注,エタノールなどの局注法,焼灼法がある。ESD等での内視鏡的治療の後出血予防の際に行う止血鉗子での凝固止血を当院では出血性胃潰瘍の止血の際に応用して施行している。今回は当院で行っている出血性胃潰瘍に対する凝固止血を解説する。スコープは送水機能を有したスコープを用いて,先端透明フードを装着して出血時の視野をとりやすくする。胃潰瘍の潰瘍底の露出血管に対して部位を同定したら,まずHSE液を露出血管周囲に局注を行った後,止血鉗子で露出血管を掴んで凝固,焼灼を行い止血する。これを露出血管が見えなくなるまで焼灼を繰り返して終了し,翌日に再度上部消化管内視鏡で止血を確認する。これらの止血術を画像で供覧しながら解説する。
  • ─循環への寄与と粘膜治癒の経過─
    嶺 貴彦, 村田 智, 小野澤 志郎, 上田 達夫, 山口 英宣, 杉原 史恵, 安井 大祐, 宮内 雅人, 田島 廣之, 汲田 伸一郎
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1289-1293
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    内視鏡的止血困難例26例を対象に,出血性上部消化管潰瘍に対するN-butyl-2-cyanoacrylate(NBCA)を用いた動脈塞栓術後の循環動態変化と粘膜治癒過程に関する評価・検討を行った。塞栓術により全例で即時的な止血と有意な循環動態の改善が確認された。塞栓術前の潰瘍病変は全例Forrest Ⅰ(Ia 20,Ib 6)であり,塞栓術後には明らかな虚血性粘膜障害は認められず,11±7.9日で Forrest Ⅲまでの改善が確認された。NBCAは適正な使用下では潰瘍治癒過程において大きな妨げにはならないものと考えられ,安全かつ有用性の高い塞栓物質であると考えられた。
  • 檜垣 聡, 平木 咲子, 大岩 祐介, 岡田 遥平, 市川 哲也, 荒井 祐介, 石井 亘, 成宮 博理, 飯塚 亮二
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1295-1301
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    2008年4月から2012年12月の4年間で大腸憩室出血と診断された141例を対象に当院での治療戦略を検討した。大腸憩室出血に対する治療法には内視鏡的止血術,IVR,バリウム充填術,外科的手術などがある。内視鏡検査施行率は92.1%(130/141件)で,その内,内視鏡的止血術施行率は16.9%(22/130件)であった。止血術成功率は68.1%(15/22件)であった。血管造影検査施行率は9.2%(13/141件)であり,IVR成功率は100%(10/10件)であった。大腸憩室出血では再出血する場合があるが,当院でも止血困難・再出血症例が9例認められた。大腸憩室は多発する場合が多く,それぞれの治療法には長所・短所があり,どの治療法を選択しても再出血の可能性がある。いつでも次なる治療法を行えるように準備しておく必要があると考える。
  • 杉山 宏
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1303-1309
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    【目的】内視鏡,血管造影で診断,治療を行った大腸憩室出血例の検討を試みた。【対象と方法】内視鏡診断は透明フードで憩室を吸引,反転し行った。大量出血例は血管造影による診断も試みた。憩室出血172例を対象に内視鏡,血管造影による診断と治療の成績を検討した。【結果】大量出血3例に血管造影を施行,2例は活動性出血所見を認めIVRを行った。血管造影で診断できなかった1例を含む170例中139例は内視鏡診断できたが,31例は診断できなかった。うち124例に止血術を行い,107例は止血しえたが,17例で再出血した。うち 5例は内視鏡的に再止血しえたが,12例は止血困難であった。止血困難の12例に血管造影を施行し活動性出血所見はなかったが,クリップを指標にIVRを施行した。IVRを施行した14例全例が止血しえた。偶発症ではIVR施行例の4例で腹膜炎を,1例で穿孔を認めた。【結論】憩室出血の止血には確実な内視鏡診断が必要である。大量出血例や内視鏡的止血術困難例には血管造影による診断と治療が有効であるが,偶発症に注意が必要である。
  • ―憩室出血症例に対する検討―
    稲葉 基高, 澤野 宏隆, 伊藤 裕介, 金原 太, 林 靖之, 甲斐 達朗
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1311-1316
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    下部消化管出血における憩室出血の頻度は高く,ときに致命的である。2007年1月~2013年1月までに下部消化管出血で救急搬送され,憩室出血と診断された61症例を対象に緊急治療におけるIVRの有用性を検討した。17例で緊急IVRが施行され,IVR群は非IVR群に比して重症度が高く,IVR群17例中5例は来院時にショックを呈していた。塞栓部位は直動脈が8例,辺縁動脈が9例で,塞栓物質としてはコイルを9例,ゼラチンスポンジを8例で使用し,全症例で緊急止血に成功した。再出血を1例で認め,IVRの偶発症としては,手術を要する腸管壊死が1例,限局性腹膜炎が2例,急性腎傷害が1例認められた。IVRによる止血成功率は高く,循環動態不安定例に対しても有効で緊急手術の回避が可能である。しかし腸管壊死などの重篤な偶発症に注意が必要であり,IVRで止血困難な症例では手術に移行する機会を逸さないことが重要である。
症例報告
  • 深江 洋恵, 富安 孝成, 長野 秀紀, 山田 和之介, 谷 博樹, 岩永 真一, 渕野 泰秀, 大谷 博, 城崎 洋
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1317-1320
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    77歳,男性。高血圧症,脳梗塞の既往あり。嘔吐を主訴に救急搬送となり腸閉塞の診断で入院となった。胃管による消化管減圧,絶食,輸液療法で症状は消失したため経口摂取を開始したが腸閉塞症状が再燃した。消化管造影検査で中部小腸に狭窄像を認めた。造影剤は通過可能であり流動食を開始したが,嘔吐,誤嚥性肺炎を発症し,再度絶食とした。腸閉塞評価目的の腹部CT検査では小腸の狭窄所見は改善していたが,その後も絶食中にもかかわらず嘔吐を繰り返した。保存的加療による改善は困難と判断し,開腹術を行った。中部小腸に約15cmにわたる腸管壁肥厚を伴った狭窄小腸を認め,同部小腸の部分切除を行った。病理組織検査では小腸に潰瘍形成を認め,粘膜下層は高度に肥厚しており,線維筋症がみられ,小腸狭窄の原因は虚血性小腸炎と診断した。今回虚血性小腸炎により小腸狭窄をきたした比較的まれな1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。
  • 石山 泰寛, 浅海 吉傑, 宮永 太門, 橋爪 泰夫
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1321-1324
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は58 歳の男性で,自動車運転中に水田に転落したため当院救急外来受診した。左距骨骨折で整形外科入院となった。入院後10日目に嘔吐が出現し,腹部造影CTで腸閉塞と診断した。イレウス管を挿入し10日間経過した後も,イレウス管からの排液が継続したため手術の方針となった。手術は腹腔鏡下で行った。腹腔内を観察すると腸管の拡張を認めた。拡張した腸管を追跡していくとTreitz靭帯から150cm肛門側の回腸の腸間膜に収束する形で瘢痕性に狭窄する腸管を認めた。狭窄部位を含め約12cmの小腸を切除し端々吻合を行った。術後経過は良好であった。交通外傷後の遅発性腸閉塞は一般の外科医にとっては馴染みが薄く,診断に苦慮することが多いが,存在を知っていれば診断,治療は可能であり同時に腹腔鏡下手術はこのような症例に対して有用であることが示唆された。
  • 原田 和明, 高山 亘, 佐藤 護
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1325-1329
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    症例は88歳,男性。腹部膨満を主訴に当院紹介となった。腹部は著明に膨満し,左陰囊は小児頭大に腫大していた。CT検査で左陰囊内には径90×70mmに拡張した腸管が認められ,イレウスの状態を呈していたが腸管虚血は認めなかった。用手還納を試みると陰囊腫大は軽度改善したが,完全な還納は不可能であった。翌日まで経過観察を行ったが,改善なく手術を施行した。脱出腸管は回盲部であり,腹腔内への還納は可能であった。後壁補強はParietex ProGripTMメッシュ(COVIDEN社)を用い,Lichtenstein法で行った。術後経過は良好であり,術後13日目に退院となった。回盲部を内容とする鼠径ヘルニアの本邦報告例は自験例を含め39例で,左側の発症は5例目とまれな症例と考えられた。鼠径部から陰囊への膨隆が著明な症例では,回盲部嵌頓の可能性を考える必要があると思われた。
  • 大津 智尚, 園原 史訓, 平田 伸也, 中西 香企, 森 憲彦, 谷口 健次
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1331-1335
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は54歳の女性。7時間前からの左上腹部痛を主訴に救急外来を受診した。腹部CT検査で横行結腸脾彎曲部の拡張およびwhirl signを認め,横行結腸軸捻転と診断した。緊急大腸内視鏡検査で同部の結腸粘膜面に黒色壊死の変化を認めた。穿孔の危険性を考慮して内視鏡的整復は行わず,緊急手術を施行した。開腹所見では横行結腸脾彎曲部が尾側からみて反時計回りに270度回転し,閉塞起点となっていた。結腸の全層壊死は認めなかったため,腸管切除は行わずに整復して手術を終了した。結腸軸捻転ではS状結腸軸捻転が大半を占め,横行結腸軸捻転は比較的まれである。CT検査で術前診断し腸管切除を免れた横行結腸軸捻転の1例を経験したので報告する。
  • 伊在井 淳子, 盛口 佳宏, 堀切 康正
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1337-1340
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    症例は91歳女性で,繰り返す腸閉塞の治療目的に,当院へ紹介された。CTでは,骨盤内の拡張小腸内腔に気泡を含む長径3.5cmの塊状物を認めた。イレウス管を挿入し,腸管減圧後に行った小腸造影で,イレウス管先端付近の小腸内腔に,楕円形の陰影欠損を認めた。以上より,食物残渣の陥頓をきたした食餌性イレウスと診断した。食物残渣を溶解する目的で,1日計500mLのコカ・コーラゼロⓇを,100mLずつ間歇的にイレウス管先端から注入した。注入を5日間行ったところ,イレウス管の排液が著明に減少し,イレウス管先端が右側結腸まで達して,腸閉塞の解除が確認された。食餌性イレウスがイレウス管による減圧で解除されない場合,経イレウス管コーラ注入が有用な可能性がある。特に超高齢者では,手術回避の観点から考慮すべき方法であると考えられた。
  • 大西 貴久, 川本 龍成, 折原 暁
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1341-1344
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は69歳の男性,腹痛を主訴に当院を受診した。腹部全体に圧痛,腹膜刺激兆候を認め,腹部造影CT検査で横行結腸内に金属塊と口側腸管の著明な拡張を認めた。消化管穿孔と診断し,同日緊急手術を施行した。術中所見では横行結腸で有鈎義歯の鈎が腸管壁外に露出しており,右半結腸切除術を施行した。術後は良好に経過し,術後16日目に退院した。有鈎義歯の誤飲により横行結腸で穿孔をきたした1例を経験したので報告する。
  • 工藤 雅史, 山形 誠一
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1345-1351
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,男性。原発性肝細胞癌(以下,HCC)の治療経過中に,左上腹部痛を主訴に来院。CT検査で,肝外側区域と接する成人頭大の腹腔内腫瘍を指摘された。HCCの破裂を疑い緊急開腹術を行った。術中迅速病理検査では肉腫が疑われ,腫瘍摘出術,肝外側区域部分切除術,胃部分切除術,腹壁合併切除術を施行した。腫瘍は28×23×20cm大,3,790gで,病理組織学的にはpleomorphic spindle cell sarcomaであり,免疫組織学的にはvimentin以外の上皮系マーカーは全て陰性でありsarcomatoid HCCと診断した。術後早期に腹膜播種再発がみられ,術後49日目に死亡した。肉腫様肝細胞癌の多くは急速に進行し予後は不良である。唯一有効性が報告されているのは外科的切除であり,文献的考察を加え報告する。
  • 森 憲彦, 望月 能成, 平田 伸也, 中西 香企, 園原 史訓, 横山 裕之, 谷口 健次
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1353-1357
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    症例は20歳,男性。前日より嘔吐を伴う腹痛があり,翌朝には鮮血便も出現,腹痛・嘔吐の増悪とともにショック状態となったため,当院へ救急搬送となった。搬送時,腹部は膨満,著明な腹膜刺激症状を認めた。単純CT検査では広範囲の小腸の拡張と多量の腹水貯留があり,絞扼性イレウスの診断で緊急手術を施行した。術中所見では,傍十二指腸腹膜窩に空腸が嵌入していた。また,ヘルニア門を基点に,ヘルニア囊外で肛門側の小腸が軸捻転を起こし,約130cmにわたり虚血に陥っていた。イレウス解除後も腸管血流の改善はなく,小腸切除術およびヘルニア門閉鎖術を施行した。術後,麻痺性イレウスを合併したが,保存的加療により軽快し,第14病日に退院した。緊急手術により救命した傍十二指腸ヘルニアに伴う小腸軸捻転の1例を経験したので報告する。
  • 藤田 正太, 佐藤 勤, 高清水 清治, 長谷川 傑
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1359-1362
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    症例は80歳,女性。1ヵ月前に鱈を摂取後に嘔吐,その後,心窩部不快感が持続していた。近医を受診し,上部消化管内視鏡検査で異常なく,経過観察とされていたが,症状が持続するため腹部CTを施行,肝膿瘍の診断で当院に紹介された。CT,超音波検査(以下,US)では幽門前庭部の胃壁から壁外に向かって長さ3㎝の線状陰影を認め,その先端は肝下面の膿瘍に達していた。魚骨による胃穿孔ならびに腹腔内膿瘍の診断で緊急手術を施行した。開腹所見では,胃前庭部小弯から肝下面に膿瘍を認め,排膿後,膿瘍腔内に魚骨を検索したが確認されなかった。そこで胃の前面からUSを行ったところ魚骨は前庭部後壁粘膜下層に迷入していた。胃前壁を切開し後壁内の魚骨を摘出した。本症例では魚骨が胃壁内に迷入していたため,その検索にUSが有用であった。異物の探索には無駄な組織剥離の回避,適切なアプローチ法選択のため,積極的にUSを活用すべきと考えられた。
  • 岩井 直人, 藤井 恒太, 高見 史朗, 若林 直樹
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1363-1367
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,男性。右腎癌に対して腹腔鏡下右腎摘出術を施行された。しかし,術後10日目に腹部膨満感,嘔吐を認め当院受診となった。腹部造影CT検査で前下膵十二指腸動脈瘤と,同部位周囲の血腫による十二指腸狭窄を認めた。緊急血管造影検査を施行し,金属コイルによる経カテーテル的動脈塞栓術(以下,TAE)を施行した。CT検査では,正中弓状靭帯による腹腔動脈の狭窄を認めており膵十二指腸動脈アーケードが発達した状態に,手術操作が加わったことが動脈瘤の原因と推測された。十二指腸の通過障害は血腫の縮小後も持続し経口摂取が可能となるまで50日を要した。十二指腸狭窄は血腫による圧迫以外に,TAEによる十二指腸の虚血性変化の関与が考えられた。膵十二指腸動脈瘤の治療における第一選択はTAEであるが,十二指腸虚血性変化による十二指腸狭窄を考慮すべきである。
  • 渋谷 雅常, 前田 清, 永原 央, 大谷 博, 田中 浩明, 六車 一哉, 平川 弘聖
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1369-1373
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性。皮膚科疾患に対して免疫抑制療法中,呼吸器感染症により播種性血管内凝固症候群を発症した。サイトメガロウイルス感染を含めた混合感染が疑われ抗菌薬治療を開始したが,出血性胃潰瘍に引き続き消化管穿孔を発症し当科へ転科となった。腹部CT検査の結果,S状結腸の腸間膜側への穿通と診断したが,臨床症状や血液検査値の変化が乏しく保存的治療を開始した。しかし転科後5日目より下腹部痛が出現しHartmann手術を施行した。切除標本の免疫組織学的検査の結果,サイトメガロウイルス腸炎による穿孔と診断された。術後は集中治療管理を余儀なくされたが軽快転院した。サイトメガロウイルス感染は免疫抑制状態の患者でしばしば経験するが消化管穿孔を発症することはまれである。今回われわれは免疫抑制療法中に発症したサイトメガロウイルス腸炎による大腸穿孔の1例を経験したので,診断・治療に関する文献的考察を加え報告する。
  • 橋本 昌憲, 羽鳥 慎祐, 岩崎 博幸, 利野 靖, 益田 宗孝
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1375-1379
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    今回,われわれは肺小細胞癌の虫垂転移によって発症した急性虫垂炎の1手術例を経験したので報告する。症例は68歳の男性。肺小細胞癌(T2N2M0stageⅢA)の化学療法のため外来通院中であった。右下腹部痛を訴えて救急外来を受診した。腹部所見では右下腹部を中心に圧痛を認め,圧痛の最強点はMcburny点に一致していた。腹膜刺激症状はみられなかった。腹部CTで虫垂腫大がみられたため,虫垂炎と診断し保存的治療の方針となった。入院後6日目,右下腹部痛の増悪および腹膜刺激症状を認めたため,腹膜炎の併発が疑われ緊急手術となった。開腹所見では,虫垂の先端に腫瘍を認め,その周囲に膿瘍形成がみられた。洗浄ドレナージおよび虫垂切除術を施行した。術後病理組織学的検査で肺小細胞癌の虫垂転移と診断された。術後化学療法を行ったが,3ヵ月後に脳転移で死亡した。
  • 棚橋 俊介, 松友 寛和, 山本 裕崇
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1381-1384
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,男性。意識消失を主訴に当院に救急搬送された。心窩部痛と黒色便を伴い,長期にわたるNon-Steroidal Anti-Inflammatory Drug(NSAID)内服歴があった。プレショック状態にあり,上部消化管出血が疑われて緊急入院となった。入院後に大量吐血を伴うショックとなり,緊急上部内視鏡検査で胃体上部後壁に巨大な出血性潰瘍を認めた。活動性出血で内視鏡的止血は困難であったので緊急手術を行った。胃体部後壁の潰瘍が膵前面に穿通して潰瘍底で脾動脈が破綻していた。胃全摘および膵体尾部切除を行い救命可能であった。脾動脈穿破は胃潰瘍のまれな合併症の一つであるが,致命的な病態であり,手術を含めた迅速な対応が重要であると考える。
  • 清水 健司, 三浦 佑一
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1385-1388
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    症例はアルコール依存症の66歳,男性。腹痛を主訴に受診。急性腹症を疑い腹部CTを施行中に収縮期血圧が50mmHg台に低下した。CTで石灰化を伴う慢性膵炎の所見と膵体部から胃大弯にかけ10cm大の血腫を認めたため,脾動脈瘤破裂による出血性ショックを疑い腹部血管造影検査を施行した。出血部位は脾動脈から分岐する後胃動脈瘤と判明し,脾動脈塞栓術で止血し得た。しかし,その6時間後に再度血圧が低下したため,止血困難であると判断し緊急開腹手術の方針となった。開腹時,膵体部から胃体上部後壁にかけて手挙大の血腫を認めた。膵体尾部・脾臓切除術を行うも胃体部後壁からの出血が制御困難であったため,噴門側胃切除術を追加施行した。本症例のような慢性膵炎を背景とした後胃動脈瘤破裂による出血に対しては,胃切除術も考慮し緊急手術を行う必要があると思われた。
  • 西口 遼平, 進藤 吉明, 石塚 純平, 上野 知尭, 横山 直弘, 齋藤 由理, 田中 雄一
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1389-1393
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,男性。2010年4月に上行結腸癌,腸回転異常症の診断で右半結腸切除術を施行した。2013年10月,慢性腎不全で血液透析導入中に腹痛,腹部膨満感を訴え当科を受診した。発熱,下腹部の圧痛,反跳痛を認めたものの筋性防御は認めなかった。血液検査所見ではアシドーシスや凝固障害は認めなかった。腹部CT検査で小腸の拡張および液体貯留を認め,癒着性イレウスと診断した。保存的加療で経過観察していたが,症状が増悪したため緊急手術を施行。下行〜横行〜上行結腸間膜,小腸間膜,後腹膜に連続する袋状の膜様構造物が形成され,その中に小腸が嵌頓しており,abdominal cocoonによる内ヘルニアと診断した。膜様構造物を切除し小腸を解放したが小腸壊死を認めなかったため小腸は温存可能であった。abdominal cocoonによる内ヘルニアの1例を経験したので報告する。
  • 田中 克仁, 横山 裕之, 平田 伸也, 中西 香企, 森 憲彦, 園原 史訓, 谷口 健次
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1395-1399
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    症例は開腹歴のない49歳の女性で,腹痛を主訴に近医を受診し,腸閉塞の疑いで当院へ紹介となった。腹部単純X線検査で小腸の著明な拡張と鏡面形成像を認め,腹部CT検査では,Douglas窩に腹水が貯留し,S状結腸の背側でclosed loop状の小腸拡張を認めた。S状結腸間膜に関連した内ヘルニアによる絞扼性イレウスを疑い,同日緊急手術を施行した。開腹するとS状結腸間膜窩に回腸末端から210cmの小腸が約5cm嵌入しており,S状結腸間膜窩ヘルニアと診断した。用手的に整復後腸切除はせずヘルニア門を縫合閉鎖し手術を終了した。術後経過は良好で術後8日目に退院した。S状結腸間膜窩ヘルニアはS状結腸間膜と後腹膜との癒合不全部に腸管が嵌入する内ヘルニアであり,まれな疾患である。腹部CTが診断には有用で,本疾患を念頭に早期に診断し手術を行うことにより腸管の切除を回避できる可能性があると思われた。
  • 大竹 玲子, 山口 剛, 貝田 佐知子, 村田 聡, 山本 寛, 河野 直明, 清水 智治, 仲 成幸, 谷 徹
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1401-1404
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,男性。心窩部痛を主訴に近医受診,上部消化管内視鏡検査で進行胃癌を認め,当院紹介となった。腹部造影CTで胃原発巣の膵頭部浸潤と大動脈周囲リンパ節転移を認め,LD,Type3,T4b(Panc),N3b,M1(LYM),cStage IVと診断した。根治的切除不能であるため,TS-1+CDDPによる化学療法を開始したところ,第7病日に吐血,当院に救急搬送された。緊急上部消化管内視鏡で胃前庭部の胃癌からの出血を認めたが完全に止血できず,輸血療法や止血剤投与等施行したが出血が続くため,動脈塞栓術(以下,TAE)を施行した。TAE施行後再出血および貧血の進行は認めず退院した。TAE後化学療法を計14コース施行,TAE後18ヵ月に原病死となった。本症例において,TAEが膵頭部浸潤を伴うStageIV胃癌の出血コントロールに有用であり,患者の予後延長に寄与したと考えられた。
  • 今 裕史
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1405-1408
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    症例は84歳の女性。末期腎不全のため他院で11ヵ月前より外来維持透析を受けていたが腹痛,嘔吐を主訴に当院救急外来受診し入院となった。翌日,白血球数,CRPが著増したため腹部CTを施行,横行結腸の宿便と腹腔内遊離ガス,腸管外の便塊を疑わせる所見を認めたため宿便性大腸穿孔の疑いで緊急手術を行った。術前に穿孔部の同定が困難であったため,まず,臍部より腹腔鏡を挿入し腹腔内を観察したところ,横行結腸脾彎曲部付近に便の漏出を認めたため上腹部に開腹創を拡げ,穿孔部を縫合閉鎖し洗浄ドレナージを施行した後,口側横行結腸にストマ造設を行った。術後はおおむね良好に経過し93日目に転院となった。診断的腹腔鏡により穿孔部を同定できたことにより過大侵襲を回避することができ良好な結果が得られた。
  • 渡邊 裕樹, 当間 雄之, 成島 一夫, 大平 学, 宮内 英聡, 鈴木 一史, 西森 孝典, 松原 久裕
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1409-1412
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    症例は40歳代,女性。大学生の頃から下痢と便秘を繰り返し腹部の張りを自覚。2013年5月に下腿浮腫を主訴に前医受診。Alb 2.5,Hb 8.9と低値で当院紹介。蛋白漏出性胃腸症の疑いで内科治療を行うも改善なく緊急入院。造影CTで終末回腸壁肥厚と口側小腸の拡張を認め小腸閉塞症と診断された。イレウス管造影で終末回腸に4cm長の狭窄を,内視鏡で縦走潰瘍瘢痕を伴う全周性狭窄を認めた。Crohn病が疑われたがバルーン拡張術は困難で手術適応と判断された。手術は4ポートで腹腔鏡補助下に行った。回盲部を剥離授動し回腸部分切除術を施行。術後経過はおおむね良好であった。病理検査で縦走潰瘍に類上皮肉芽腫はなくCrohn病は否定的で,口側に存在した内膜症が潰瘍形成に関与したと推察された。腹腔鏡手術により診断的治療を行ったが,整容性に加えて腹腔内観察が可能な点でも有用と思われた。
  • 田邉 三思, 柴田 智隆, 野口 剛, 平塚 孝宏, 赤木 智徳, 岩下 幸雄, 石井 圭亮, 猪股 雅史, 北野 正剛
    2014 年 34 巻 7 号 p. 1413-1417
    発行日: 2014/11/30
    公開日: 2015/02/27
    ジャーナル フリー
    循環動態の安定化および総出血量の減少に大動脈遮断バルーンカテーテル(intra-aortic balloon occlusion:以下,IABO)が有用であった外傷性腹腔内出血の2例を経験したので報告する。症例1は59歳,男性。交通外傷で当院搬送となった。脾損傷による腹腔内出血を認め,緊急開腹止血術を必要としたが,循環動態が不安定であり,救急外来で手術を施行した。術前にIABOを挿入し,術前から止血完了まで循環動態安定させることができた。症例2は70歳,女性。交通外傷で当院搬送となった。腸管損傷および腸間膜損傷に伴う腹腔内出血を認め緊急開腹止血手術を行う方針とした。IABOを予防的に挿入し,術中に循環動態が不安定となったため,大動脈遮断により循環動態を安定化させ手術を終了できた。
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