本研究は,静止画を提示しながら学習を進める場合,提示様式の違いが,内容理解に影響するかどうかについて検討した。具体的には,[一覧提示]と[連続提示]の2つの提示様式を設定し, 73名の中学生を対象に,「水洗トイレタンクの仕組み」を学習する場面を実験的に構成し,学習後の理解を測定した。その結果,提示様式の違いは,用語再生など,低次レベルのテキスト理解には影響しないが,推論導出などの,高次レベルのテキスト理解に影響することが示された。また,中学生のなかでも,特に効率的な情報処理が困難な学習者の場合,連続提示が促進的に機能することが明らかになった。以上より,文章が示す状況モデルを自発的に構築することが不得手な学習者にとっては,連続提示様式が有効であることが示唆された。
抄録全体を表示