本研究では,演劇部の高校生による地球温暖化問題をテーマとした演劇制作過程における,ロールプレイング型学習の効果と問題点を明らかにした。一般的なアンケートとコンセプトマップを併用し,学習の期間中と期間後に調査を行って,被験者の意識の変容を把握した。演劇制作によって触発された温暖化に対する興味関心や,学習によって培われた温暖化に関するイメージは,学習期間終了後も長く持続した。そして更なる自発的な学習や情報の収集にも繋がり,思考が一層深まっていった。ロールプレイング型学習では,自己の体験を伴った学習によって学んだ内容が深く意識に刻まれ,効果的で持続的な教育効果をもたらしたと考えられる。一方で,一旦間違って認識された知識は,学習終了後に修正するのが困難であるため,陥りやすい間違いや思い込みを事前に把握したうえで,学習期間中に確実にフォローする工夫が重要である。
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