教育メディア研究
Online ISSN : 2424-2527
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28 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 佐藤 洋希
    2021 年 28 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/29
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,日本放送協会大阪中央放送局によって担われた学校放送創始期(1933-35年)に青年向け教育放送の聴取形態として推進されていた団体聴取が,学校放送の議論に接続する論理を西本三十二の論考に着目して紐解いていった。このことにより,放送局が集団的な聴取形態の定着を図る過程において,学校放送は,児童に団体聴取での振る舞いを経験・獲得させる放送種目として位置付けられていたことが明らかとなった。
  • 村井 明日香, 宇治橋 祐之, 浅井 亜紀子, 齋藤 玲, 堀田 龍也
    2021 年 28 巻 1 号 p. 13-31
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/29
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,テレビ・ドキュメンタリーが現実をいかに再構成(リプレゼンテーション)するかに関して,番組制作者と大学生の意識や態度の違いを調査により明らかにし,テレビ・ドキュメンタリーのリテラシーを育成する際に重視すべき点について検討を行った。調査の結果,番組制作者は大学生よりも,テレビ・ドキュメンタリーについて,1)取材する題材選びで視聴者や物語性が考慮され,2)何かの題材を放送しないのは取材対象者との関係が影響しているという意識が高く,3)現実を再構成したものであり,公平・中立は難しいという意識も高く,4)取材対象者にはたらきかけを行う撮影手法を容認する傾向があることが明らかになった。これらの結果から,テレビ・ドキュメンタリーのリテラシー育成において,メディアは現実を再構成しているというメディア・リテラシーの基本的概念,ニュースとの類似点,公平・中立を実現する手順の難しさ,番組制作者と取材対象者の関係,表現手法の5つの点について理解を促すことが重要であることが示唆された。
  • 活用研修のデザインに向けて
    森山 潤, 和田 直久, 殿岡 貴子, 徳島 祐彌, 阪上 弘彬, 永田 智子
    2021 年 28 巻 1 号 p. 33-44
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/29
    ジャーナル オープンアクセス
    学習者用デジタル教科書の普及・活用のための教員研修デザインに向けて,学習者用デジタル教科書の機能に対する教員の活用期待を構造的に把握した。小・中学校教員計1,264名を対象に,学習者用デジタル教科書の計25機能に対する活用期待を調査し,因子分析を行った。その結果,F1「付加的な情報アクセス・制御機能」,F2「紙面の視認性向上機能」,F3「紙面への書き込み機能」,F4「文章読み上げ機能」の4因子が抽出された。抽出された因子のうち,指導者用デジタル教科書の使用経験がある教員はF4の水準が,小学校教員は中学校教員よりF2,F4の水準がそれぞれ高かった。
  • 久保田 真弓, 鈴木 有香
    2021 年 28 巻 1 号 p. 45-57
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/29
    ジャーナル オープンアクセス
    コロナ禍で急遽要求されたオンライン授業に不慣れな教員等を対象にZoom利用に関するワークショップが実施された。そこで本研究では,参加者の躓き要因をデザイン原則の観点から明らかにし,ワークショップの意義を提案する。異文化コミュニケーション学会が開催した1回2時間の初級(2回),中級(3回)の合計5回のワークショップを取り上げ,延べ参加者62名の躓き要因とデザイン原則との関連を分析した。ワークショップの内容は,初級レベル14項目,中級レベル12項目ある。そのうち,参加者の躓き要因は,「シグニファイア」,「制御感」,「想定外」,「重層構造」にまとめられた。「シグニファイア」による躓きは,記号や用語の使用方法であり,的確なフィードバックで解決する。一方,「制御感」「想定外」「重層構造」による躓きは,ユーザーの概念モデルの多様化が背景にあると考えられた。デザイナーが示すシステムイメージの変化にユーザーの利用習慣がついていけないのである。そこで,ワークショップでファシリテーターが参加者の潜在意識のレベルでの違和感を見抜き躓きに対応することで,デザイナーとユーザーの概念モデルのギャップを縮めることができることを提案した。
  • 島 智彦, 渡辺 雄貴, 伊藤 稔
    2021 年 28 巻 1 号 p. 59-72
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/29
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,協同学習を取り入れた同期遠隔授業を行うことで,生徒の協同作業に対する認識が変化するか検討することを目的とする。COVID-19による一斉休校の2020年5月,中学1年生191名を対象とする数学の授業において,まず,同期遠隔授業に慣れるため講義を中心とする同期遠隔授業を3回,その後,講義に協同学習の基本技法を取り入れた同期遠隔授業を3回実施した。結果,講義に協同学習の基本技法を取り入れた同期遠隔授業の期間を通して,個人志向因子の低下と有意傾向ではあるが互恵懸念因子の低下という点で,協同作業に対する認識が肯定的に変化した。さらに,同期遠隔授業に慣れるために行った講義を中心とする同期遠隔授業の期間を通しても,個人志向因子の低下という点で,生徒の協同作業に対する認識が肯定的に変化した。以上より,教室での対面授業が行えない状況下においては,講義に協同学習の基本技法を取り入れた同期遠隔授業はもとより,講義を中心とする同期遠隔授業においても生徒の協同作業に対する認識が肯定的に変化する可能性が示唆された。
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