日本救急看護学会雑誌
Online ISSN : 2189-6771
Print ISSN : 1348-0928
ISSN-L : 2189-6771
17 巻, 1 号
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  • 田口 豊恵, 宮崎 喜久子
    2015 年 17 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    Immediate Cardiac Life Support(以下、ICLS)は、医療従事者のための蘇生トレーニングコース(以下、コース)で、日本救急医学会では一定の基準を満たしたコースに対してコース認定を行っている。本研究の目的は、コースに参加した慢性期疾患患者が多い病棟に勤務する看護師の急変時対応に対する認識が受講後にどのように変化したのかを質的帰納的研究手法を用いて模索することである。研究対象者は、コース受講後1年未満の看護師10名である。インタビューで得たデータは、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ法を用いて分析した。その結果、23の概念と「チームワークの重要性」、「心臓マッサージが印象的」、「知識・技術の習得」、「急変への備え」、「講習会をきっかけとした自己学習」、「急変時のイメージ化」という8つのカテゴリーが生成された。研究対象者はコース受講後、2 〜9 カ月が経過していたが、急変や心肺蘇生法(Cardio-pulmonary resuscitation : 以下、CPR)に対する態度や姿勢の変化が持続していた。慢性期病棟では、患者の急変やCPRを実施する機会が少ない。それゆえに、卒後教育には、患者の安全や命を守るための急変時の対応に対する適切かつ正確な知識の修得と技術習得に向けたICLS コースのような継続教育が必要であることが示唆された。
  • 中井 夏子, 中村 惠子, 菅原 美樹
    2015 年 17 巻 1 号 p. 9-21
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    救急看護師が外傷看護実践において重要視している看護を明らかにすることを目的に、5年以上の実務経験がある救急看護師9名に半構成的面接を行った。面接内容は基本的属性と対象者が経験した外傷患者の看護実践などで構成し、分析は質的記述的研究法を用いて行った。結果、【病態予測に基づく最悪の事態に備えた準備】【受傷部位の重点的な観察と全身観察を兼備した専門的な観察】【診療の進行に沿いつつ主体的な判断に基づいた行動】【患者のニードの把握と代弁者としての関わり】などの外傷患者への看護実践12カテゴリ、【家族の心理プロセスに沿った情緒的支援】【家族がもつ患者像のイメージを維持する援助】【患者・家族の今生の別れとなる対面の機を逃さない関わり】などの外傷患者の家族への看護実践8カテゴリ、【喧騒した診療の場で円滑な進行を行うための役割分担】【多職種とのコミュニケーションと人間関係の構築】などの外傷医療チームにおける看護実践4カテゴリが抽出された。これらは、搬入前から社会復帰までの時間軸で構成されており、外傷初期の場面における看護実践と外傷初期以後から社会復帰に向けた場面における看護実践、外傷初期から社会復帰に向けた場面まで継続された看護実践の3つの局面に区分された。以上より、救急看護師が外傷看護実践において重要視している看護の全体像が具象化され、外傷看護独特の看護の特徴として、患者像のイメージを維持し家族の心的外傷に配慮するなどの家族ケアが見出された。
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