日本救急看護学会雑誌
Online ISSN : 2189-6771
Print ISSN : 1348-0928
ISSN-L : 2189-6771
17 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 船木 淳, 深谷 智惠子
    2015 年 17 巻 2 号 p. 1-11
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    【はじめに】2001年から救急医療用ヘリコプターによるプレホスピタルでの救命救急活動が本格的に開始となったが、日本ではフライトナースの看護実践の歴史が浅く、フライトナースに焦点をあてた研究は少ない。 【研究目的】フライトナースの経験の語りをもとにフライトナースの看護実践を明らかにし構造化すること。 【研究方法】質的研究。フライト回数90回以上のフライトナース13名へインタビューを行ない、質的統合法(KJ法)を用いて分析した。その後フライトナースの看護実践を図解化・叙述化した。 【結果】インタビューから2,831枚のラベルが抽出された。最終的に「一刻でも早く現場に向かい病院まで命を繋ぐ ミッション」、「患者・家族に対する看護の保証」、「プレホスピタルのマネジメント」、「フライトナースと救急看護師の協働」など10枚(表札)の看護実践が導かれた。 【考察】フライトナースはプレホスピタルにおける患者・家族の危機的状況回避に繋がるニーズの充足を第一に考え実践を行っている。そして、フライトドクター、救急隊、運航クルーなどの各専門職と円滑な協働体制を築き、患者・家族を中心とした治療チームを作り上げるマネジメントが実践されていた。このようなフライトナースの実践が、患者・家族のニーズの充足となる看護の保証に繋がっていると考えられる。そのため、フライトナースはプレホスピタルにおけるスキル・ミクスのキーマンとして重要な実践を担っているといえる。
  • 吉田 紀子, 中村 美鈴
    2015 年 17 巻 2 号 p. 12-23
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
  • 佐竹 陽子, 新田 紀枝, 浦出 紗希
    2015 年 17 巻 2 号 p. 24-34
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は、三次救急外来における終末期患者の家族に対する熟練看護師の観察・アセスメント・援助技術に焦点を当てて明らかにし、看護実践の特徴を検討することである。三次救急看護に従事する熟練看護師7名を対象に三次救急における終末期患者の家族に対する看護実践について半構造化インタビューを行い、質的記述的に分析し、以下の結論を得た。 熟練看護師は三次救急外来における終末期患者の家族に対する看護実践として、【患者の病状と経過】を観察し、その後の援助の方向性を決定する【患者の予後】をアセスメントしていた。また、【家族の情緒的反応】から【家族の感情とその程度】を評価していた。【家族の理解度】からは、その理解を家族がどう捉えているかという【家 族の認識】を評価していた。またさらに、介入できる時間がごく短時間であっても【家族の資源】をとらえ、【家族が発揮できる力】を評価していた。援助技術としては、【患者に最善を尽くす】ことを前提に、【家族に寄り添う】一方で、【看取りの場を作る】【家族のもつ力を支える】援助を行っていた。
  • 谷島 雅子, 中村 美鈴
    2015 年 17 巻 2 号 p. 35-44
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は、救急領域で終末期を考える際に、Do Not Attempt Resuscitationが選択または決定がなされ亡くなる患者が多いことに着眼し、救急領域における看護師が認識するDNARと、DNARと認識された患者の家族に対する看護実践を明らかにし、今後の看護支援を検討することとした。 研究方法は、質的記述的研究デザインとし、インタビューガイドを作成、同意の得られた3施設の看護師10名に半構造化面接法を用いた。得られたデータは、Klaus Krippendorffの内容分析を参考に分析した。 結果、看護師10名(女性8名、男性2名)より得られたデータからの分析は、DNARの認識に関しては、6カテゴリ、看護実践に関しては、8カテゴリが見出された。 看護師が認識するDNARは、医学的見地からの認識、家族の様相からの認識、看護の視点からの認識の3つの要素が相互に影響していたと考えられる。家族に対する看護実践において、【突然の入院による家族の心情を考え、待機している状況を把握し休息が取れるように調整する】、【生命維持困難な患者のケアを家族のペースで参加できるように配慮する】、【短期間で死を迎える家族が、患者との最期の時間を過ごす環境を整える】は、入院後DNARと認識された患者の家族に対して行われる特徴的な実践内容と考えられる。 今回の調査で抽出された実践内容は、DNARが選定された患者の家族に対して、どれも重要な看護実践であり、今後も継続していく重要性が示唆された。
  • 準実験研究による分析
    石川 幸司, 中村 惠子, 菅原 美樹
    2015 年 17 巻 2 号 p. 45-55
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】本研究は、シミュレーション学習がフィジカルアセスメント能力を向上させる有効な学習方法であるか検討することを目的とする。 【方法】臨床経験年数が2年目の看護師11名を対象とし、無作為に実験群5名、対照群6名に分類した。シミュレーション学習は合計4回の介入プログラムとし、急性心不全患者をフィジカルアセスメントするシナリオで、高機能シミュレータを用いた。フィジカルアセスメント能力はデータ収集開始時と終了時にOSCEで評価し、その結果を分析した。 【結果】実験群は開始時OSCEで30.7±5.2%、終了時74.9±7.5%と有意に得点率は向上したが(p<.01)、対照群は開始時26.5±12.1%、終了時22.0±7.6%と有意な変化はなかった。実験群はシミュレーションにおける振り返りで学習効果を実感していた。さらに、反復した学習によって、複合的なアセスメントができるようになり、そのアセスメントから事例へのケア項目が確実に実施できるようになっていた。 【考察】実験群の学習効果は、シミュレーション学習を反復したことによって得られ、知識や技術を臨床現場での経験と統合させることにもつながり、フィジカルアセスメント能力の向上に寄与していた。 【結論】本研究において実施したシミュレーション学習は、フィジカルアセスメント能力の向上に有効な学習方法であることが示唆された。
  • 加藤 茜, 田戸 朝美, 山勢 博彰
    2015 年 17 巻 2 号 p. 56-66
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、クリティカルケア領域において死別経験をした家族が、どのような故人の死の意味づけを行っているのか明らかにすることを目的とした。方法は、救命救急センターまたは集中治療室で死別経験をした16名の家族を抽出し、複雑性悲嘆を示さない8名から死別2〜3カ月後に半構成面接を実施しデータを収集した。分析は、ライフストーリー分析を参考に質的帰納的に行った。語られたライフストーリーから〔故人自身の死の認知〕〔故人への関わり〕〔代理意思決定経験の捉え方〕〔医療に対する信頼〕〔他者の視点〕〔死別への思い〕の6カテゴリーが抽出された。家族は、過去を振り返りながら、さまざまな場面のなかに〔故人自身の死の認知〕を見出していた。そして、〔故人との関わり〕に達成感や心残りを抱いていた。家族の〔代理意思決定経験の捉え方〕はさまざまであるが、決断には医療者の提案が強く影響しており、同時に、〔医療に対する信頼〕を抱いていた。家族が故人の「死」を評価するには、〔他者の視点〕という日本人の死生観が影響していると考えられる。家族は、さまざまな〔死別への思い〕を抱きながら、死の意味づけを行っている。そして、死別後もさまざまな場面に故人とのつながりを見出している。遺族は、各カテゴリーを統合しながら、故人との歴史を振り返り、評価した結果として死の意味づけを導き出すと考えられる。
  • 鈴木 ゆか, 城丸 瑞恵
    2015 年 17 巻 2 号 p. 67-75
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/04/05
    ジャーナル オープンアクセス
    クリティカルケア領域において患者の命に関わる気管チューブの自己抜管予防は重要課題である。しかし自己抜管体験者としての看護師に生じる感情、行動などに着目した研究は十分ではない。本研究では自己抜管を体験した看護師が抱いた感情、さらにその後の行動変化について明らかにすることを目的とした。関東圏内A病院のクリティカルケア領域の看護師7名に半構造化面接を行い分析した。 その結果、自己抜管を体験して起こった感情として、【自己抜管事例を体験した衝撃と恐怖】、【自己抜管事例を起こした自分に対する不信感】、【自己抜管予防は不可能という感情】、【患者は信じてはいけないという感情】の4カテゴリーが生成され、自分と患者・スタッフに対して不信・怒り・諦念などの感情を抱くことが明らかになった。体験した自己抜管事例に対する問い直しとして【援助の適切さに対する自分自身の問い直し】、【他者からの言葉による問い直し】、【仕事環境に対する問い直し】、【自己抜管原因を探求した問い直し】の4つが生成され、実施した援助の問い直しを行うことで、体験を消化する過程がみられた。自己抜管事例体験後の行動変化として、【予防に重点をおいた援助への変化】、【アセスメントする視点の変化】、【チームで協力しようとする行動への変化】の3つが生成された。研究参加者は一連の過程を通して多くの学びを得たことが伺われ、リフレクションが有用である可能性が示唆された。
feedback
Top