本研究は、三次救急医療機関におけるエンゼルケアとグリーフケアに関わる看護師の精神的負担とその対処法を調査し、看護師がエンゼルケアやグリーフケアを行いやすいサポート体制の課題を明らかにすることを目的とした。
対象者は近畿圏7施設で勤務する管理職を除く看護師20名で、郵送によるアンケート調査を実施した。
調査内容は背景、設定した場面でのエンゼルケアとグリーフケア実施時のつらさの程度、つらかった体験、精神的負担の対処法、看護師へのサポートの要望であった。つらかった体験、対処法および看護師へのサポートの要望は自由記載を求めた。分析方法は、設定場面でのエンゼルケアとグリーフケア実施時のつらさの程度を2 群で比較し、家族と共に行うエンゼルケアの場面と対象者の背景をクロス集計し、自由記載は質的帰納的分析を行った。結果、エンゼルケアをつらいと感じる場面は家族と共に行う死後のケア、お見送りであり、グリーフケアでは死亡宣告、家族と共に死後のケアを行う、お見送りをつらいと感じていた。
看護師のみでケアを行う場面は、つらいと感じる看護師が半減した。家族と共に行うエンゼルケアは、女性、20歳代、看護経験10年未満、同居者がいない背景をもつ看護師がよりつらく感じていた。つらかった体験は、子どもや若い人の死や遺族に対するケアの心残りが多く、精神的負担の対処法は、前向きに考え次のケアにつなげる、スタッフとの会話によるストレス軽減、時間経過のなかで気持ちが安定するなどであった。看護師へのサポートの要望は、エンゼルメイク道具の充実、遺族サポートの充実、ケアの技術指導と支援、グリーフケアでの多職種連携であった。
エンゼルケアを含めたグリーフケアの看護支援には、現場のスタッフが直面している問題の把握、マンパワー、救急医療の場の看取りの教育、スタッフ間のコミュニケーション促進、看護の困難さの共有など、多岐にわたるサポート体制づくりが課題と考える。
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