会計教育研究
Online ISSN : 2758-2132
Print ISSN : 2188-5575
最新号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
目次
統一論題報告「SDGs 関連開示情報の会計教育」
  • 梶原 太一
    2025 年13 巻1 号 p. 13_2-13_9
    発行日: 2025/06/01
    公開日: 2025/08/19
    ジャーナル フリー

    本スタディ・グループは,SDGsに関連する開示情報(SDGs-related information)を取り扱う会計教育の学習内容や学習方法の実態調査等を通して教育上の成果や問題点を探り,将来の会計教育にどのような対応や変化が求められるのか,といった点を解明することを目的として活動してきた。本稿では,本共同研究の総括として取りまとめた最終報告書の内容を紹介するとともに,現在のSDGs会計教育の到達点と今後の展望を示す。SDGs会計教育の現行の教育実践,ならびに,“人々の生活に与える影響”を射程としたSDGs関連開示情報の制度化(TISFD等)の今後の展開は,伝統的に継承され自明のものとして教師が教えてきた会計学の教育内容や,学習者が所与の学習範囲の中で学んできた会計学の学習内容について,SDGsのレンズを装着した視角からの再解釈や新解釈を見出していく自己調整型の学習を,学習者と教師の双方に求めるものである。

  • ―GTA による質的研究―
    大槻 晴海, 市川 紀子
    2025 年13 巻1 号 p. 13_10-13_17
    発行日: 2025/06/01
    公開日: 2025/08/19
    ジャーナル フリー

    本稿は,本学会スタディ・グループ「SDGs関連開示情報の会計教育」(代表者・梶原太一)における調査研究の一環として,わが国の大学におけるSDGs会計教育の学習内容や学習方法の実態を探り,現時点での問題点や将来の会計教育に求められる対応や変化を明らかにすることを目的として実施したインタビュー調査に基づく質的データ分析結果をまとめたものである。本稿の結論では,領域の狭さや視点の少なさが,現時点でのわが国の大学におけるSDGs会計教育の問題点であり,将来のSDGs会計教育に向けて領域や視点を拡大していくという観点が,大きな可能性を秘めているということを示唆している。

  • 仲尾次 洋子, 朱 愷雯
    2025 年13 巻1 号 p. 13_18-13_24
    発行日: 2025/06/01
    公開日: 2025/08/19
    ジャーナル フリー

    本研究では,沖縄県の商業高校を対象として,会計教育実践におけるSDGsに関連する学習方法や学習内容および課題について調査し,会計教育にどのような対応が求められるのかについて考察した。教員のインタビューや受講生のアンケート調査のテキストマイニング分析を踏まえると,SDGs教育を会計科目に導入する可能性として,非財務情報の開示に関する授業設定や原価計算におけるコスト削減の考え方が挙げられた。現在,商業高校では会計科目にSDGsの要素を組み込んだ取り組みは確認されていない。しかし,今後の会計実務では非財務情報を適切に分析し,経営判断に活かす力が求められる。したがって,商業課程においても,SDGsやESGの視点を組み込んだ学習を導入し,企業会計の変化に対応できる人材育成が重要である。

スタディ・グループ中間報告
  • 山根 陽一, 髙橋 円香, 鈴木 和哉
    2025 年13 巻1 号 p. 13_25-13_31
    発行日: 2025/06/01
    公開日: 2025/08/19
    ジャーナル フリー

    企業不祥事が絶えない。企業不祥事が起きるたびに規制は強化されているが,その規制を掻い潜るようにまた次の不祥事が起きている。不祥事の原因を規制強化で補うことは,社会制度において不可欠であるが,不正を事前に防ぐには,当事者の倫理を養うことが肝要である。本スタディ・グループでは,会計倫理教育とは,倫理的な会計行為を行う素地を身に付けさせる教育と定義し,会計行為を行う当事者が倫理的ジレンマに直面した際に,反倫理的行動を防止するための教育について検討を行うこととした。会計倫理教育は,会計プロフェッションを養成する会計大学院においてカリキュラムとして設定されているが,会計に携わるのは必ずしも会計プロフェッションだけではなく,会計不正は現場の会計行為に端を発している。現場の会計行為における倫理の実践が本スタディ・グループの問題意識である。中間報告では,今後の課題を考える材料として,現状について調査した。

教育実践研究
  • ―会計等式分析とマトリクス・アプローチ―
    林 健治
    2025 年13 巻1 号 p. 13_32-13_39
    発行日: 2025/06/01
    公開日: 2025/08/19
    ジャーナル フリー

    純利益は企業活動の長期的な成否を測る指標であるが,血液にたとえられるキャッシュ・フローなくして企業は存続できず,企業規模の大小を問わずキャッシュの管理は不可欠である(Kieso et al.(2020)p. 5-21)。企業の1会計期間における収支状況を表すキャッシュ・フロー計算書は,財務会計に関するカリキュラムのうち,最も重要なトピックの一つであると言える。財務会計論・国際会計論の標準的和文テキストにおいて,キャッシュ・フロー計算書は発生主義に基づく貸借対照表,損益計算書の後で説明されるが,その作成方法・意義の理解は困難であると述べる学生も少なくない。本稿では,英文ジャーナルなどに掲載された海外の会計教育論文の研究成果を援用し,キャッシュ・フロー計算書に関する初学者向けの平易な教材作成と教育指導法の改善を試みる。会計等式,仕訳,T勘定,マトリクス・アプローチを活用し,基本財務諸表の連携も考慮した設例が示される。

  • 福山 倫基
    2025 年13 巻1 号 p. 13_40-13_48
    発行日: 2025/06/01
    公開日: 2025/08/19
    ジャーナル フリー

    単純作業となりがちな試算表作成演習に対しシステム化の要素を取り入れることにより,受講生の学習観がどのように変容するのか検証を行った。結果,システム化の要素を取り入れた学生群は認知主義的学習観の要素が高い結果となった。一方,集計作業メインの試算表作成を行った学生群は,非認知主義的学習観の要素が高い結果となった。これらの結果より,定量的な情報作成を行うことが多い会計学教育の演習に対し,演習内容に対しシステム化の要素を取り入れることにより,大学の教育内容を学ぶ学習観を形成させる一要因になることを検証した。また,発展可能性として入門期の段階で仕訳データを使った多様な情報作成の講義を行うための基礎が形成されたと考えられるため,定量的な情報作成を行う関連の講義に対して認知主義的学習観の要素が高い状態で転移する可能性があるといった教科間における教育効果の転移が生じる可能性の示唆を得た。

  • 村上 敏也
    2025 年13 巻1 号 p. 13_49-13_59
    発行日: 2025/06/01
    公開日: 2025/08/19
    ジャーナル フリー

    本研究では,社会人を対象とした会計科目の授業アンケートを活用し,生成AIを用いて受講者の満足度の最大化に影響する要因を探索した。特に,自由記述の定性データに注目し,トピックモデル分析と生成AIによるテキスト分析を組み合わせ,授業者の負担が少ない効率的で簡便な分析手法を探索・実践した。生成AIによるテキスト分析では,インストラクショナルデザインの理論から問題点を抽出した。
     分析の結果,時間配分,基礎知識の不足,グループワークの進め方などが共通して問題の要因として抽出された。これらの結果から,講義内容のボリューム削減や基礎知識のフォローなど,具体的な授業改善策が示唆された。本研究の結果は,生成AIが会計教育の分野におけるアンケート分析にも有効であることを示唆しており,今後の教育改善に貢献する可能性がある。ただし,生成AIの利用には,出力結果の信頼性や再現性など,検討すべき課題も残されている。

編集後記
feedback
Top