純利益は企業活動の長期的な成否を測る指標であるが,血液にたとえられるキャッシュ・フローなくして企業は存続できず,企業規模の大小を問わずキャッシュの管理は不可欠である(Kieso et al.(2020)p. 5-21)。企業の1会計期間における収支状況を表すキャッシュ・フロー計算書は,財務会計に関するカリキュラムのうち,最も重要なトピックの一つであると言える。財務会計論・国際会計論の標準的和文テキストにおいて,キャッシュ・フロー計算書は発生主義に基づく貸借対照表,損益計算書の後で説明されるが,その作成方法・意義の理解は困難であると述べる学生も少なくない。本稿では,英文ジャーナルなどに掲載された海外の会計教育論文の研究成果を援用し,キャッシュ・フロー計算書に関する初学者向けの平易な教材作成と教育指導法の改善を試みる。会計等式,仕訳,T勘定,マトリクス・アプローチを活用し,基本財務諸表の連携も考慮した設例が示される。