選挙研究
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26 巻 , 1 号
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  • 小宮 京
    2010 年 26 巻 1 号 p. 5-13
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/05/08
    ジャーナル オープンアクセス
    2009年9月,1955年の結成以来,ほぼ政権の座にあり続けた自由民主党の一党優位体制が崩壊し,民主党を中心とした鳩山由紀夫内閣が発足した。政治報道も変化した。とりわけ派閥という存在は,従来の自民党政権と,新しい民主党政権の断絶あるいは連続性を考える上で,興味深いテーマである。本稿は,この問題を考える前提作業として,自由民主党における非公式組織である派閥の機能について歴史的に検討する。その際,総裁選出過程における派閥の役割を,1920年代,1945-55年,1955年以降の三つの時代に分けて, 分析した。その結果,派閥のあり方を規定したのは,第一に,大日本帝国憲法や日本国憲法のもとでの運用,第二に,総裁選出方法との強い関連が明らかにされた。そして,派閥は,非公式の組織でありながら確固たる存在となったことが判明した。
  • 吉野 孝
    2010 年 26 巻 1 号 p. 14-25
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/05/08
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿の目的は,アメリカ連邦公職選挙における選挙-政党組織関係の変化を分析し,その特質を解明することにある。同国の連邦公職選挙では,1950年代に至るまで,集票が固定的人間関係に基づいて行われ,政党機関が選挙運動をコントロールした。1960代にテレビの利用がはじまると,党大会の運営と選挙戦略の立案においてメディア専門家が全国委員長に取って代わった。1970年代以降,世論調査,メディア広告,ダイレクトメールなどの選挙運動手段が発達し,選挙コンサルタントが登場すると,候補者は自身の選挙運動組織を形成し,政党組織は周辺に追いやられた。1980年代に豊かな資金を背景に全国政党機関が選挙運動の表舞台に復帰したものの,2000年代になると,候補者はインターネットを用いて直接的な選挙民への到達を試みた。要するに,新しい選挙運動手段に対応する過程で,政党組織は選挙運動の重要な役割を喪失してきた。
  • リーダーシップを生み出す構造と個性の相克
    上神 貴佳
    2010 年 26 巻 1 号 p. 26-37
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/05/08
    ジャーナル オープンアクセス
    政治的リーダーシップとは,個人的な資質から生まれるものなのか,それとも構造に依拠するものなのか,いずれが正しいのであろうか。日本においても,小泉首相が発揮した(とされる)強力なリーダーシップをめぐって,政治改革や行政改革など,制度的な要因の帰結なのか,「ポピュリスト」的なスタイルの産物なのか,様々な議論がある。本稿も同様の問題意識に立ち,二つの要因の役割について考察する。具体的には,自民党総裁選における党員投票を分析の対象とする。党員投票とは,党内民主主義を促進するための制度であるだけではなく,党首が指導力を発揮するために必要な政治的エネルギーを調達するための装置でもある。そこで,選挙制度改革が党員投票を伴う総裁選の常態化をもたらすメカニズムを検証し,構造的な変化と政治家の個性が果たす役割について,インプリケーションを得ることを目標とする。
  • 辻 陽
    2010 年 26 巻 1 号 p. 38-52
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/05/08
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は,1955年から2007年の日本の知事選挙を題材として,政党の中央地方関係における凝集性の変化を見たものである。1990年代の衆議院議員選挙制度改革は政党の凝集性を高める方向に,同年代の政界再編と2000年に施行された地方分権改革は政党の地方組織の自律性を高める方向に,それぞれ作用したと考えられるが,実際に確認できたのは1990年代以降の政党の地方組織の自律性の高まりであった。1980年代以降の社会党と同様に,1990年代国政レヴェルでは自民党と対決姿勢を示していた新党のいずれもが,多くの知事選挙で自民党と同一候補を推していた。また,2000年代に入る前後からは,地方政党組織が独自に応援態勢を築く知事選が散見されるようになり,政党本部よりも知事候補の意向に左右される地方政党組織の存在が浮き彫りになった。
  • Separation of Powers, Electoral Cycles, and Party Organization
    Yuki ASABA, Yutaka ONISHI, Masahiko TATEBAYASHI
    2010 年 26 巻 1 号 p. 53-66
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/05/08
    ジャーナル オープンアクセス
    Both Hilary Rodham Clinton and Park Geun-hye conceded defeat in presidential party primaries and showed their willingness to cooperate with their respective competitors, Clinton is a good loser for President Obama while Park remains defiant by opposing President Lee. Why are there such significant differences between Clinton and Park in terms of the degree to which a loser in a presidential primary helps a winner in the campaign and, once elected, in the government? This study argues that loser's (dis-)consent is a reflection of party organization, and that it is dependent on the separation of powers and electoral cycles in a presidential regime. By examining Korean cases in detail, this study highlights the significance of timing in a loser's strategic consideration of actions for their next challenge as both presidential and legislative elections are non-concurrent and the interval between the two changes regularly in different presidencies.
  • 大統領化論の再検討
    高安 健将
    2010 年 26 巻 1 号 p. 67-77
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/05/08
    ジャーナル オープンアクセス
    政治の人格化(personalisation)や大統領化(presidentialization)が英国をはじめ,各国で指摘されるようになっている。しかし,これらの概念の内容は多義的かつ大括りであり,そのことがかえって現実理解の妨げになる可能性がある。本稿は,こうした人格化や大統領化といった概念が英国政治の現実からいかなることを汲み取ろうとするのかを再検討し,整理し直すことを目的とする。本稿では特に大統領化論が,政府内での首相への集権化と政権党内での党首への集権化をひとつの概念のなかに封じ込めたことを問題視する。つまり,説明されるべき課題と説明材料とされるべき要因がひとつの概念の構成要素とされることで,現代政治に起きている重要な変化が捉えられなくなっているのではないかという問題を指摘する。
  • 連立政策の新展開と各党の支持動員戦略
    河崎 健
    2010 年 26 巻 1 号 p. 78-87
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/05/08
    ジャーナル オープンアクセス
    本論は2009年9月27日に行われたドイツ連邦議会選挙を分析したものである。 大連立政権を構成していた二大政党・キリスト教民主/社会同盟とドイツ社会民主党の 首相候補(メルケル首相とシュタインマイヤー前外相)同士の争いとあって,同選挙は争点に乏しく,投票率も過去最低であった。その中で選挙前に論議されたのは,同国の選挙制度特有の超過議席如何によって与野党が逆転する可能性についてであった。しかしながら予想外の低投票率もあり社民党が惨敗したため,超過議席の問題は未然に終わった。本論では,この超過議席をめぐる議論を簡単に紹介した後,投票率と社民党の得票率の相関を見た上で,この低投票率の原因と,連立政策との関連で各党の勝敗を決した要因について分析を行う。
  • Electoral Support for Extreme Right Parties in 19 West European Democracies
    Airo HINO
    2010 年 26 巻 1 号 p. 88-101
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/05/08
    ジャーナル オープンアクセス
    The article examines why extreme right parties are successful in some elections while not in others by analyzing the elections held in 19 West European democracies from 1970 to 2000. To that end, the article discusses the methodological limitations that arise from applying the Tobit and the decomposed Tobit model (Cragg's model) to the Time-Series and Cross-Sectional (TSCS) data. The Tobit model in the presence of fixed effects is known to be biased and inconsistent due to the so-called ‘incidental parameter problem’. The article first reviews the possible remedies for the incidental parameter problem, including the conditional frequentist, semi-parametric, and Bayesian approaches, proposed in the econometric literature. While discussing the alternative approaches to cope with the incidental parameter problem, the article pursues an approach to decompose the Tobit model and overviews the Cragg's model and its application to the TSCS data. To demonstrate the Tobit and Cragg's model in the TSCS analyses, the analysis of the vote share of extreme right parties in the extant literature is replicated. The re-analysis of the vote share suggests that the Cragg's model can further improve the Tobit model usually applied in the literature.
  • 長富 一暁
    2010 年 26 巻 1 号 p. 102-114
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/05/08
    ジャーナル オープンアクセス
    イギリスでは近年,選挙区割りについての研究が発展している。とりわけジョンストン,パティー,ドーリング,ロシター(Johnston, Pattie, Dorling & Rossiter, 2001)が提起した選挙区割りの分析の枠組みは画期的であった。この枠組みは国会や地方議会の選挙区割りに適用されている。このような研究の発展の背景にイギリス政治およびイギリス政治学の展開がある。現実の政治の側面で重要なのは,イギリス政治の多党化によって小選挙区制の不公平性についての認識が広まったことである。政治学の側面で重要なのは,イギリスの選挙研究に特徴的な選挙地理学の影響である。選挙区割りの研究の発展はイギリスの政治や政治学の現状を如実に反映しているわけである。このように,イギリスの選挙区割りの研究を理解することを通して,イギリス政治やイギリス政治学への理解を深めることができる。
  • 地方政治再編成の説明に向けて
    砂原 庸介
    2010 年 26 巻 1 号 p. 115-127
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/05/08
    ジャーナル オープンアクセス
    1990年代の選挙制度改革が,国政における政党システムや政党と候補者の関係を再編しつつあることはしばしば指摘される。しかし再編は国政だけで起こったのだろうか。本稿では,1990年代に進展した重要な制度変化である選挙制度改革と地方分権改革が地方政治にどのような影響を与えるのかについて,先行研究を概観しながら検討していく。そのうえで,1990年代以降に44の道府県で続けられた統一地方選挙における道府県議会議員選挙の結果を記述的に分析する。この分析から,選挙制度改革後に国政レベルで自民党に対抗することになった民主党が二大政党の一翼として地方政治を国政と同様に分極化させつつも,地方分権改革の進展とともに地方政治が実質的な意味を持つようになる中で,地方議会における選挙制度や地方政府の二元代表制という地方政治レベルの要因が存在するために,選挙区の集合体としての地方政治レベルでは国政に連動した再編成が必ずしも進んでいないことを指摘する。
  • 2010 年 26 巻 1 号 p. 129-146
    発行日: 2010年
    公開日: 2017/05/08
    ジャーナル オープンアクセス
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