選挙研究
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27 巻 , 1 号
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  • 理性か感情か
    中村 悦大
    2011 年 27 巻 1 号 p. 5-15
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/07/03
    ジャーナル オープンアクセス
    有権者が十分に理性的な政治的判断を行い得るのか,あるいは感情的で非合理的な存在であるのかは投票行動論の重要なテーマである。本論文では,投票行動論において,有権者の政治的判断の合理性に関する理解が近年どのような展開を見せているのかを概観する。本論文では,まず1990年代後半までの主要な研究を取り上げ,その中で,the American Voter以来の伝統的な非合理的有権者像が見直されてきたことを説明する。次に心理学の発達に基づいて,近年さらに有権者の合理性が見直されてきている点を述べる。さらに,第三節ではそのような心理学的な議論のいわば基礎理論を提供している生物学および神経科学などの知見と応用について取り上げる。最後にこれらの研究潮流に関しての特徴をまとめ,本論文を終わる。
  • 肥前 洋一
    2011 年 27 巻 1 号 p. 16-25
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/07/03
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文では,実験室実験による投票研究の動向を整理し,課題と展望を論じる。議論を「選好の形成を捨象したうえで,与えられた投票のルール・環境のもとで複数の実験参加者たちに一斉に票を投じてもらい,その行動データを用いて,投票のルール・環境が投票行動および投票結果に与える影響を分析しようとする実験室実験」に限定したうえで,その種の実験を「投票の費用の有無(投票参加)」および「候補者(投票の選択肢)が2人か3人以上か(投票方向)」の組み合わせによって分類し,それぞれ先行研究の一部を概観する。それらをふまえたうえで,今後の課題と展望として,実験室実験の「風洞実験」としての役割,実験室における選挙の再現可能性,政治的文脈の効果の検証について議論する。
  • 大村 華子
    2011 年 27 巻 1 号 p. 26-42
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/07/03
    ジャーナル オープンアクセス
    政治代表をめぐる実証分析は,1980年代後半にアメリカ政治に関する一国研究として本格的に始動したが,2000年以降は多国間比較研究として,ヨーロッパ諸国を対象としながら研究が進展しつつある。本稿は,そうした有権者と政府・政党間の応答関係をめぐるマクロ次元での比較分析が発展してきた経緯を,その分析対象国の拡張,分析内容の変化,そして方法論上の深化に注目しながらリヴューするものである。またそうした比較研究において,日本の事例は分析に組み込まれてこなかった。本稿では,その理由の考察に加え,関連のマクロ次元での日本政治分析の動向を整理しながら,日本政治における有権者と政府・政党の連関を今後の比較分析に取り込んでいく意義や,応用上の課題について論じる。
  • 砂原 庸介
    2011 年 27 巻 1 号 p. 43-56
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/07/03
    ジャーナル オープンアクセス
    政党システムの分析において,これまで注目されてきたのは,基本的には社会的亀裂と政党システムの存続・変化との関係であり,地方の多様性や新党の存在は,必ずしも注目されてこなかった。しかし,近年の研究においては,地方の多様性や新党の参入を政党システムの存続・変化と結びつけた議論が進められている。本稿では,そのような議論を整理した上で,地方の多様性や新党の参入を含めて政党システムを包括的に捉える政党システムの制度化というアプローチを紹介し,今後の研究においては中央レベルと地方レベルの政党間競争を動態的に捉える観点が重要になることを指摘する。
  • 小宮 一夫
    2011 年 27 巻 1 号 p. 57-71
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/07/03
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は,本誌(『選挙研究』)第14号(1999年)に掲載された楠精一郎氏の「日本政治史における選挙研究」の成果を受け継ぎ,日本政治史における選挙研究の動向を明らかにするものである。具体的には,日本政治史における選挙研究が活性化した1990年代の研究状況を概観し,それを踏まえ,2000年以降の研究動向を振り返った。そして,地域レベルの国政選挙や地方選挙をとりあげる事例研究が増加し,選挙に関する歴史研究の基層が厚くなったこと,研究の新潮流としては,昭和初期の総選挙で用いられた選挙ポスターを読み解く研究や選挙違反を切り口として,近代日本の政治文化や政治社会の変容を描いた研究の出現などを指摘した。
  • 社会構造と政治変動
    井出 知之
    2011 年 27 巻 1 号 p. 72-84
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/07/03
    ジャーナル オープンアクセス
    この論文は日本の社会階層論における政治意識研究の研究動向を整理し,課題と展望を議論するものである。社会階層論の研究においては,社会構造とその変動の分析枠組みの一つである社会階層について論じるに留まらず,その政治変動への影響なども論じられてきた。そのために階層的地位に関する変数と政治意識に関する変数との関連が分析されてきたのである。本論文がこれらの社会的変数と政治的変数の関連をめぐる議論をまとめることで得られる結論は,社会階層構造とその変動が政治意識に反映される際に,系統的なズレが生じるということである。それは政治意識が政党や政権といった要因で攪乱されるということと,客観的な階層が主観的な階層に変換されていく過程でズレが生じるということである。これらの点をモデルの複雑化でなくシンプルな理論の面白さに生かすことが問われている。
  • メディア効果論の動向と展望
    小林 哲郎, 稲増 一憲
    2011 年 27 巻 1 号 p. 85-100
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/07/03
    ジャーナル オープンアクセス
    社会心理学およびコミュニケーション研究の観点からメディア効果論の動向について論じる。前半は,マスメディアの変容とその効果について論じる。特に,娯楽的要素の強いソフトニュースの台頭とケーブルテレビの普及がもたらしたニュースの多様化・多チャンネル化について近年の研究を紹介する。また,メディア効果論において重要な論点となるニュース接触における認知過程について,フレーミングや議題設定効果,プライミングといった主要な概念に関する研究が統合されつつある動向について紹介する。後半では,ネットが変えつつあるメディア環境の特性に注目し,従来型のメディア効果論の理論やモデルが有効性を失いつつある可能性について指摘する。さらに,携帯電話やソーシャルメディアの普及に関する研究についても概観し,最後にメディア効果論の方法論的発展の可能性について簡単に述べる。
  • 飯田 健, 松林 哲也
    2011 年 27 巻 1 号 p. 101-119
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/07/03
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は選挙研究における因果推論の方法を概観する。まず因果関係とは何を意味するのかについて日本の社会科学研究における代表的な知見をまとめ,その応用における問題点を指摘する。次に近年主流となりつつある潜在的結果にもとづいた因果的効果の定義を紹介し,その枠組みの中で観察データを用いた回帰分析の問題点を指摘する。次に厳密な因果推論を行うために必要となる方法とその応用例を紹介する。第一に,サーベイ実験やフィールド実験などの実験アプローチ,第二にイベントを利用した自然実験などの疑似実験アプローチ,第三にマッチングを用いた統計学的アプローチの特徴とその応用研究についてまとめる。
  • 山崎 新, 荒井 紀一郎
    2011 年 27 巻 1 号 p. 120-134
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/07/03
    ジャーナル オープンアクセス
    政治的洗練性は,政治的態度の形成や投票行動を説明する主要な要素として,これまでの政治意識・投票行動研究において様々に用いられてきた概念の1つである。これまでの研究の多くは,この概念を表す指標を調査データから作成するために,複数の質問項目を「まとめる」過程で各質問項目固有の情報が捨象された結果,政治的洗練性の程度の解釈が曖昧になる傾向があった。そこで本稿では,まず項目反応理論によって洗練性の測定に用いた質問項目の評価をより明示的に行った。次いで,洗練性が有権者の政治的態度の安定性に与える影響を検証した。分析の結果,投票義務感とイデオロギー位置については洗練性が高いほど態度は安定していたが,政治的有効性感覚については洗練性が高いほど態度が変化する傾向があることが明らかとなった。
  • 2011 年 27 巻 1 号 p. 135-144
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/07/04
    ジャーナル オープンアクセス
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