選挙研究
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28 巻 , 1 号
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  • 堤 英教
    2012 年 28 巻 1 号 p. 5-20
    発行日: 2012年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,日本の主要政党において,公募等を用いた開放的な候補者選定が普及している。候補者となることができる者,候補者を選ぶ者の範囲の拡大は,政党組織の集権性や凝集性に大きな影響を与えることが予想される。本稿では,特に自民党において候補者選定過程の開放が進んだ2010年参院選を対象として,政党の関与の強さという観点からその実際を整理するとともに,公募等で選定された候補者のプロフィールや政策選好,政党-候補者関係観について分析を行った。その結果,民主党の公募は党本部の関与が強いものであったが,自民党は地方組織が一定程度,関与できる選定方式を採用していたこと,公募等で選ばれた候補者は政党からの自律性を志向する傾向があることなどが分かった。こうした結果からは,候補者選定過程の「開放」が必ずしも政党組織の集権性や凝集性を高める方向には作用しない可能性が示唆される。
  • 民主党の党内対立と政党投票
    藤村 直史
    2012 年 28 巻 1 号 p. 21-38
    発行日: 2012年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では,中選挙区制度下で確立された自民党の役職配分パターンとの比較の観点から,小選挙区比例代表並立制下で2009年に政権に就いた民主党は,党の一体性維持,得票の増大,政策形成を実現するうえで,どのような役職配分パターンを行っているのかを検討する。分析からは,民主党は,自民党と同様に年功序列型人事と党内のグループ均衡型人事によって党内の一体性維持を図っている一方,自民党が行ってきたような,党の得票拡大のために選挙に弱い議員に優先的に役職を与えることや,与党経験の乏しい時期に官僚出身者を積極的に登用して政策形成を推進するようなことはしていないことが示された。自民党と民主党が党の一体性維持のために同じ手段を用いているのは,中選挙区制と小選挙区制の間で,政党内対立の深刻さやリーダシップの強さに違いがあるものの,党の一体性確保の手段自体は同じであるからと考えられる。一方,両党の得票拡大手段が異なるのは,自民党が中選挙区制のもとで候補者中心の集票システムを確立し,それを小選挙区制のもとでも利用し続けているのに対し,民主党は小選挙区制のもとで政党中心の集票活動を行っているからと考えられる。
  • 平野 淳一
    2012 年 28 巻 1 号 p. 39-54
    発行日: 2012年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    地方分権改革,市町村合併といった一連の地方制度改革によって,市は規模と権限の両面でより大きな力を得るようになっている。市長選挙についても,それまで多数を占めていた国政与野党による相乗りの枠組みが減少し,脱政党化が増えるなど変化が起きている。こうした変化は先行研究でも指摘されてはいたが,データ収集の難しさから,その全体像は必ずしも十分に明らかにされてはいない。また,市長選挙における主要政党の関与が,何によって規定されているのかについても明確な説明がなされているとはいえない。以上のような問題意識のもと,本稿では近年の市長選挙における民主自民両党の関与についてのデータを構築し,55年体制期との比較を行うことで,いかなる特徴が見られるのかを探る。また,近年の市長選挙に見られる主要政党の関与について探索的な分析を行い,その規定要因を明らかにすることを試みる。
  • 草の根レベルの保守主義の形成における政治的・社会的要因
    飯田 健
    2012 年 28 巻 1 号 p. 55-71
    発行日: 2012年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    一般市民レベルにおける保守主義はどのようにして形成されるのか。なぜ結びつくことが必ずしも自明ではないいくつかの政治的態度が保守主義の名の下に結びつくのか。アメリカでは,福祉の抑制や均衡財政を目指すいわゆる経済的保守主義も,中絶の禁止や同性婚の禁止を訴える社会的な保守主義も同じ保守主義の名の下に一つのイデオロギーとして括られる。これらの態度は必ずしもそれらを結びつける論理が存在しないにもかかわらず,現実として人々の態度において同時に存在することが多い。その原因として,政党および伝統的共同体の役割が考えられる。こうした可能性を検証するべく,データ分析を行った結果,アメリカにおいて共和党支持者や福音派ほど,また共和党の勢力が強い地域やキリスト教的価値観が強い地域に住んでいる者ほど経済的保守主義と社会的保守主義とが,その態度において結びつくことがわかった。
  • 2004年大統領選挙時点でのアメリカ世論分析
    石生 義人
    2012 年 28 巻 1 号 p. 72-87
    発行日: 2012年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文では,2004年大統領選挙時点におけるイラク戦争支持の決定要因をサーベイデータを使って分析した。その結果,アメリカ人のイラク戦争支持に影響を与えていた社会・心理的特徴は,帰属政党,信仰宗教・宗派,愛国心,最終学歴であることがわかった。 帰属政党に関しては,共和党帰属者が最もイラク戦争支持傾向が強く,民主党帰属者が最も弱かった。信仰宗教・宗派に関しては,キリスト教バプテスト派が最も支持傾向が強く,ルター派・メソジスト派の支持が特に弱かった。愛国心はイラク戦争支持に正の影響を与えていた。最終学歴に関しては,大学院等の教育を受けている人の支持傾向が弱く,短大卒以下の最終学歴を持つ人の支持傾向が強かった。これら四つの要因が,イラク戦争の正当性を批判的に評価することを促進または抑制し,その結果として戦争支持態度が影響を受けたと考えられる。
  • 米国共和党の保守化を手掛かりに
    西川 賢
    2012 年 28 巻 1 号 p. 88-98
    発行日: 2012年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文においては,第一に,政治的保守主義に関する有意な経験的実証研究を行うために,客観的に正当な根拠があると考えうる基準において,政治的保守主義を概念化することを試みる。第二に,先行研究を検討することでアメリカの共和党の保守化を対象にして,政治的保守化という現象の説明可能な三つの競合する理論を提示する。(1)政治的活動家に関する理論:これは共和党の保守化を保守主義の理念を媒介する政治的活動家の活動とそれを媒介する政治制度から説明する。(2)決定的選挙と政党再編に関する理論:この理論によれば共和党の保守化は決定的選挙とそれに伴う再編を通じて生じたものとして説明できる。(3)イシュー・エヴォリューション:これは共和党の保守化を個々の争点領域におけるイシュー・エヴォリューションが長期間にわたって重畳的に蓄積されて生じたものとして説明する。
  • アジアンバロメータ第2波調査データをもとに
    池田 謙一
    2012 年 28 巻 1 号 p. 99-113
    発行日: 2012年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    制度信頼の低下が広く憂慮されているが,それが政治参加を蝕むのかはよく知られていない。アジアンバロメータ調査データを用い日本を含む東アジア・東南アジアの政治文化的背景を考慮しつつこのことを比較・検討した。政治文化はアグリゲートレベルの変数として扱い,中央政府への制度信頼と政治参加との関連をHLMによる階層的な解析にかけた。全般的に政府への信頼は統治政治参加の度合いを下げ,リベラルな民主主義を支持することが参加につながる経路も析出されなかった。一方で,政治関与が高くかつ政府への信頼の低い人々がむしろ参加する傾向が明瞭であった。アジア的な政治文化価値に関連して,パターナリズムが高い地域では政治関与が高く政府信頼の高い人々の参加が促進されていた。他方,広く憂慮されるアジア的価値の参加抑制というマイナス側面は,調和志向の効果として見られた。
  • コメ保護農政の日韓比較
    斉藤 淳, 浅羽 祐樹
    2012 年 28 巻 1 号 p. 114-134
    発行日: 2012年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    比較優位を失った農産物の保護政策を自由貿易と整合的にどのように実施するかは先進工業国に共通する重要な政策課題である。日韓はコメ保護農政において価格統制から出発し強大な農業者団体を有するなどの類似点にもかかわらず,日本は与党への支持と減反への協力と引き換えに公共事業を選択的に提供する恩顧主義から脱却しきれず,TPPに対する態度を保留している半面,韓国は裁量の余地がないプログラム型の直接支払制へと移行し,米国やEUとFTAを締結した。権限が強く,農村部が過大代表されたままの第二院を抱える両院制議院内閣制の下,衆参ねじれが常態化し,与党に対する規律が弱く,日本の首相は執政権が制約され,現状点が維持されたままである。他方,韓国の大統領は,都市部の消費者や国民経済全体の厚生により敏感で,任期半ばで迎える議会選挙の公認権を通じて与党を統制することで,政策転換が可能になった。
  • JABISS調査とJSS-GLOPE調査の分析より
    善教 将大
    2012 年 28 巻 1 号 p. 135-149
    発行日: 2012年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿の目的は,日本の政治行動研究の文脈において検討されることが少なかった,政治への信頼と政治的決定の受容の関連を明らかにすることである。これまで,両者の関係は,信頼は協力行為を促すという単純なロジックのもとで説明されることが多かった。これに対して,本稿はすべての信頼がすべての政治的決定に対して,その受容を促す効果を有するわけではないこと,さらに政府への協力行為には積極的協力と消極的協力という異なる2つがあり,信頼と関連するのは後者であることを主張する。JABISS調査とJSSGLOPE調査を用いた実証分析の結果,第1に政治的決定の受容を促すのは政治的アクターへの信頼ではなく代議制民主主義を支える政治制度への信頼であること,第2に政治制度への信頼は,抵抗しないという意味での消極的な協力を促すことが明らかとなった。
  • 2012 年 28 巻 1 号 p. 150-163
    発行日: 2012年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
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