選挙研究
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29 巻 , 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 池谷 知明
    2013 年 29 巻 1 号 p. 5-14
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/11/03
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は1848年に制定されたサルデーニャ王国選挙法を,当時の穏健自由主義指導者の一人で,選挙法制定に関わっていたカヴールが選挙法制定に前後して発表した論考を参照しつつ,有権者の創造の観点から考察する。代表政治の確立をめざした憲法の公布を受けて制定された1848年選挙法は,厳しい選挙資格の制限により有権者は人口比2%に及ばなかった点で否定的に記述される。他方で,平等選挙の原則,秘密投票の原則を採用するなど積極的に評価すべき点もあった。選挙権の制限にせよ,平等選挙の原則,秘密投票の原則にせよ,有権者の創造と国民国家形成の意図が込められていた。本稿は,立憲体制を構築し,代表政治を確立しようとしたサルデーニャ王国が制定した1848年選挙法について,その要点を記しつつ,選挙制度に込められた有権者創造の意図について検討する。
  • 比例代表制と小選挙区制導入の経緯について
    河崎 健
    2013 年 29 巻 1 号 p. 15-27
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/11/03
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は,ドイツ連邦共和国の選挙制度である「個人化された比例代表制」を構成する小選挙区制と比例代表制がどのような理由で導入されたのかを考察することを目的としている。比例代表制が,第二帝政期の社会民主党と,小選挙区制下での社民党のさらなる躍進を恐れる右派勢力により導入されたように,党派的思惑が大きく作用している。これに対して,第二次世界大戦後の選挙制度改革では,ワイマール共和国とは異なる形での比例代表制の導入には広範な合意ができたものの,個人を選ぶ要素を導入することにより党派間で対立が生じた。このように戦後,比例代表制導入に合意ができたことは,(戦前と異なり),政党が政治的意思決定に不可欠な存在として,公法上も認知されたことが大きく作用している。
  • 富崎 隆
    2013 年 29 巻 1 号 p. 28-42
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/11/03
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    2011年5月5日,英国では選挙制度改革の是非を問う国民投票が実施され,大差で否決された。本稿は,第1に,本国民投票に関する分析を,近年急速に進展している,より広い「選挙制度改革」分析アプローチのなかに位置付けた。第2に,2011年英国選挙研究(BES2011)の世論調査データを使用し,その投票行動を規定した要因を,特に投票前1カ月の変動に注目して分析した。多変量解析から,社会的属性や政党帰属意識,首相・ 党首評価,キャンペーン動員効果等との連関が確認できた。そして,今回の勝敗の帰趨を決することとなった投票前1カ月の投票意図の変動に対して,選択投票制それ自体の小選挙区制に対する有権者の優位性評価がその時期に低減していったことの影響を実証した。その上で,英国の選挙制度と民主政の今後について展望した。
  • 河村 和徳
    2013 年 29 巻 1 号 p. 43-56
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/11/03
    ジャーナル オープンアクセス
    未曾有の大災害である東日本大震災によって,被災地自治体は深刻なマンパワー不足に陥った。選挙管理も例外ではなく,2011年4月に被災地で予定されていた統一地方選挙は延期を余儀なくされ,福島県知事選・県議選は2011年9月に,宮城県及び福島県の県議選は同年11月に延期された。本稿では,これまであまり関心を向けられなかった選挙管理者に着目し,2011年秋の地方選挙及び2012年の年末に行われた衆議院選挙を,「マンパワー不足」をキーワードに論じていく。そして,被災地における2011秋の地方選挙は多くの被災地外からの応援によって乗り切れたこと,2012年の年末に行われた衆議院選挙では被災だけではなく労働者派遣法の改正もマンパワー不足の要因となったこと等を指摘する。なお,本稿は,被災地で起こっている状況について幅広く情報を共有することを目的としており,仮説検証型のスタイルは採らない。
  • 境家 史郎
    2013 年 29 巻 1 号 p. 57-72
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/11/03
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では,月例ウェブ調査の分析を通し,東日本大震災が日本人の政治的意識・行動に与えた影響について包括的に検討する。分析の結果,女性,低学歴層,低所得層において震災による社会的被害が比較的深刻に捉えられている一方,東北地方以外においてはこの「社会的被害認識」が時間とともに弱まりつつあることが示される。社会的被害認識の政治行動論的影響という面では,震災被害を深刻に受けとめている有権者ほど一般に政治に対する関心を高め,多くの個別的政策争点について意見を変化させていること,また有権者の意識上で,経済や外交面での近年の日本の置かれた多重的危機状況が震災危機と関連付けられていることを明らかにする。他方,有権者の社会的被害認識は,2012年衆院選での投票参加および投票先の選択にはほとんど影響していなかったことが示される。
  • その規定要因の実証分析
    善教 将大
    2013 年 29 巻 1 号 p. 73-86
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/11/03
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は脱原発への選好の規定要因について,有権者を対象とする意識調査を用いた分析より明らかにする。日本のエネルギー政策は,福島第一原発事故を契機にきわめて重要な政治的争点となった。そのような現状においては,有権者の脱原発への選好がいかなる要因に規定されているのかを明らかにすることが課題となろう。しかし先行研究は,危機回避指向や原子力発電所等への信頼感,人口統計学的要因にのみ着目しており,必ずしも十分にこの課題に取り組んでいるとはいえない。そこで本稿は原子力政策への選好を規定する政治的要因に注目し,その効果を脱原発への賛成と反対の次元を区別しつつ分析する。実証分析の結果,脱原発への賛成と反対とでは規定要因が異なること,さらに選挙の際の候補者間競争の違いが,脱原発への賛否の違いを論じる上では重要であることが明らかとなった。
  • 今井 亮佑, 荒井 紀一郎
    2013 年 29 巻 1 号 p. 87-101
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/11/03
    ジャーナル オープンアクセス
    いわゆる「ねじれ国会」という政治状況は,有権者の意識と行動にどのような影響を及ぼしているのか。本論文では,2012年総選挙前後に実施したWEB調査のデータを用いて,「ねじれ」状況に対する有権者の見解が業績評価や投票行動のあり方に及ぼす影響について検討した。分析の結果,(1)一院制への移行を望む有権者や国会の意義を評価する有権者ほど「ねじれ」状況を問題視する傾向があること,(2)民主党内閣の業績に対する評価に最も大きな影響を与えた政策は,鳩山内閣が「沖縄米軍基地問題」,菅内閣が「原発事故対応」,野田内閣が「税制改革」であること,(3)「ねじれ」という政治状況を問題視する有権者には,「ねじれ」に苦しめられた内閣の業績を相対的に高く評価する傾向や,業績評価を投票行動にあまり結びつけないという傾向が見られることが明らかとなった。
  • 被害と社会階層に関する仙台仙北調査の計量分析
    村瀬 洋一
    2013 年 29 巻 1 号 p. 102-115
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/11/03
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,震災による被害と,今後の不安感の規定因について解明することである。仙台市と,その北部に隣接する内陸部の郡部(仙北地域)において,独自の統計的社会調査を行った。分析の結果,不安感は財産保有数や階層帰属意識などが影響しており,社会階層構造との関連があると言える。また,企業規模や関係的資源や居住年数も,不安感に影響を与えていた。被害金額は,関係的資源や財産保有数に規定されており,社会階層との関連があった。また,地域ダミー変数も規定力を持っていた。被害金額については地区別の違いが明確にあったが,不安感ではなかった。社会意識については,住んでいる地区の特徴よりも,現在の仕事の状況や,従業上の地位の影響が強い。日本においても,被害や意識に対し,財産保有や関係的資源など社会階層の影響があるといえる。
  • 2013 年 29 巻 1 号 p. 117-131
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/11/03
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