選挙研究
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33 巻, 1 号
選挙研究
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 何故クリントンが敗北し,トランプが勝利したのか
    西山 隆行
    2017 年 33 巻 1 号 p. 5-17
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    2016年アメリカ大統領選挙については,多くの論者がヒラリー・クリントンの圧勝を予想した。にもかかわらず,実際はドナルド・トランプが勝利した。本稿は何故そのような事態が発生したのかを説明しようとする試みである。クリントン敗北に影響した要因として,選挙戦術の失敗,私的メール使用問題,サンダース旋風,中南米系や女性票を十分に固めきれなかったこと,民主党左傾化への反発を説明する。他方,トランプに勝利をもたらした要因としては,二大政党の分極化が進み有権者の意向とのズレが明確になってくる中で,トランプが社会的争点について過激な発言を繰り返すことで単一争点問題の活動家の支持を確保する一方,経済的争点については穏健な立場をとって中道派の支持を確保したことを指摘する。また,反エスタブリッシュメント感情の高まりや白人労働者階級がトランプを支持した理由も解明する。
  • 集票戦略の効果をめぐる問題を中心に
    渡辺 将人
    2017 年 33 巻 1 号 p. 18-29
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    2016年アメリカ大統領選挙では, 選挙運動技術においてはヒラリー・クリントンが資金, 組織, 新技術で量的には優勢でありながらも, これらの側面で劣勢だったドナルド・トランプに敗北した。アメリカの政党や候補者陣営は, 1970年代以降の候補者中心選挙の浸透などの変化に選挙運動様式を対応させてきたが, 選挙運動技術がどのような状況でいかなる効果を発揮するのかは政治環境の変容に即して吟味する必要がある。本稿では,2016年大統領選挙の選挙運動の質的特徴に焦点を絞り, 特定の有権者集団向けの集票戦略であるアウトリーチの観点から対人の集票活動, マスメディア戦略, デジタルの新技術を考察する。その上で, 選挙運動が効果を発揮する条件としての候補者要因の重要性とともに二大政党を横断して顕在化する新たな対立軸の問題を指摘する。
  • 前嶋 和弘
    2017 年 33 巻 1 号 p. 30-40
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    2016年のアメリカ大統領選挙をメディアとの関連から論ずる場合,重要なのが,近年非常に目立っている既存のメディアに対する不信感の増幅である。この不信感と保守・リベラルいずれかの政治的立場に与したり,どちらかの勢力のアドボカシーを行う「メディアの分極化」現象は密接に関連している。フェイクニュース現象,「リベラル・バイアス」論の再燃,ファクトチェックの多用,候補者の「ツイッター」を使った議題設定など,2016年選挙を特徴づける様々な現象は,このメディア不信や「メディアの分極化」現象を背景にしている。メディアとの関連でいえば,2016年選挙は過去数回の大統領選挙と同じようにソーシャルメディアの利用が目立っているが,それでも同選挙で勝利した共和党候補トランプの個人的な資質に頼った選挙戦であり,2012年選挙で台頭したスーパーPACの影は薄かった。
  • 三輪 洋文
    2017 年 33 巻 1 号 p. 41-56
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は,Twitterのデータを用いて日本の政治家・言論人・政党・メディアのイデオロギー位置を推定する。政治家等のイデオロギー位置は様々な方法で推定されてきたが,Twitterのデータによる方法には,地方政治家や言論人のイデオロギー位置を推定できるなど多くのメリットがある。採用する統計モデルは,一般のTwitterユーザーが自分自身と似たイデオロギー位置の政治家等のアカウントをフォローすることを好むと仮定し,一般ユーザーが政治家等のアカウントをフォローしているか否かのデータを使って,両者の理想点を推定するものである。衆議院議員70人,参議院議員46人,政党など10団体・機関,新聞社6社,地方政治家・元政治家39人,言論人41人のイデオロギー位置を推定した。本稿の方法で推定された国会議員の位置を政治家調査データから推定した位置と比較すると高い相関を記録したことから,妥当な推定が行われたと評価できる。
  • 政策決定の集権性と党内支持
    上條 諒貴
    2017 年 33 巻 1 号 p. 57-70
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    議会の過半数を占める政党が存在する「多数状況(majority situation)」における内閣総辞職は,議院内閣制における内閣の終了を扱った研究が拠って立つ政党間交渉の理論からでは説明困難な現象である。本稿では,数理モデルを用いて執行部への党内支持の観点から総辞職を理論的に分析する。モデルの含意として,党への支持が低下している場合に,現在の世論により合致した政策選好を持った政治家に党首を交代させることで支持を回復するという戦略の有効性が増すため,多数状況においては政党が集権的な場合の方がより総辞職が起こりやすいという仮説が提示される。理論的検討の後,この仮説を1960年から2012年の日本の内閣データを用いて実証する。分析の結果,内閣支持率などの変数を統制してもなお,党内の集権性が高まった政治制度改革後の方が内閣総辞職のリスクが高いことが示される。
  • 2017 年 33 巻 1 号 p. 71-95
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
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